10月27日 木曜日 晴れ
余計なものは持たないようにしてきた。なんと言ったって、オレたちは女工哀史みたいにトラックにメンバー乗せて、楽器だけをもって田舎から出てきた。だから、わずかな楽器しか持っていなかったのだ。
なのに。一人で暮らすには十分すぎる広さの家にはモノが溢れている。さらにいえば、滅多に帰れない山の家があるってことは家財道具を2セット持ってるということだ。我ながら背筋が寒くなる、、、。もし突然死んだりしたら、誰に迷惑をかけるのか、、、。
ひょんなことからオレの椅子を創ってくれることになった家具のプロデューサー。とってもフツーではない、オレが大好物なタイプのキチガイ(褒めてます)だったので、家に来てもらった。
才能とセンスのある人間のアイデアはそりゃー、どえらく面白いもので、まずはとある家具をオーダーで作ることによって、暮らしの風景が一変するアイデアだった。目指すところは清貧。うちのおかんの至言だけど「貧乏はOK、でも貧乏くさいのはダメ」。シンプルに静かに暮らす。昨日、それに気づかせてもらってから、必要なものとそうでないものが明確に見えてきた。
ちなみにやつが創ってくれた椅子は、いったんその材料である木を斬り出した森に還され、座面には丹沢の鹿の皮が貼られ(用途が明確ではないと決して譲ってくれない猟師から手に入れたのだと)オレの名前が入ったプレートが見えない場所に埋め込まれている。
さらに。形をなくすために、燃やす実験までしているのだ、と。キチガイだ。素晴らしい。
俺は「無」でなく「空」なんだよって話をして、たいせつに育てたビワの苗をプレゼントした。
やつとの話はこんなもんじゃなくて、笑えるストーリー満載なんだけど、それはまたいづれ。
なんにせよ、人生は面白いんだよ。戦争に反対する唯一の方法は「暮らしを美しくすることだ」って至言があるんだけど、そう思うよ。
戦争に反対する唯一の方法は「暮らしを美しくすること」って
ステキだと思いました。
吉田健一氏の言葉なのですね。
吉田健一氏の訳したものは読んだことがありましたが、
いろいろなものを読んでみたくなりました。
こうして、私の毎日も少し豊かになります。
ありがとうございます。
ブログ、いつも楽しみにしています。