隣人

9月13日 火曜日 雨 

 アニキが異国からやってきて、ひさしぶりにいろんな話をして、プロの酔っぱらいの教えに従って3杯で店を出て、家に帰った。

 前の家の隣人の方からメール。旦那さんが亡くなったと。ウ、ウソだろ。一瞬で酔いがさめた。5年も隣に住んでいて、名前も年齢も知らなかったし、敢えて知ろうとしなかったけれど、僕は彼が大好きだった。どんなときも彼は僕に同じ体温で優しく接してくれた。だから、敢えて僕は距離を縮めることはしなかったのだけれど、引っ越しのとき挨拶に行ったら、実は音楽が大好きでギターを弾くんだって、奥さんが僕にそっと教えてくれた。そうかぁ、だから、あんなに一家揃って僕に優しくしてくれたんだって。そもそもそのとき、オレの身元はバレバレだってことも分かったし、もっと交流すれば良かったって。何格好つけてたんだ、オレみたいな。

 いつだって後悔は先に立たない。

 都会の住宅地での距離の取り方、彼らに関しては、おおいに間違えてた。そして彼は同じ年だったって、さっき知った。あり得ない。あり得ないよ。

 8月の末に病院に行って、入院して1週間で居なくなってしまったって。

 僕はね。あの素敵な家族と会おうと思えばいつでも会えた。一人で住んでる僕に送られてきた美味しいもの、いつだってあの素敵な家族にお裾分けできた。「元気ですかー?」って。隣に住んでたときは、近すぎてそれをしなかった。離れてからは、忙しさにかまけてそれをしなかった。

 あり得ない。ご家族の気持ちを想うと、胸が詰まる。

 でもこれが人生、なんだね。だから、いつもの別れも今生の別れだと思って生きなきゃね。それを彼は教えてくれたんだね。

 Sさん、生まれてきてくれてありがとう。オレ、会いにいくよ。遅すぎたけど、あなたに感謝したいし、あなたのLIFEを祝福したい。

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隣人 への4件のコメント

  1. meimay より:

    長く生きていると、そういうことありますよね。
    この人とはどういう距離の取り方をしたらいいのか・・・バランスのことをたまに考えます。
    いま会っている人たちとの関わり方、とても考えてしまいます。
    好き嫌いの感情に振り回されてばかりだけれど、後で後悔したとしてもそれも人生か・・・もう会えないかもしれない人とこのひととだけでも笑い和えて学び合えるって素晴らしいですね。

  2. うっちゃん より:

    私も、顔見知りの名前知らずの方々に、励まされたり支えられたり。それがあるから、腐らず優しくなれるのかなと。ただ傍にいて、ほっといてくれるやさしさ。Sさんもどこかで、ヒロシさんとの距離感を愉しんでいたはず。Life goes on…

  3. ジンジン より:

    いろいろ考えてしまいました。

    風の噂や地元新聞のおくやみの欄で同級生や恩師の訃報を知ることが、年々増えてきました。会うことがなかった(または、敢えて会わなかった)相当な長い期間でも、お別れを言いたい方の通夜、葬儀にはできるだけ出向くようにしています。けじめというか、せめてもの罪滅ぼしと思って…。恩のある方には特にそう思います。

    Sさんや家族の方々の山口さんをそっと見守る感じのスタンス。また、山口さんの敢えて距離を縮めないスタンス。どちらも間違ってなんかいません。思いやりじゃないですか。愛ですよ。ただ、胸は詰まりますが…。ご冥福を祈ります。

    一期一会。これが最後と思って接していけたらなぁ。

  4. めっっしゅ より:

    激しく胸が波立っております。
    まずは隣人におすそわけ・・がんばってみます。

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