Experience

6月11日 火曜日 晴れ

これだけ長きに渡ってblogを書いていると、いろんな経験をする。面倒なことも多々ある、けれど文責が100%自分にあって、責任の所在がはっきりしていることと、読者が自分の意思でここにやってきて、読んでくれているってことが好き。

てか、なにごとも続けることに意味があると思う。

ときどき、こういう意見が寄せられる。

あれは私のことですか?

たいてい違う。なぜって、極力一般論しか書かないようにしてるから。

悩みが寄せられたりもする。余計なお世話だと思いつつ、放っておけないこともあって、ときどき距離感を間違えて、失敗する。で、学ぶ。

実話だけど。これから死にますって連絡が来る。一度じゃないよ。あなたなら、どうする?

そんなやつは本気で死なないって、多くの人はいう。でも、ほんとに死んだらどうする?

オレがどう対処したかは書かない。んなこと前例にしたくないから。

 

余計な励ましをしてはいけない。多くの場合、答えはすでに用意されている。人には不可侵な領域があって、触れられたくないところに本質がある。

励ますことができるとしたら、自分の道を往くしかない。

いつまでたっても距離感は難しいけれど、そんなマニュアルはないのだから、自分で失敗しながら学ぶしかない。

 

でもね。

同年代のともだちが恋の病に罹患してる。本人は年甲斐もなくっていうんだけど、オレは思う。何言ってんだよ、素晴らしいじゃん!!誰だって傷つくのは嫌だよ。でも、そこに突っ込んでいった自分を褒めてやって欲しい。君は勇者で、あとのことは時間がゆっくり解決してくれる。そして、こころに開いた穴は一生塞がらないかもしれないけど、そこから見える風景は、本質的な人としての優しさにつながっていくと思う。きっと、そのためのExperience。今、そう思えないのもよくわかるけどさ。

 

知識と実体験を融合できるところにニンゲンの良さがある。書物やネットで知ったことを実体験によって、五臓六腑に落とし込む感じ。圧倒的な経験主義。身体の中に精神の地図ができていく。

そうやって、神秘的なことが当たり前に感じられたら素敵だと思うよ。音楽も神秘そのものだもん。

神秘を当たり前にできるってこと。そう感じた時点で神秘は神秘でなくなって、現実になる。

音楽の魔法をかけられる人はその域にいる。オレも稀にそれができるし、それは音楽に限ったことじゃないんよね。

精神、肉体のバランスがとってもムズいけど、ニンゲンはそれが可能な生き物だとオレは信じてる。

Enjoy yourself !

 

ついしん

ウイリアム・ブレイクの「経験の歌」と「無垢の歌」。若い頃、とっても影響を受けました。興味がある人はぜひ。「蠅」って詩があるんだけど。日本語で読んでも素晴らしいよ。オリジナルで読むと響きもすごい。

 

The Fly     William Blake

Little Fly
Thy summers play,
My thoughtless hand
Has brush’d away.

Am not I
A fly like thee?
Or art not thou
A man like me?

For I dance
And drink & sing:
Till some blind hand
Shall brush my wing.

If thought is life
And strength & breath
And the want
Of thought is death;

Then am I
A happy fly,
If I live,
Or if I die.

 

小さなハエよ
お前の儚い命を
私の思慮のない手が
払いのけてしまった

私とて ハエよ
お前と同じではないだろうか
お前こそ ハエよ
私と同じではないのか

私もお前と同様に
踊ったり飲んだりしているが
いつか見えざる手によって
羽をへし折られないと限らない

生きることは思慮であり
力や勢いだとしたら
思慮の欠如が
死ぬことを意味するのなら

この私もお前同様
幸福なハエに異ならない
生きていても
死んだとしても

 

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Experience への9件のコメント

  1. おやす より:

    洋さんから色んな音楽やアートなど教えていただき感謝します。自分では一生辿りつけない音楽や芸術をほんの少し道標をいただく事で体感できる!!自分も誰かにそのバトンを渡せるように楽しみたいなぁー!

  2. パンとサーカス より:

    ハエを読んで考えました。私たちもコロナウイルスと一緒だなと。宿主(地球)を殺す前に弱毒化した方が良さそうです。
    追伸:六角精児バンドTシャツ、お似合いです。

  3. 内山五月 より:

    今日は文章のキレが特に凄っす!
    蝿、毎年風呂場で発生する小蝿とか蚊とかに同じようなことを感じてました。

  4. fujiiku より:

    プレイリストお先に聞かせていただきました。活動歴の長いアーティストなので中々
    購入できていませんがリストで気に入った作品から購入してみたいと思います。ありがとうございました。 

    willie nelsonもかなりハードル高いですね。数枚しか手元にないので「これだけは聞いておけ」的な作品があれば何かの機会に教えてください。

    ウイリアム・ブレイクの詩集 以前紹介いただいたさい どうせなら洋さんと同じ本をと思い古本屋探しましたが購入するまで数か月かかりました。普段は本は一度読んだら手放すものがほとんどですがこれは手元に残しています。

  5. 青森のロマンティック・ダンディ より:

    私もプレイリスト聴かせていただきました。ベルファスト・カウボーイ(ラストワルツを見た人ならわかるはず)の「シェナンドア川」は、もともとはLong Journey Homeという、アイルランドからアメリカへ渡った移民のドキュメンタリー番組のサントラの冒頭に収録されていたものでした。そしてこのサントラの最後に収録されていたのが、エルビス・コステロのタイトル曲「Long Journey Home」でした。
    https://www.youtube.com/watch?v=LCWvcxhLOGE
    このブログでコステロに触れられたことはほとんとないと思いますが、最近コステロの凄さを再認識してこの曲を何度も聴いていたので紹介させてください。また、サントラ自体も素晴らしいものなので興味のある方はそちらも探せば簡単に見つかると思います。

    • 青森のロマンティック・ダンディ より:

      すみません、上記コメント、ラストワルツ云々の箇所は記憶違い、関係ありませんでした。あと、コステロの曲は、コンサートの楽屋で3分くらいで書き上げたと、パディ・モローニがどこかで語っていました(こちらは確かな記憶です)。やはりスゴイなあ、コステロさん。

  6. りゅういち(59) より:

    清志郎さんが居なくなって、石田さんも居なくなって、鮎川さんも居なくなって、PANTAさんも居なくなって、自分は、どうしたらいいのか、とても悩んでいました。そんな時「スティールバーニン」って、すっごい叫ぶ声が聞こえてきました。洋パイセンのダイアリー、毎日、楽しみにしています。山口洋さんは私に生きる希望を与えてくれる類い稀ない素晴らしい音楽家です。遠藤賢司さんの生ライブが見たかったです。洋さん、どうか、私より長生きして下さい。

  7. あまの より:

    蝿の生態を見て同じことを感じ 人間の造った神を信じるのをやめた。いい詩を教えてくれてありがとうございます。

  8. 中澤 美穂 より:

    山口さん、こんにちは。

    「死にたい」は「生きたい」の裏返しであり、それは「裏腹」

    曲の解釈は人それぞれで、「救われました」とか書かれたら山口さん、重くて嫌じゃないかなとも思ったんですが、私にこの曲がどう響いたのかだけ伝えさせてください。

    自分の本質とか自身の核、それを知ろうともせず、掴もうともせずに、くたばる意味なし。ってか、既にくたばってんのと同じ。これ以上くたばりようがないんなら、後は生きるだけなんですけど。それもまた、裏腹。

    他者が腫れ物扱いする「不可侵な領域」に土足で踏み込み、引きずり出し、ゴシゴシ擦ってやれるのはテメエだけ。本当に自分を愛することの「裏腹」。

    ヤローみたいな言葉遣いで申し訳ない。私にこの曲はこんなふうに響いています。

    No regrets, No excuses.(by 山口さん)

    Stay hungry, Stay foolish.(by Steve Jobs そして、今回のブログに登場した、山口さんの同世代のお友だちへ)

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