流れていくこと

1月3日 月曜日 晴れ

涙もろくてかなわん。これも一つの老化かな。

久しぶりにテレビを観ていた。鳥取に住む聴覚障害を持つ16歳の少年が写真を撮ることによって、自分を変えていこうとするドキュメント。彼は被写体を前から撮る勇気がなかった。その気持ちは良く分かる。僕も未だに人にカメラを向けるのには勇気が要る。そこに自分の「怖れ」が映るからだ。まして、彼の言葉は聞き取りにくい。僕が彼だったら、どうするだろう。そう思いながら観ていた。彼には素晴らしい先生が居て、ひとつの課題を出した。奈良に行って、観光客の外国人の写真を正面から撮ってくること。それは16歳の内気な少年にとっては高すぎるハードルだったと思う。果たして、奈良で、彼はようやくひと組の外国人のカップルに狙いを定めた。でも、言葉をかける勇気がない。後ろをずっと追いかけて、不審がられて、遂に意を決して、身振り手振りで写真を撮らせてくれと頼む。撮影を終えて、おぼつかない口調で「サンキュー」と彼が言葉を発した瞬間、涙腺決壊。彼の表情から今更ながら教えられたことは大きかった。

いくつになっても人は「怖れ」を超えて、殻を破り前に進んでいかねばならない。安住や安息は多分、僕にはない。そこにじっとしていることの方が怖い。前向きに流れていく、あるいは能動的に流されていくしかないのだと思う。

親友である画家がオランダ滞在中に作った作品

ずっと僕の暮らしを見守っている

無言の音楽のように

カテゴリー: 未分類   パーマリンク

流れていくこと への2件のコメント

  1. 人事くん@高松 より:

    その番組ちらりとみた覚えがあります。
    最後までみればよかったな。

    さっき佐野さんの30周年の番組をみていて、
    あらためて、すごい人だなと。
    初めて、レンタルレコードで借りたのは元春。(時代だなぁ)
    ある時期は、よくライヴをみてました。
    いつも先を走って、そのあとを追うかんじです。
    いつまでも、そうですね。

  2. かつらぎ より:

    偶然その番組を見ていました。砂丘で、その少年が撮って写真がすばらしかったです。心を解放するってこと、
    彼の写真に教えられました。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>