亡骸と抜け殻、シカトという文化、そして台風

8月16日 火曜日 晴れ

玄関へと続くコンクリートの階段でアブラゼミが一生を終えようともがいていた。気にはなったが、出かけなければならなかった。そして、帰ってきたら絶命していた。正直、セミは苦手だ。でも、このまま放っておくのもどうかと思ったので、裏庭の草のあるところに移してやろうと思ったら、かすかに足が動いた。瞬間、説明のしようがない深い感動が襲ってきた。命は残酷で、ときどきとても美しい。彼は忘れかけてたことを教えてくれた。

すべての生は死の上に成り立っている。

近年。都合が悪くなるとシカトされることが増えた。まるで僕だけが知らない文化みたいに。僕の中でそれはあり得ない = できない = ことなので、相手の立場になって考えることもできず、随分こちらも悩んだり傷ついたり苦しんだりした。自分の無駄にまっすぐな性格や正論が、誰かを追いつめているのかもしれないとは常に思うし、誰かがエスケイプできるだけのスペースは必ず作っているつもりだったけれど、いつだってシカトの本質は理解できずに居る。ある種の自己防衛本能なのかもしれないし、100%のシカトの後に、ケロっとした顔で何もなかったかのように振る舞われると、こちらの頭も混乱をきたしたりもする。

こういうとき、随分酒量が増える。良くない。まったく良くない。昨夜、いつもの店に行ったら休みだった。それで気づいた。

信じよう。100%の力で。それがまたウザイのなら、そっと静かに離れた場所でそう思っていよう。すべての生が死の上に成り立っているのなら、せめて、何かの役には立ちたいと思うから。きっと、それでいい。

台風がやってくる。それはそれでいい。洗い流して欲しい。

台風前夜。黄金の海。

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亡骸と抜け殻、シカトという文化、そして台風 への4件のコメント

  1. tsugoo より:

    死の上に成り立っているのですねぇ、生は。
    切った木の数より、切り続けた、斧そのものを人生の終わりに問われるのかと。昔読んだ本に書いてあって。そんな事を思いました。
    某月某日。有難う御座います。
    私も。なにかの役に立ちたいなぁ。

  2. Tomo より:

    思いも寄らない誰かの反応に、ただ呆然とする。
    でも、起きている事をただ受け入れるだけでいいのかもしれません。意味を持たせるのは自分、だから。
    ”本当に大切なものは失われない”のだから大丈夫ですね。

    お酒もいいけど、アウトプットも大事ですよ。

    海はいいですね。台風前の波に乗るサーファー、きっといろんなこと、洗い流してるはず。

  3. スズキコウイチ より:

    理不尽の向こう側へ。
    胸の中でいつもHotel Existenceが鳴り響いてます。

    海にとける太陽ですね。

  4. 桃子 より:

    最近洋さんが飲んだワイン、近くの店で見つけて購入してみました。名前から好きな映画を思い出したので。随分辛口だな〜。
    シカトもだけど、知りたくもない意図した忠告や嫌みを言われるのも凹むもんですよ。そこに割きたい時間はないから、そういう人とはサヨナラだけど。
    大切な相手なら何故?って聞かないの?
    去年の夏、すでにもう二度と会えない人になっていたと知った人がいて、数十年前が今生の別れだったと思い知らされた。最後の会話も覚えてる。全ての原因は自分にあったし、その時は貫きたい道を選択したから後悔はないけど、ものすごく哀しい。いつか街で電車でバッタリ会って、ごめんねが言えるかもと思っていた自分のお気楽さに言葉もなかった。周りにも迷惑をかけていたことを知らず、なのに誰も私を責めず黙っていてくれたことが最近になって分かった。ひとを傷つけたこと、私には洗い流せることじゃないから、その罰を受け取っている。多分最期まで。性格は変えられなくても、もう同じことを繰り返したくはない。終わらない夏も尽きない命もないから。100%の力で信じる洋さん好きよ。
    映画のラスト、灰になったらどこかに撒いて欲しいと私も思います。洋さんのお母さんみたいに。
    今日も太陽が昇ったから、誰かを想って、誰かのためにもう少し生きたい。あーっ!!工さんの新品の器でご飯食べる今日も幸せ。

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