ホピと福島が繋ぐ縁

12月23日 月曜日 晴れ

遠藤ミチロウさんのホーム・グラウンドに呼ばれて演奏する。東京は碑文谷にて。

あまり人前で語ってこなかったけれど、20代の頃、アリゾナにあるホピ族のリザベーションに通っていた。書くとこれだけ。でも、車を運転できなければ行くことはできない。いや、車を運転できても、行けないかも。メサ(台地)の中にひとつだけモーテルがある。その民がどう素晴らしいのか、軽々しくここに書くつもりもない。ちょうどその頃、日本はバブルの末期で、蔓延していた価値観に僕は耐えられなかった。ホピの人たちが僕に与えてくれたものは計り知れない、とだけ記しておこうか。知りたければ、こちらから。

そこに行った日本のミュージシャンが居るなんて思わなかった。ところが数年前、あるドラマーがとつぜん僕の目の前に現れ、「僕はあそこに行ったんです」、と。「嘘だろ?」と思ったが、一軒しかないあのモーテルの詳細をきちんと話してくれた。間違いない。ホピのこと、知っているのなら、もういろいろ話すこともない。知っているってことは、そういうことだから。

そして、驚いたことに、ミチロウさんが今夜、楽屋で突然ホピの話を始めたのだった。「え?」。1991年から92年にかけて訪れていたのだと。たぶん、僕も92年か93年からだと思う。嘘みたいだ。信じられない。

ネイティヴについては伝えたいことが山ほどある。でも、今日は書かない。書き出したらきりがない。ひとつだけ。今日ミチロウさんもMCで語っていたけれど、ホピの大地から掘り出されたウランを原料にして、広島と長崎の原爆は作られた。そして働かされたホピの人たちは被曝した。図式は福島と同じ。クソッタレだ。

みんな知ってると思うけど、もう一度だけ書いておくね。彼らのことが「インディアン」と呼ばれていたのは、大陸を発見(何という屈辱的な響き)したアホ・コロンブスたちがそこを「インド」だと誤解したからだ。発見も何も、奴らが侵略するずっと昔からそこには「平和の民」が「平和に」暮らしていたのだ。

ミチロウさんがHEATWAVEを初めてみたのは、新宿にサリンが撒かれるかも、と噂になっていたその当日なんだと。1995年2月、新宿パワーステーションにて。何だかなぁ。

そして今年の3.11。僕は福島のいわきで、ミチロウさんから「相馬盆歌」に関するオファーを受けた。

2011年夏。PROJECT FUKUSHIMAをネットで観ていて、「福島はくたばらねーぞ」と絶叫しながら、球場を走り回るミチロウさんの姿。そして、宣言文に記された「これは戦争だ」の文字。

僕は彼からたくさんのエネルギーをもらってきた。そしてもらっているだけではダメだ。行動しなくては意味がないんだよ。

世の中にどれだけテキトーな輩が居ようとも。そんなことはどうでもいい。じっさいテキトーな輩ばかりだけれど。そっちにチャンネルを合わせている時間はもう僕にはない。それよりも、遠藤ミチロウが文字通り身を削って伝えようとしていることを、僕なりに解釈して、更に大きなグルーヴにすること。それがホピを通して繋がっている僕の使命だと思うのだよ。当たり前じゃん。

てな訳で、かのドラマーはこのblogを読んでるかな? 君もホピの息子なら用件は分かってるよね?始めるよ。

その魂、岩の如く。

その魂、岩の如く。

岩の意志を支えるギター。「希望を乗せる羽根」なんてそんなテキトーなことじゃないよ。

岩の意志を支えるギター。

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ホピと福島が繋ぐ縁 への4件のコメント

  1. 桃子 より:

    淡々と…でも沢山の感情が込められていたミチロウさんのMCには言葉に出来ない感動がありました。「新・相馬盆唄」へと繋がる縁はもはや必然だったと言うしかないですね。
    “ナイスガイ”と呼ばれた洋さん!良い感じ(漢字)♪
    感想は沢山ありますが、お二人のライブは勿論楽しかったです!不思議な融合。近くもないけれど離れていない。なんだかめちゃくちゃ癒されて心地良かった!何でだろう?と考えて…言ってる事が同じだった!ということが全て。
    またミチロウさんのピック拾う係でツーマンライブして下さい(笑)。
    ありがとうございました。

  2. kumiko より:

    人は導かれるように出会うのでしょうね。
    そこには意味があってシンクロニシティが起こる。ホピと福島を繋ぐ縁。昨夜のライブはお二人の必然性を感じる貴重なものでした。
    いつか洋さんが書くネイティヴについて知りたいです。

  3. 負☆野球犬 より:

    1年間ミチロウさんを追いかけ続けて、自分たち親子の音楽は広がりを続けています。
    夏休みに福島の盆踊りを体験して、新相馬盆唄を踊り、二人で演られる新相馬盆唄を親子で待ちわびて、初めて観た昨日のアピア。天国の扉の演奏に感動し、山口洋さんのカッコ良さ(好漢)を知りました。
    あまりにも一般庶民ながらも、感動を伝えたくてコメントしてしまいました。
    悪漢のミチロウさん(ゴメンナサイ)と好漢でナイスガイの山口洋さんの、向いている方向は同じだけど、違う乗り物で進んでいるような、不思議で感動する空間でした。山口洋さんのライブも普段からにゃんにゃんしているのか、今度確かめに行きたいと思います(笑)。有難うございました。

  4. 薄毛SHOW より:

    完膚無きまで叩きのめされぬよう禿頭をメットで防御するなら今でしょ。

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