OLD DEMO #001

10月15日 土曜日 晴れ

今年この仕事場に引っ越しするにあたって、大量のデモテープを発見したことは前に書いたよね?でも、それを再生するためのプロ用の機器が持っていた2台ともイカれてた。苦労してメーカーに修理に出したけど、応えは「不可」。怒。教えてもらったそのメーカーをリタイヤした職人集団の会社には4ヶ月待たされて、「プロ用の機器なので、手付金8万円、それに修理代と部品代実費」と云われてゲンナリ。怒。でも、せっかく発見したたくさんの資料だから、自分でその機器を探して買ったんだ。もう新品は売っていないからね。

そんな訳で、これからレコーディングの合間に取り込んで、みんなに届けるね。普段振り返らないから、なかなか愉しい。

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今日お届けするのは1999年(今から17年前)のデモ。後に「誰も居ない庭」として「LONG WAY FOR NOTHING」に収録された曲。当時は「Nobody in the garden」と呼ばれていて、歌詞もアレンジもメンバーも発表されたものとは異なる。

この曲は宮城県蔵王町にある廃校になった小学校(元牛小屋)に機材を運び込んで録音された。後に本格的にここで録音することになる「ヒヲウ戦記」のサントラをこの環境でほんとうに創れるかどうか実験も兼ねていたように思う。メンバーは伴慶充(Ds)、山川浩正(Ba )、それに僕。ここはスタジオじゃないから、何でも自分たちでやらなきゃけなかった。僕は犬とテントに泊まっていて、キャンプみたいで愉しかったけどね。まぁ、毎晩アホみたいに飲んでたけど。

僕が持っていた機材は相当貧弱で、ADATの8チャンネルをマッキントッシュとシンクさせて使ってた。後に「ヒヲウ戦記」の制作費で(つまりスタジオ代を浮かして)でマトモな機材を手に入れたけど、よくもまぁ、こんな機材でって感じではあった。マルチエフェクターはひとつだけ、コンプレッサーは山川くんが持っていてdbx160一台のみ。ミキサーはYAMAHAの安物の24ch。当然オートメーションなんてあるはずもなく。笑。このデモに入っている謎の音は僕が笛や自分の声をこれまたYAMAHAの安物のサンプラーでサンプリングして鍵盤で弾いたもの。なかなか、斬新なアイデアだとは思うけど。

でも、何だろう。確実に何かは記録されてるよね。あの機材でよくこの音をって感じ。もちろんミキシングしたのは僕。後にHWで発表したバージョンは魚の力によるものが大きくて(もちろんあのアレンジも嫌いじゃないけど)、彼は僕がこっちの方向に持っていこうとしたとき、「それはシリアスすぎる」って云った気がする。

今になって思えば、こっちもアリだったなぁ、と。あの頃、離れて住んでる母親孝行をしようと、よく外国で落ちあってた。そのとき、ふと感じた「死の匂い = 長くはないかも」をファンタジーとして描きたかった。実際、その予感は正しかったしね。この感覚、決して僕だけのものじゃないと思うし、分かってくれると思うけど、僕の感情を描きたかったんじゃない。

じゃ、愉しんでね。この企画、みんなが愉しんでくれるなら続けるよ。せっかく機械も手に入れたしね。じゃ、HW1999で「Nobody in the garden」。

Nobody in the garden DEMO1999

 

これは独りで蔵王にこもってたときの写真、still burningなんかはこうやって曲を完成させた。

これはヒヲウ戦記を録音してたとき。卓はタスカムでVCAのオートメーション・コントロールができた。ようやく24ch使えた頃。

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OLD DEMO #001 への26件のコメント

  1. mamo より:

    機材の進化とともに
    周辺もシンプルになり
    あれもこれも出来ちゃう
    なんか昔のほうが四苦八苦しながら
    楽しく仕事してたように思います(苦笑)

  2. うっちゃん より:

    いいですね。ヴァイブレーションの続きを聴きたいです…
    今どきの音の聴きやすさは、出来過ぎたレシピみたいでリピートせんし…。

  3. 萩原晋也 より:

    山口さん、ありがとう。
    いいもん聴かせてもらいました。
    どんどんアップして欲しいなぁ。
    まとまって、
    アルバムになったら買いますよ。
    デモに本質があるから、聴き応えあります。

  4. Ten より:

    大大好きな曲のデモテープが聴けて、
    とても嬉しいです♪ (=^ェ^=)
    山口さん、ありがとうございます!
    映像がまた浮かんで広がっていきました。

  5. こびど より:

    よかです!よかです‼︎

  6. kumiko より:

    大切な楽曲を惜しみなく視聴させて頂ける事に嬉しく思います。有難うございます。
    DON’T LOOK BACK全詩集に書かれている歌詞を見ながら聴きました。唄から広がる風景が心の琴線に触れて泣けました。
    是非アルバムにして欲しいです。
    いい唄作るなぁ〜‼️

  7. Masako より:

    貴重なDEMO音源。ありがとうございます。丸みのある柔らかな音と歌声が伝わってきます。じっくりと聴いていたいです。1999年、HEATWAVEの歴史を感じました。
    3回目、リピートしていたら涙が…。胸一杯です。

  8. Thor より:

    こっちのほうがしっくり感じてとても好き

  9. 内山五月 より:

    当時のライブで聴いてたアレンジに近いですね。
    この曲も目当ての一曲として楽しみにライブに行ってたことを思い出しました。
    毎回サビで鳥肌が立ってたなー。ベースのフレーズも印象的でした。特別な曲って感じがしてて、音源化を待ち焦がれていた(5枚組に収録されてた活動休止ライブ音源にも入ってなかったし)曲でした。
    LWFN収録バージョンを初めて聴いた時に、正直がっかり(今は好きですが)した記憶も。
    なので、今回の音源にかなりテンションが上がり、仕事帰りにリピートしながらまた鳥肌立てたり、色々思い出したり、また新しい気づきがあったり‥‥
    当時のライブ音源も聴きたいですが、求め過ぎですね笑
    ありがとうございました。是非継続を!

  10. けいじ より:

    かっこいい!何回も聴きたいです!

  11. スズキコウイチ より:

    山口さんが、このごろ話題にするビートルズを感じずにはいられない、浮遊感のあるアレンジだったんですね。アルバムバージョンと聴き比べて楽しんでます。貴重な音源ありがとうございます。

  12. サトウ より:

     当時、ライブで聴いて、このバージョンが大好きでした。改めて公開してくれてありがとう。うれしいプレゼントです。

  13. ひっしー より:

    すばらしい! 心のこもった音を聴かせてもらいました。このバージョンもいいですね。今後もレア音源のアップ、期待しています!!

  14. レプラコーン より:

    このバージョンめっちゃいいです。アルバムに収録されているのとは、また少し違った景色が浮かんできました。このシリーズ続けてください!

  15. ポルン より:

    ぐっと来ました!本当に素晴らしい!
    是非レア音源集としてちゃんとした形でリリースしてほしいです。

  16. (D@) より:

    貴重な音源の公開、ありがとうございます(^^

    あの頃・・・ トリオ・ザ・ヒートウェイヴ末期 → 栃木祭り/ヤポネシアン・ボールズ・ファウンデーション → ザ・りす → 復活Heatwave の流れの中で、目まぐるしいアレンジの変化にワクワクしたのを思い出しました。

    Sweet Heart/She’s Hurtなんかもずいぶん変化した・・・シリアスな感触が魚さんのアコーディオン&池畑さんのカウベル(?)でずいぶん救いのある感じに進化した記憶があるのですが、当初ヴァージョンのデモがあれば聴きたいですーとリクエストしてみる(汗)

  17. フラニー より:

    何回聴いても、最後のところで「ワーッ!!!」って感情が高まって
    涙がにじんできちゃいます…。
    現在の歌詞も、デモテープの歌詞も、どちらも大好きです。
    (ヘッドフォンしながらメモするのって楽しいですね☆)

    ファンタジーは本当に人を救うなぁ…って強く思いました。
    ひかりの中にいる人たちが「抱きしめられた」ことを思って…。
    山口さん、とびきりのデモテープを聴かせてくださって、
    本当にありがとうございます!!!

  18. 吉原 秀延 より:

    素敵な音源をアップしていただきありがとうございます。
    僕、伴さんのドラムも大好きです。
    続々のアップお待ちしています!!!

  19. toshie, tokyo より:

    季節が変わって、夜が長くなりましたね。夕陽は週末だけのものになる。
    シリアスが私には優しさに響くような。変わらずにいてくれたひとみたいな。音楽の不思議を感じつつ、ほっとできました。
    忙しい中、公開してくださり、ありがとうございました。

  20. aki より:

    いい!当時のライブを思い浮かべます。そっか17年前か・・・

  21. よしあ より:

    いつぞやのソニーのDATサポート終了問題、山下達郎氏も当時嘆いてました。

    音源凄く良いです。これはCD化すべきです。

  22. ゆか より:

    Demo音源アップ嬉しいです! これからも出来る限り
    公開していただけたらファンとしては ほんとーに楽し。
    こちらのヴァージョンも素敵ですねー
    私もこちら好みかも…なんて。

  23. 林檎 より:

    (> <。。。 いい曲ですね。

    聴かせて下さって、ありがとうございます♪o(*^O^*)o
    前から思っていましたが、山口さんの歌は噛めば噛むほど、聴けば聴くほど味が出て来て深くなって行きます。

    またOLD DEMO 聴かせて下さい!!!♫(*^-^*)

  24. ふるけん より:

    「LONG WAY FOR NOTHING」。
    数年前からケースはあるのにCDが見当たらない。
    久しぶりに、発売日に佐賀から久留米までCDを手に入れに行ったのを思い出しました。これからもアップ希望します。

  25. ジンジン より:

    10年以上前、来日したディランのライブを過去2回だけ観たことがあります。驚いたことは、原曲を全く違うアレンジにして別の曲のように仕立てることでした。変幻自在といいますか…。そのことをふと思い出しました。
    アルバムの曲とは違いがありますが、これも良いですね。魚さんのシリアスすぎるって言われた意味が少し分かる気がします。母上のことを思うと…ですね。
    このシリーズ、続けてください!!

  26. pachi より:

    ありがとうございます。すばらしいです!内容はちがえど、なぜか、ジョンのストロベリーフィールズフォーエヴァーを想起いたしました。

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