Mr.PAUL BRADY DAY#3

3月10日 日曜日 曇り

ポール・ブレイディー東京公演最終日。

優れたシンガーのすぐ側にいるってことは、またとない学びの機会でもある。彼は主人公を演じるように歌うときもあるし、主人公そのものの時もある。客観性を保って、ストーリーテラーのように歌うときもある。観客はステージにたくさんの短編映画を観る。ひとつのステージでこれだけのキャラクターを使い分けるってことは簡単なことじゃない。僕はバックステージで表現の可能性について、彼の後ろ姿からたくさんのことを学んでいる。ほんとうに、何というか、プライスレスだ。

彼と同じステージに上がり、一本のマイクを巡って、彼から放たれるエネルギーの渦に包まれ、ふたりで「この一瞬」に賭ける。ミュージシャンは素敵な商売だと思う。幸福だ。昔だったら、どえらい緊張したと思う。でも、そんなことより、「この一瞬」が愛おしい方が勝る。歓びの中で、僕はまた彼に教えられる。贅沢だ、と思う。プライスレス、アゲイン。

明日、移動日の彼が「ヒロシの11日の福島でのパフォーマンスを観たい」と云ってくれたのだと。嬉しかった。だから、食事中にちょっとだけシリアスな話をした。「福島は今、どうなんだい?」と彼が聞くので、状況を伝えた。その時の彼の表情が忘れられない。ひどく真剣な目で「政府は何をやってるんだ」と云った。こうやって、65年の人生の中で、いろんなことに胸を痛め、傷つきながら、それを糧にして彼は歌を書いてきたのだと思う。同じステージで名曲「CRAZY DREAMS」を演奏するとき、移民せざるを得なかった人たちの思いに僕はぐっと来る。彼からもらったエネルギーを明日、福島に伝えてこよう思う。

追伸
ライヴ時、最前列、僕の目の前で、ポールを食い入るように見つめ続けていた若いあなた。たぶん、お母さんと一緒に来てたのかな?違ったらごめん。僕はあなたに伝えたいことがある。もし、これを読んだら、サイト宛にメールをください。

出勤だー。半袖だー。

出勤だー。半袖だー。

今日のお供はこれだったのだが、ライナーを今日会場で物販を担当してくれている五十嵐正さんが書いていた。

今日のお供はこれだったのだが、ライナーを今日会場で物販を担当してくれている五十嵐正さんが書いていた。

25.5度だぜ。3月だぜ。信じられる?

25.5度だぜ。3月だぜ。信じられる?

そして東京は午後2時にこんな空になった。

そして東京は午後2時にこんな空になった。

今回僕はポールのギターテックもやっているので、開演前に僕らの楽器を並べてみた。

今回僕はポールのギターテックもやっているので、開演前に僕らの楽器を並べてみた。

今日もこの一本のマイクを巡って、エネルギーが交感される。

今日もこの一本のマイクを巡って、エネルギーが交感される。

弾きこまれたポールのローデン(アイルランド製)。

弾きこまれたポールのローデン(アイルランド製)。

彼のピアノも素晴らしい。

彼のピアノも素晴らしい。

 

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Mr.PAUL BRADY DAY#3 への4件のコメント

  1. Froggy II より:

    私の代わりに昨夜のライヴに足を運んでくれた兄。会場へ向かう途中でハプニングがあり、助けにきてくれた後輩も誘って一緒にライヴを見てきたという。同日深夜2時、「聞けてよかった」と兄からメール。こんな時間にメールよこすなんて、よほど何かが心に響いたんだろうな、と感じた。そして今日。仕事で超忙しいにもかかわらず再びメールをくれた。「ポールは悲しみがあって、諦めがあって、祈りがあって、それがみんな自然で。とてもよかった。」 シェアとか共感の喜び、しみじみ…。兄も彼の後輩も音楽関係の仕事。だから結果的に今回私が行けなかったことや、ハプニングがじつは宇宙の粋な計らいのように思える。兄ちゃん、いつもありがとう。この次は私も行くよ!お兄のおごりでね(笑)

    • はる より:

      山口さんの音楽に出会わなければポールのあんなにもすばらしい音楽に出会うこともなかったんだろうなと昨夜のライブを拝見し思いました。
      私にとって幸せな出会いになりました。心の底から「楽しい!!幸せ!!」と感じたライブです。
      ポール、山口さん、スタッフの皆さんに感謝しています。
      京都でのライブも頑張ってください。

  2. Tadd より:

    山口さん、新結成デュオ「ポールと洋」の写真です。
    (下手な素人写真ですみません)
    http://www.facebook.com/media/set/?set=a.10151341306793061.1073741826.697133060&type=1

  3. toshie, tokyo より:

    今日は、もっとリアルに感じたくて、思い切って前の方へ。目が合うくらいの。もう集中です。「迫真の」というが、迫るんじゃなくて「真」に入っていく。その曲が終わって、笑顔で一言をもらって、やっと、私は、今に戻ってくるくらいの。
    最終日なので、サイン会へと頑張ってみました。
    日本に来てくださって有難うございます。三夜、とても楽しみました。で、感想を言おうとすると、間髪入れずに、「3回来たの? それは、キツかったでしょう?(“punishment”とおっしゃいました)」って、予想外のいいジャブがきたっ!「そんな、キツいなんてことは全然ありませんよ。。。。実際、それがとってもよかったんです。」って、言ったら、声を上げて笑ってくれました。キラッキラッの瞳で、笑顔で握手で。新しいファンになりました。ありがとうございました。
    京都、行ける方は、是非。

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