日別アーカイブ: 2013年5月2日

夢見る力

5月2日 木曜日 晴れ   「夢見る力」の話をしよう。DREAM HARDER ! ————————————————————–  その映画製作者と映画監督、そしてミュージシャンはそれぞれに、それぞれの現場で孤立していた。だから、オレはアメリカからスカイプを通じて、こうメッセージを送った。  「オレはこのまま日本に居たら頭がおかしくなりそうだったから、逃げてきた。ようやく世界と自分が見えてきたから、音楽になって現れてくると思う。それを持って帰るから、帰ったら聞いて欲しい」。  いまどき、新しい曲なんて、ネットでぴゅーんと送ることができる。大嫌いなmp3でね。でも、オレたちは「生」にこだわった。オレが住む街まで彼らは来てくれた。既にスタジオは予約され、都内を早く出発しすぎて、オレが到着する1時間前に彼らは着いていた。この瞬間を映像で記録するために、わざわざ大阪からカメラマンがやってきていた。アホだ。アホすぎる。  オレは生音で一回しか歌わなかった。でも、それぞれに何かが伝わったと思う。それでいいのだ。録音する必要はない。彼らの心に何かの残像が残ったのなら。記憶は捏造ではなく、創造してくれればいい。  夢想するのだ。例えば映画を作るとき。  政治力や、コネや、名誉や、カネや、見栄や、名声や、組織や、パワーバランスではなく。映画にしたいというとてつもない情熱がまずあって、その情熱に動かされ描かれた音楽があって、互いが互いに影響しあっていく。バカだと云われても、DREAMするのはタダなのだよ。オレはいくつになってもそんな人間で居たいのだよ。  監督はこう云った。映画のエンドロールは制作者にとって終わりを意味しないんです。その先のストーリーは観客それぞれのオリジナルなものなんです。それが映画の力です。  僕はこう云った。この曲にはサビがないんだ。それは聞き手が勝手に続きを作って欲しいから。すべての歌には続きがあるんだ。それが音楽の力です。  それでいいじゃないか。 —————————————————————-  話には続きがある。  監督の父上は昭和の大スターだ。バリバリの現役の巨星。つい先日お見かけしたばかりだが、「有機的ポジティヴ生命体」としか表現のしようがない光を全身から放っていた。巨大な物体X。  (あの、それが誰かを知って欲しい訳ではないので、名前は明かさない。だから、できれば類推しないで欲しい。話の骨子はそこにはない。)  その光がとんでもなかったので、僕は息子である監督に父上の夢見る力について質問したのだ。  息子から語られた「夢見る力」がどれほどオレを励ましたことか。云っておくけど、スターだからそれが可能なのではない。その力が途方もなかったから、スターになったのだ。彼の夢見る力に、私利私欲の影は一切なかった。ほんとだぜ。いつだって、止まることを知らない好奇心と、誰かを思いやる力、そして責任感に溢れていた。その経緯の中にある、とてつもない苦労なんてものを見えなくするだけの夢見る力なのだよ。大泣。  とてつもなかった。オレなんか、ひよっこを通り越して、ひよっこの額に生えてる毛みたいなもんだった。何だかなーーー。オレはこういうとき、まったく打ちひしがれないのである。モーレツにエネルギーがみなぎってくるのである。はい。アホで結構。アホ上等。自分で不可能だと決めない限り、不可能なんてないことを、目の前で証明してくれてるのである。これで元気が出なかったらホンモノのアホだと思うぜ、オレは。 ——————————————————————  未来のない街で、未来のない仕事に就いてると思っている(実際そうかもしれんが)あんたにオレは伝えたいんだよ。  どうにもならないことってのがこの世にはある。自分ががんばってもどうしようもないことがある。がんばるほど、泥沼になることもある。でもよー、ハスッパに書くけど、そこからが本物のLIFEだとオレは思うぜ。スターを観てるとシビれるんだよ。  オレはオレのやり方で、夢を実現させること。微塵も諦めてないぜ。

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