移動日、そして言葉

4月15日 月曜日 晴れ 

 子供の頃から本が大好きだった僕にとって、この数年の言葉の響かなさは自分の心象の変化を意味する(それも大いににあると思う)のか、作家の質の全般的な低下を意味するものか、あるいはその両方なのか、分からなかった。どちらにしたところで、音楽界が吹けば飛ぶように薄っぺらいものであるように、文学を取り巻く世界も似たようなものであることは知っている。名を知られているということには、才能と運が不可欠だ。でも、それにも増してマネージメントの力が大きく関わっていることを知っている人は少ない。もう僕はそのようなことに騙されたくはないし、興味もない。そんなことはアベノミクスと大差ない。

 そんな意味に於いて、ダニエル・ラノアとニール・ヤングが紡いだそれぞれの言葉はほんとうに胸の奥にまで響いた。単にミュージシャン、シンガー、プロデューサーとしてではなく、人間として、総合的に云えば「作家」として優れていた。僕にとってはどんな作家が記した言葉より、はるかに重要で、2013年を生きるのに切実に必要としていた言葉だった。彼らの言葉は精神性と肉体性を併わせもち、平たく云えば、夢と希望と暗黒と挫折と情熱とリアリティーに満ちている。生き延びるための「技術」がある。絵空事ではないのだよ。そんな彼らが描いた絵空事がどれだけリアルかってことだよ。

 もう少し書くなら。そこには「奇蹟を起こす方法」が書いてある。でも、云っておくけれど、それを読んだからと云って、あなたが奇蹟を起こせる訳ではない。誰かが奇蹟を起こすために「how to 本」を読んでいる時点でそれが不可能なように。でも、逆説的に聞こえるかもしれないけれど、それはまったく不可能ではないのだ。僕が夢見ていることも、ずっと、ずっとそのようなことなのだ。

 あの作家の新作よりも、それらの本は高い。ある人物が本の値段に驚いていた。でも、そんなことは僕にとって何の意味もないことだ。それらが例え一冊10万だったしても僕は買っただろう。おそらくこれらはあの本より売れることはないだろう。だから、高くて当然じゃないか。物の価値とはそういうことだ。あくまでも僕にとっては。くだらん。

 明日は名古屋でライヴです。僕の詩集にどれだけの価値があるのか、分からないけれど。愉しんでくれたら、嬉しい。少なくとも「信念」だけはある。いや、まじで。

追伸

 その詩集があるってことは、ほぼすべての曲が演奏できるってことで、本編で新しい曲を存分に演奏したあと、オーディエンスにアンコールでリクエストを募ることになるのだが。
「northern lights」と「歩く」って2曲をやってみた。悪くなかったよ。

その2
 
 僕のソロツアーでは「そうまかえる新聞」を来場者全員に配っています。どの会場も少し多めに用意してあるので、もう少し欲しいって方は遠慮なく持っていってください。

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移動日、そして言葉 への7件のコメント

  1. 愛ぴょん より:

    明日、「信念」を受け止めに参ります。
    どうぞ、山の神さま、見守っていてください☆

  2. ゆか より:

    わたしも『northern lights』をリクエストしたいです。先週も聴いていました。聴くたびにその物語は変化してゆく感覚があります。(そして、とってもロマンチックだし)

  3. 自転車乗り より:

    northern lights!歩く!!!とぼとぼ・・・・うわー ヤバいです!

  4. 萩原晋也 より:

    大阪行けなかった。
    行きたかったよ。
    また、来てください。
    本当に行きたかったけど、
    俺のやるべきことを優先した。
    それでよかった。
    詩集、絶対買います。
    行けなくて、ごめんなさい。
    応援してます。
    震災を風化させないアクションに
    敬服しています。
    また、絶対来てください!

  5. Froggy II より:

    わたしは物や人に価値なんて無い方がいいと思ってるんです。本当に大切なものには価値はつけられないし、つけたくないんだ。そこに魂をふるわす何かがあるのなら、代わりに「敬愛」ってやつを注ぐよ。

  6. 天野 秀次 より:

    あの作家の新作はくだらなかったのでしょうか?僕はまだ読んでないのでわかりません。たとえ荒唐無稽であっても大事なのは何を物語るであるのかなと。僕はまだあの作家に失望はしていません。ニールとラノアの本読みたいです。

  7. 吉麒 より:

    「海賊と呼ばれた男」は戦後の日本の諦めムードから立ち上がった人の話だそうです。作者 百田尚樹さんは東日本人大震災後の日本に漂う諦めムードを戦後と重ね合わせてこんな男がいたことを知ってもらいたいと書いた作品だそうです。たまたま今朝ラジオに出演して話されてました。読んでみようと思います。山口洋さんがたまたま作家についてブログを書いた日に僕がたまたま聞いたラジオに出演していた作家。何かの縁かもしれないと勝手に思っています。山口さんもよろしければ是非に。

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