11月1日 火曜日 曇り 

 もう無茶はできないトシになってきたなぁ、とつくづく。山里に潜伏させてもらえなかったら、今回は完全に終わってたな。苦笑。でも、山の家のことは被災したまま何ひとつできなかった訳で、うーん、生き方を考えなきゃいけないのかもね。

 残された体力と相談していくつかのことを天秤にかけた。自分のことはもういい。墓参りも申し訳ないけど行く体力がない。

 不慮の事故で、喋ることも、動くことも、食べることも、何もかも奪われてしまった奴。同級生が昨日会いに行ってくれたなら、お前が云ってるほどヒドくはなかった、と。オレが行くことで少しでも刺激になれば、と福岡に立ち寄り、病院に行く。確かに奴は事故直後とは変わっていた。オレを知覚して、反応しているのは間違いなかった。反応しすぎて、痰がはげしく絡んで、目には光が戻っていた。手も握り返した気がする。感情がわずかだけれど読み取れる。笑ったような気さえする。奴と過ごした青春の日々。こんな時間がやってくるなんて想像もできなかったけど、とてもプレシャスな時間だった。光だよ。奴はまだ生きることを諦めていなかった。

 意志を伝えることはできない奴から力をもらった。さぁ、気をつけて家に帰ろう。お前ともう一回ステージに立つぞ、って云ったんだから、オレもちゃんと生きなきゃ。

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への4件のコメント

  1. Tomo より:

    あのお友達のところへ 逢いに行かれたのですね。よかった。丁度4ヶ月前でしたね…。
    生きるって、素晴らしいこと。大変な事もたくさんあるけど、生かされているって、有難いことと思います。
    きっとまた一緒のステージに。

  2. Masako より:

    友達の話、聞かせてくれてありがとうございます。胸に込み上げてくるものがあります。生きる力って本当に凄いと思います。

    1400キロってどんな距離だろうと考えてみました。先日72キロ車で走った。ってことは、約20倍? 長距離トラック運転手? 気が遠くなる…。道中休憩しながら、気を付けて帰ってきてくださいね。帰りの旅のBGM何かしら?

    先ほど、テレビ番組のBGMで「ヒヲウ戦記」のメロディーが流れてましたよ。

  3. 母親の目から光が奪われてしまい、半年ほどになります。いや、視力はありますが、病のため、生に対する意欲が失われてしまいました。でも、いつかまた母親の目に光が宿る日が来るまで死ねません。

    • かべ より:

      ヒロさんは優しい人ですね。その優しさは、お母さまに伝わっていますよ。
      ヒロさんもツラいでしょうが、お母さまに笑顔をプレゼントしてあげてください。お母さまの目にあたたかい光が宿りますよ、きっと。

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