Everybody must get stoned day #003

7月9日 火曜日 曇り 

 「Everybody must get stoned」って特別に優れた歌詞だと思う。受け取りようによってはどのようにも解釈できる。だいいち響きがいい。

 畠山美由紀さんの曲を身体に入れていたので、仙台への道すがらはずっと、それらがリピートしていたけれど、今日は子供の頃から脳裏に染みついている「雨の日の女」のオチ部分の意味を身にしみて理解することになる。

 「みんな雨に打たれればいい」。

 仙台から北海道に渡るために。どこからどう考えても、仙台あたりにかかる雨雲を抜けるしかなかった。どのみち逃げることはできない。仙台港からフェリーで苫小牧に行ったとしても、苫小牧から函館に移動する間に激しく雨に打たれる可能性がある。これはもはや翌日ライヴができるとは思えない。

 熟考して、もっとも雨に打たれない方法と時間帯を選んだ。が、しかし。

 仙台から東北道に入り、大谷選手の故郷にたどり着くまでの約100キロ、時間にして1時間半。仙台は蒸し風呂のような暑さ。それにカッパを着ているともはやサウナ超え。仙台に来るまで身体中に汗疹だらけになった身体にひときわ堪える。そこからひたすら雨。

 「Everybody must get stoned」。

 高速での雨を長時間受け続けるのはほんとうに堪える。なにかの罰としか思えなくなる。視界は不良、トラックにははねかけられ、とにかくずっと弾丸の嵐を浴びているような。次第にカッパは意味をなさなくなり、ブーツに水はたまり全身ズブ濡れ。風も合まって、低体温へまっしぐら。

 とにかく雨雲を抜けよう。考えられるのはそれだけ。運転には全集中。奥州で雨雲を抜けたとき、全身の力が抜けた。ギリギリだった。

 装備をほどいて、まずは着替える。あたたかいものを食べて、体温が戻るまで約1時間。アーメン。

 そこから雨雲を避けながら、合計7時間。岩手山あたりで警告灯が点灯。マエストロに電話したなら、電気系統の故障らしい。雨で基盤がショート。右のウインカーが点灯しなくなる。いまどき手信号かい!このままじゃ、北海道に行けなくなる。そこに神が現れて、なんとか修理してくれることになる。でもまぁ、この手のハーレー。基盤がもしやられていたなら、青森ですぐには手に入らないだろう。

 マエストロの記述はこちら。興味ある人はどうぞ。

 まったく技術っていいんだか、悪いんだか。シンプルな構造だったら、簡単に直せるはずなのにね。

 とにかく。7時間かけて青森県弘前市にたどり着いた。地獄のような経験だった。笑。出発したときは酷暑だったけれど、去年北海道を走った経験が役にたった。寒いときは恐ろしいほど寒くなる。だから、革のライダージャケットを上下持っていたのだ。それがなければ、もはや続行不能だったと思う。

 「みんな雨に打たれればいい」。

 雨に打たれて、打たれて、打たれ続けて。それはたぶん禊のようなことだったんだと思う。おとといの軽い絶望感もすべて洗い流すために。推してた候補者も、全面的に推していたのではなく(その表情にいつも違和感があった)「消去法」でその存在しかなかっただけの話。それでも惨敗。いったいどんだけマイノリティーなんだよって事実を叩きつけられる。

 でも。もともとそうだったじゃん。頑ななのではなく、自分がおかしいと思ったことを、最後の1匹になったとしても、山の上から叫ぶ覚悟があるかどうかだもんね。

 「おかしい!間違ってる!」ってさ。

 その強さを確かめるために今日はあれだけ雨に打たれたんだと思う。笑。

 バイクはともだちに預けて、オレは北海道に向かうことにする。

 アーメン。

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Everybody must get stoned day #003 への6件のコメント

  1. htnk より:

    九州まで西向きに走ったことがあります
    午後はずっと眩しく
    雨に向かって突っ込んで行く感じ
    天気雨のきらきらした中を走るのは気持ち良かったです

  2. キャッツ より:

    ロードムービーを見ているようなお話。
    いやいや、映画でなくて実話ですから、どれだけ大変かイメージします。
    無茶を承知の旅でしょうけれど、心が強くなる。
    達成感に満たされているのではないでしょうか。
    まだまだ帰り道もありますから、御安全に。

  3. ハートロッカー より:

    山口さんのツアーは生き方そのもの五穀豊穣って感じがする。

    本当達観してますね。

    むふふ自分を追い込む事でBreath of the Wild

  4. Sayumi より:

    無事に函館まで辿り着けたみたいで安心しました。
    山口さんが同じ北海道の大地に立っていると思うだけで嬉しくなります。
    あと3日後、、、楽しみで楽しみで仕方がありません!

  5. 中澤 美穂 より:

    山口さん、こんにちは。

    イージーライダーもここまでやってないわと思いながら拝読していました。いや、描かれないだけで、こんな日も彼らにはあったのかもしれませんね。

    公共交通機関の有り難さはよくわかったうえで、今回のソロツアーは、山口さんにとって、自分の足で辿り着くことに意味があるのだと思います。

    汗疹、大丈夫ですか。アセムヒ、ジョンソン ベビーパウダーをもう、ぶっかけてください。

    夫が、山口さんの背中に塗ってやりたくてもやれないから、山口さんに、フロアに撒いたベビーパウダーの上を仰向けに転がってもらおう、猫がゴロンゴロンやるみたいに、と言っていました。え、もう試した?どうぞおだいじになさってください。

    マエストロの基板の投稿、拝読しました。今のマシンは基盤という精密電子部品によって高度に制御されているが、基盤は経年劣化に伴い必ず故障する。そして、精密に制御されているマシンであればあるほど、故障を引き起こすのも、たったひとつやふたつの基盤の不具合だったりする。高度な技術を用い、精密に制御しているはずが故障もしやすいって矛盾していますよね。でも、マシンだけじゃなく、政治や組織も、思わぬところでトップが足を掬われるのは、末端の不祥事だったりする。制御に苦慮するという点に於いて、マシンも人も同じだと思いました。

  6. fujiiku より:

    ハーレー マエストロ氏のブログ拝読いたしました。乗り物系/電気系には全く疎い私ですが 氏のハーレーへの愛を感じました。話は少しそれますが先日 ホンダのカブ50CCの生産終了のニュースにはなぜかとても寂しさを感じました。田舎暮らしが始まる年になったら50CCのカブには乗ってみたと密かに思っていました。

    本日加藤和彦氏の映画みてきました。ソロの作品などほんとんど聞いた事ないのですが
    見れて良かったです。最後ちょい涙でました。

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