SOMA WEEK開幕

12月5日 月曜日 晴れ

それが良いことであれ、そうでないことであれ、人はキャパシティーを超えるものを受け取ったとき、言葉を失います。SOMA WEEK第一クールを終えて、東京に戻ってきた今の僕の状態がまさにそれです。深く人々に感動し、公衆の面前で号泣し、海よりも深いため息も何度かつきました。でも、僕は伝えなければなりません。これは応援してくれたみんなの気持ちがこもったプロジェクトだからです。正直に云って、まだ何も咀嚼できていません。だから、ときどき支離滅裂になることを許してください。感じたことを、出来るだけ心の深いところから伝えてみたいと思います。

僕はいつもと違う道を選びました。ほぼ全員が避難している飯館村のとある地区を抜けたのです。晩秋の美しいにも程がある、東北の山里の風景。きれいに手も入れられています。でも、誰ひとり居ないのです。運転しながら、急にこみあげてきたものを止めることは出来ませんでした。個人的な話ですが、僕にもう帰る故郷はありません。だから、それを想う人の気持ちは分かるつもりでいます。彼らがどんな気持ちで故郷を離れなければならなかったのか。そして、今どんな気持ちで帰郷に焦がれながら、暮らしているのか。それを想うと、本当に何というか、相馬に着く前に、心が折れました。これだけは伝えたいのです。原発事故はまだ「何も」終わっていません。何の罪もないまま、自分の村から引き離された人々のことを忘れたくありません。彼らがそこに帰るためには何をすればいいのか。あるいは帰れないのなら、どうしたらいいのか。うー、いろんな想いが頭の中をグルグル巡ります。

最初に向かったのは南相馬市にある自立研修所「えんどう豆」です。ここに書くのもはばかられるほど、震災後、彼らは苦難を乗り越えてきました。そして、今現在も放射能に苦しめられています。でも、笑顔を忘れません。所長の佐藤さんをはじめ、みんな生き生きと「ここで」生きています。リクエストは「ほんの短い時間でもいいから、美味しいものをみんなで一緒に食べて、ほっこりしたい」でした。プロジェクトが誇る料理人たち5名が前日から乗り込み、魚どころなのに、食べられなくなってしまった魚を振る舞うために、奮闘しました。ありがとう、お前らサイコーだよ。
僕は彼らが食べている間、ずっと縁側に座って、彼らの声を背後で聞いていました。余計な都会のテンションを狭い部屋の中に持ち込みたくなかったからです。料理人達の心意気をゆっくり味わって欲しい。そう思ったのです。目の前には「えんどう豆」の畑が広がっています。そこに作物を植えることはできません。収入の道は断たれました。心の中で何度「畜生」と叫んだか分かりません。それが誰に対してのものなのか、未だに分かりません。

原発から20キロ圏内にある3つの高校を統合した「仮設高校」に行きました。猫の額ほどのグラウンドで野球部が練習しています。そして真横には表土を剥がれた土がブルーシートと共に山積みにされています。頭の中で、確かに何かが切れる音がしました。イカれてます。狂ってます。云うまでもなく、生徒たちが狂っているのではありません。我々大人たちが、です。政府がです。自治体がです。こんな環境の中でも、野球に励もうとしている学生たちに、僕はカメラを向けることは出来ませんでした。
それから僕らは明日のアイルランドとの交流会の仕込みに行きました。大学を出た後、僕は式典屋でアルバイトをしていました。得意分野です。走り回って、汗をかいて、気持ちを込めて、自分の気持ちを立て直しました。心のこもったたくさんのプレゼントが用意されています。人を想うのも人、自分のことしか考えないのも人。それが僕らの住んでいる世界です。

会場の設営を終え、リアムと合流しました。相変わらずの下手クソな英語で、このエリアのことを説明しました。彼は黙って、それを聞いてくれました。さぁ、明日は来年に繋がるいい一日にしよう。でも、このままじゃ無理だ。それを察した相馬の友人たちが、アホ化して、酒でネガティヴなものを洗い流してくれました。ありがとう。

朝の4時台に出発。

朝の4時台に出発。

群馬あたりで太陽が昇ってきました。

群馬あたりで太陽が昇ってきました。

もうすぐ福島です。

もうすぐ福島です。

福島は本当に美しいのです。

福島は本当に美しいのです。

飯館村に入りました。

飯館村に入りました。

心を鬼にしてシャッターを押します。

心を鬼にしてシャッターを押します。

こみ上げてくるものを押さえられませんでした。

こみ上げてくるものを押さえられませんでした。

手を入れられた、この美しい村を観てください。

手を入れられた、この美しい村を観てください。

誰も居ないのです。

誰も居ないのです。

本当に誰も。

本当に誰も。

料理人たちの仕込みに合流です。

料理人たちの仕込みに合流です。

顔は怖いけど、優しい男たちです。

顔は怖いけど、優しい男たちです。

プロジェクトに託してくれたみんなの気持ちも込めて作業してくれています。

プロジェクトに託してくれたみんなの気持ちも込めて作業してくれています。

八丈島の鮨なんだそうです。喰いたかった、俺も。

八丈島の鮨なんだそうです。喰いたかった、俺も。

料理をえんどう豆に運びます。

料理をえんどう豆に運びます。

美味しいものは人を幸福にします。

美味しいものは人を幸福にします。

隊長H、料理に込めた思いを語ります。

隊長H、料理に込めた思いを語ります。

井戸水はもう飲めません。ミネラルウォーターも尽きようとしています。プロジェクトはウォーターサーバーを設置させてもらうことにしました。

井戸水はもう飲めません。ミネラルウォーターも尽きようとしています。プロジェクトはウォーターサーバーを設置させてもらうことにしました。

これがえんどう豆の畑です。作物を植えることはできません。

これがえんどう豆の畑です。作物を植えることはできません。

本当に美しいところなのです。放射能さえなければ。

本当に美しいところなのです。放射能さえなければ。

仕事を終えた料理隊長と相馬人。

仕事を終えた料理隊長と相馬人。

また会おうね。元気でね。つーか、明日歌ってくれるんだったね。俺もギター弾くよ。

また会おうね。元気でね。つーか、明日歌ってくれるんだったね。俺もギター弾くよ。

僕の心を鷲掴みにしたのは通称「うっかりハチベエ」。

僕の心を鷲掴みにしたのは通称「うっかりハチベエ」。

横断幕にはしゃぐおっさん二人。えんどう豆の佐藤さん、手作りです。感激。

横断幕にはしゃぐおっさん二人。えんどう豆の佐藤さん、手作りです。感激。

ヤイコさんからも明日の交流会にやってくる子供達100人にプレゼントが。ありがとう。

ヤイコさんからも明日の交流会にやってくる子供達100人にプレゼントが。ありがとう。

浅草の靴屋さん、ダニューからルームシューズ100足がプレゼントされました。ありがとうございます。

浅草の靴屋さん、ダニュー社からルームシューズ100足がプレゼントされました。ありがとうございます。

さー、がんばって設営するぞー。

さー、がんばって設営するぞー。

アイルランド大使館が集めてくれたアイルランドの子供たちの絵です。

アイルランド大使館が集めてくれたアイルランドの子供たちの絵です。

大使館からはティン・ホイッスル100本が。

大使館からはティン・ホイッスル100本が。

鎌倉の老舗、小川軒からはオリジナルクッギーが100セット。

鎌倉の老舗、小川軒からはオリジナルSOMAクッギーが100セット。

忙しいのに、わざわざ来てくれて、本当にありがとう。小川軒のボンと。

忙しいのに、わざわざ来てくれて、本当にありがとう。小川軒のボンと。

リアム、到着。

リアム、到着。

えんどう豆の佐藤さんとは深い仲になってしもうた。でも、僕は彼を尊敬しています。

えんどう豆の佐藤さんとは深い仲になってしもうた。でも、僕は彼を尊敬しています。

そして今夜も壊れるのかー。南相馬が誇るDJ、ガイガー柚原と。バックルは彼のプレゼント。さんきゅー。

そして今夜も壊れるのかー。南相馬が誇るDJ、ガイガー柚原と。バックルは彼のプレゼント。さんきゅー。

 

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SOMA WEEK開幕 への2件のコメント

  1. min より:

    すいませn
    一日遅れで、読みました。わたしは、山口洋が大好きです!!!!!!どうか、たくさんの、傷ついた人たちを、励ましつつ”けてください。あなたの歌の力で!

  2. ピンバック: SOMA WEEK at 今日のヒマール

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