11月4日 金曜日 晴れ
昨夜はツアーのグッズ会議をLINEでやってました。
安価にみなさんが手にしてもらえるものとか、オレが持っていたいものとか、いろいろです。笑。
バリエーションをネットで各自確認しながらLINEでやりとりするって、まぁ、時代ですね。
たくさんの人がアナログ盤の「柱」を手にしてくれたようで、とっても嬉しいです。32年前のデビュー盤、2000年代になってのボックスセットでのリマスター盤、2022年のアナログ盤とゾンビのごとく、3回蘇っております。でも、聴いてくれればわかると思うけど、デビュー盤にはそれまでの全てが詰まっているもので、どんなに技量がアップしたとしても決して超越することのできない「something」が詰まっています。
デビューが決まって、アルバム制作にかけられるお金はインディーの10倍くらいになる時代だったので、通常は東京、あるいは海外って選択肢もあった(実際レコード会社から熱心にそう勧められた)にも関わらず、僕らはあえて故郷の福岡で録音することを選びました。
ともだちが運営している天井高7メートルのスタジオ。よく響くけど7メートルのマイクスタンドがない。それゆえ、国旗掲揚よろしくマイクを天井のフックにひっかけて設営したり。デッドな音が必要なときはメンバー全員の家から布団を運んでミュートしたり。飲みすぎて演奏できなくなったり(「幼い日」はガラスの向こうにみんなが座っていて、泥酔しつつライヴで演奏していてため、よく聞くと「サンキュー」ってMCが入ってる)、弱かったダイエーホークスをレコーディングを中断して応援に行ったり。
とにかく若いってことを武器に、地元でやりたい放題。監視する人もいないし。それまではレコーディング中は食うや食わず、徹夜の連続だったのが、はじめてレコーディング中にディレクターに「晩御飯なににする?」って聞かれて泣きそうになったの、覚えてます。これが音楽で飯を食うってことかって。笑。文字通り。あのカツ丼の味は忘れられない。ははは。
昨日描かせてもらった松本康さん、じゃないけれど。このアルバムは博多んもんの意地なんです。だから、若気の至りではあるけれど、今聴いても他人事のように情熱が詰まったいいアルバムだなぁ、と思っています。
フロントジャケットは東京のスタジオで撮影したけれど、バックカヴァーとインナーは去年なくなった「かしいかえん」と西鉄ライオンズがキャンプを張っていた「香椎球場」と埋め立てられてしまった和白干潟で撮影されました。
音って意味では。わかる人はわかると思うけど、いっさいのデジタルリバーブを使っていないのです。つまり響いている音はほんとうに「博多の空気」が鳴っているってことです。鳴り具合は楽器からマイクまでの距離、あるいは先述した布団などのミュートでコントロールされているのです。それゆえ、当時のデジタルなJ-POPとはまったく違う趣だってことに1000000000000%の自信をもって送り出したにも関わらず、まったく売れませんでした。笑。6000枚くらいだったかな。当時のメジャーの6000枚ってのはほぼ売れてないに等しいのです。
あ、当時はデジタルレコーディングに移行しつつあった時代ですが、我々のはアナログの24ch録音。それゆえ、ヴォーカルに用意されたトラックは2ch程度。それゆえ、ほとんどリズムと同時にせーので歌っています。それがきっとリアルさを出してるのか、と。マスターももちろんアナログです。
でも、それが時を経て、みなさんも年を重ねてアナログで届けられたことは、歓び以外のなにものでもない。当時のメンバーにすぐ送りました。ひさしぶりに会話したけど、みんな元気そうで嬉しかったな。ほんとうは関わってくれた人、今も関わってくれる人、全員に送りたかったけど、サンプルの数も劇的に少なく、送ることができず申し訳ないっす。ここでお詫びしておきます。
てなわけで、「びくともしない」2022年の柱、楽しんでください!
2022年の柱、早速入手して昨日から聴いております。
本当に最高です。
ヒートウェイヴの音楽をレコードで聴ける喜びと幸せをありがとうございます!
柱のCDを手に入れて聴いた時の感動。
2022年アナログ盤であらためて柱を聴く感動。
なんか長生きもわるくないと思いました。
ずいぶんと荒波に揉まれてきたけれど、柱に込められたエネルギーにまだ自分自身が心動かされることに安堵したりします。
ありがとうございます。
柱、本日到着しました。
36.5から始まるB面の流れが最高です。
過去を振り返らない山口さんが、このアルバムについてだけはことあるごとに自信たっぷりに話すのがよくわかります。福岡から上京して、メジャーと契約して、よっしゃ、やったるか!という気骨と気概に満ちている。まさに〈僕は僕のうたを歌おう〉ですよね。自分たちのやりたいことはこれなんだ、という、まさに名刺がわりの一枚。売れなかったことは残念だけど、アナログのリリースでみたび光が当てられたことはほんとにうれしい。しかも、アナログで聴くと、このアルバムの良さが何倍にもなります。再発してくれてありがとう。ソニーやるやん!!
当時その6000枚のうちの一枚を買いました(笑)もちろんまだ持ってます。
最近、日本でも海外でも新たにリリースする音楽をCDとレコードの両方でリリースするのが流行ってますが、デジタルレコーディングしたものをレコードでリリースしたものをアマゾンとかのレビューでも「やっぱりレコードは温かみがあります。音が違います」なんて信じられないレビューを見たりして、ばからしく感じていました。それってCDをわざわざミュージックテープに録音して劣化させて聞いてるのと同じですよね。アナログ録音の意味自体が分かってないということなんですね。
だからこういうような、もともとがアナログな録音ものをもっとLPでリリースしてその違いが分かる人が増えれば少しはばかな(詐欺に近い)高音質商法も減るのかなと思います。(高音質という言葉に踊らされる人の多すぎるのにはびっくりします)
(その反対に?一番びっくりしたのは〇tunesで海外の某アーティストのLPからの雑音交じりでそのまま録音したものがリリースされてたことです。さすがにあきれ果てめちゃくちゃぶりに笑ってしまいましたが)