リハーサルday#1

12月18日 木曜日 晴れ

都内某スタジオでリハーサルでした。

ミュージシャンなんて、会わなかった空白の時間は音で会話すればいいわけで。ただ、未来永劫にバンドなんか続けられるものじゃない、という覚悟のようなものはひしひしと感じます。老いてみっともない演奏をするくらいなら、とっとと引退した方がいい。

新しいアルバムが出るわけですが、今回はオーディエンスの誰もがそれを聴いたことがない状態で行われるので、一年の疲れを洗い流して、未来に希望が持てるような内容にしたいと頭を悩ませております。

質問、ありがとう。えっと、アルバムに関する以外のことは「人生相談」みたいになりがちなので、プロモーション時期ってこともあり、アルバムに関する質問のみでお願いします。今日は特別です。笑。伝えてなかったし。

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二枚組相当の曲がありながら敢えて一枚のアルバム『MR. OUTSIDE』として纏められた選定(選曲?)の基準などがあったらお聞きしたいです

えっと、アルバムは形として残るものなので。二枚で表現できる多様性より、一枚としての整合性を選んだってことですね。収録されなかった曲は無料でみんなに聴いてもらうってアイデアもスタッフから出されたんですが、それはアルバムを聴いてもらってからの方がいいかな、と。歌詞を書くときもそうなんだけれど、累々とした尸が背後に転がっているからこそ、選び抜かれた「言葉」にスピリットが宿ると思います。

PV映像化などはされてるのでしょうか?

これは一言申しておきたい。みなさんは当たり前のようにPVをyoutubeなどで無料で見るわけです。現代に於いて、宣伝としてそれは必須だとされています。でも、それには当然制作コストがかかります。それは価格に上乗せされています。PVに関しては現在、検討中とお応えしておきます。個人的にはまったく好きではありません。だって音楽で映像を表現してるのに、わざわざ映像をつけて限定する意味がわからない。

夏の渋谷でのライブでアコギがこれまでの音と随分違うな〜と感じました。ニューアルバムではこれまでのヤイリではなく、新しいアコギが中心でレコーディングされたのですか?特色が違う音色だったので興味津々です。

これまでレコーディングでもヤイリのアコギをラインのまま使ってきましたが、撤廃しました。可能な限り、生のギターはギルドの70年代のギターを。作業上どうしてもそれが叶わないときはライヴで使っている新しいギターを使用しました。なので、ライン臭さは皆無です。

映画【インディアン ランナー】についてです。先日のブログで、35年振りくらいに再び鑑賞し、新たな受け止め方があったとありました。35年前にはこういう視点が持てなかったけれど今回は持てて、こんな感想が生まれた、というのを教えて頂けると嬉しいです。

この映画は数年に一度は観ます。リトマス試験紙のようなものです。この歳になってみると、もっと多角的、複合的、立体的に時空を超えて観ることができます。自分の総合的な視点の成長を明らかに教えてくれるのです。そんな意味では生涯、映画はこれとイージーライダーだけでいいのではないか、と思うくらいの傑作だと感じています。弾き語られたたった1曲がこれだけの可能性を内包しているということ。逆説として言えば、あなたにその可能性があるってことです。もちろん僕にも。

何かの頂き(完成)に向けて頑張っていると、アウトプット過多になり、どんどん自分が枯渇していく感じに毎度なります。良いと思われるエネルギー充足を色々試しながら頑張るのですが、それでも毎回スカスカになっていく感じがどうにかならないかと思います。そのような場面で山口さんはどう対処していますか?

勧めませんが。笑。いつも崖っぷちにいたら、やるしかないんです。落ちたら死ぬからです。枯渇してもやるしかないんです。火事場のバカ力を連続的に発揮しているうちにそれがアベレージになって、また前進への力を生みます。僕はそうやって生きてきました。ほんとうに限界まで達すると、身体が「限界」のサインを出して、大仕事が終わった直後に倒れます。でも、大仕事の最中に決して倒れないってことは、メンタルがフィジカルに優っていることを示しています。ひとつだけ言えることがあるとするなら、放出するだけではなく、循環するエネルギーを目指すといいと思います。一方通行のライヴはひどく疲れます。でもいいライヴはオーディエンスからエネルギーが返ってきます。それを循環させれば、疲れません。

このダイアリーで、一曲の時間やアルバム全体の時間を短くする、というのをアルバム制作過程でよく見かけました。この時間を短くするというのは、どうしてなのでしょうか?

えてして、俳句のように素晴らしいものは簡潔です。好きなアルバムもそういうものが多かった。だから、それを目指したということです。ほんとうは46分に収めたかったのです。でも、前述のように2枚組の曲があったので、どうしても53分になってしまいました。

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リハーサルday#1 への4件のコメント

  1. daisy より:

    リハーサルで忙しい中、質問に答えてくださり、ありがとうございました!
    他の方への回答もとても面白かったですし、とても貴重な機会だと思いました。

    「循環するエネルギーを目指す」というのは、「なるほど~」と思いました。

  2. SHO より:

    田家さんのラジオを聴かせていただきました。
    ニューアルバムからも何曲か聴かせてもらえて、グッときました、早く全編聴きたいです。
    来週の渋谷にてアルバムをゲットするのが待ち遠しいです、ライブではどんな風に演奏されるのか、見せてくれるのか、今年最後のHEATWAVE また最高の頂を見せてもらいに行きます。

  3. サトウ より:

     質問コーナー(?)、楽しいですね。新作アルバムの曲選定基準は自分も知りたいことだったので、回答が聞けてよかったです。その関連も含め、私からも質問させてください。

    ・「一枚としての整合性を選んだ」とのことですが、他にも素晴らしい曲があったのを私もライブで聴いて知っていますし、山口さんにとって苦労して制作した思い入れの強い曲もあったことと思います。今回のアルバムの曲選びは、苦労し、断腸の思いで進める作業だったでしょうか、それともテーマのようなものが決まってからは一気にすんなりと進んだでしょうか。

    ・アルバムタイトルの「MR.OUTSIDE」は長谷川博一さんの本にちなんだもので、長谷川さんに捧げる(長谷川さんへの思いを込めた)タイトルだということを書かれていたと思いますが、もう少し詳しく、このタイトルに込めた意味を教えてください。長谷川さんの本は山口さんを含む9人のミュージシャン(あとがきに「音楽に身も心も奪われてしまった男達のなれの果て」とあって笑ってしまいますが)のインタビュー集なので、そのタイトル「Mr.OUTSIDE」はまずは彼ら9人のことを指しているのかなと思います。山口さんがMR.OUTSIDEというとき、それはどんな人や事物、あるいは概念をイメージされているのでしょうか。自分自身のことも、そこには含まれているのでしょうか。

     質問としては以上です。インスタでツアーグッズが紹介されていましたが、どれもほしい(笑) いずれ、詳細の告知があると思いますが、ポイントの紹介も楽しみにしています。
     それから、今回収録されなかった新曲を無料で配信することも考えてくれているとのことで、それはありがたいですが、でも私はやはり、それも別途CDなどの形で手に入るようにしていただきたいです。こちらは要望でした。少し長くなってしまいましたが、よろしくお願いいたします。
     

  4. フクイザウルス より:

    アコギに関する質問に答えて頂きありがとうございました
    インスタ写真から新しいアコギは「コールクラーク?)というメーカーの製品かと思いますが、こんなに音の違いがあるんだと思いました…マーティンでもギブソンでもなく、
    またまた姿形も含めこちらを選んだ理由を教えて下さい。

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