日別アーカイブ: 2012年5月10日

頼むぜ !

5月10日 木曜日 曇り 僕のほんとうに大切な友人が脳卒中で倒れた。(あの、その人物が誰かなんて類推しないでね。僕はそんなことを伝えたいのではない)その知らせを本人が僕の携帯に残したメッセージで知った。本人が喋ってるってことは、死んではいないと云うことだけれど、まったくよう。 その人物は曲がったことが大嫌いで、どんなに巨大な相手でも、云わなければならないことははっきりとモノを云う。生き馬の目を抜くような欲にまみれた某業界で、辣腕をふるい続けていた。いつだってその人物の主張は僕にとって正しかった。私生活は別として(ごめん)。やっかいなことに、僕は奴が大好きなのだ。豪快かつ繊細で、無茶苦茶なところがあるけれど、人間としての魅力に溢れている。あんな人間は観たことがない。もし世界があのような人物だらけだったら、間違いなく破滅するけど、絶対に必要不可欠。 とにもかくにも、その真っすぐな性格ゆえ、多大なストレスがかかっていたことだけは間違いなかった。まったく何てこった。僕は同じく、大切な友人であるその連れ合いに電話した。「ヒロシさん、たまんないっすよ。ようやく退院して、家に帰ってきて、これからリハビリだっつーのに、目を離した隙に、友達を家に呼んで酒盛りしてんすよ。それも半端な量じゃないんすよ。後2ミリ血液が脳を侵食してたら、どうなってたか分からないんすよ。なのに、信じられます? 酒盛りっすよ!!!! もーっ」。奴には悪いが、笑ってしまった。さすがだ。すごすぎる。バカすぎる。そしてちょっと素敵。僕にできることは、その大アホ夫婦のパンチキックになることである。おーおー、君らのストレスなら、何だってオレが受けてやるよ。あんた達は世界に必要なんだよ。だから、頼むから、どんなに世の中が腐ってたとしても、もうこんな無茶はしないでね。元気になったら、とある場所に一緒に行くの、忘れちゃだめだよ。約束だよ。 ふーっ。生きてて良かった、と電話を切って。今、モーレツに無茶をしている友人たちが次々に頭に浮かんできた。みんな、無茶をしているのは自分のためではない。世界のためだ。僕は高速道路を爆走中だったが、自慢のsiriちゃんに音声で命令を下し、電話をかけ続けた。ある人物はボロボロの声で電話に出て「明日は往復11時間かけて、某所に行かなきゃならない」と語るので、「このばかちんが(金八風に)。あの根性者がぶっ倒れたってことは俺たちへのメッセージなんだよ。そんな仕事(失礼)バイトを雇って解決しなさい」とか、何とか。でも、ほんとうに僕はそう思うのだ。芸術であれ、仕事であれ、プロジェクトであれ、人生であれ。最後に必要なのはアイデアではなく、体力だ。つまり健康な身体。あのばかちんはそれを身をもって僕らに教えてくれたのだ。 とここまで書いたところで、本人から電話が。あんたほんとに脳卒中かよってくらい、二人で笑い転げた(本当はその内容をここに書きたいけど、ブラックすぎて無理)。あんた、最高だわ。なんで、ぶっ倒れた人からオレはエネルギーをもらってんだか。 ところで。World Partyって知ってますか? 僕が他人と思えないミュージシャンのひとりで、中心人物の名はカール・ウォリンガー。初期のWaterboysに居た人です。最近、新譜が出ないなぁ、と思っていたら、同じように脳の病気で倒れていたのだと。知らなかった。ともだちが新譜が出ていると教えてくれました。な、なんと5枚組。「ARKEOLOGY」さっそく僕も注文しました。まだまだリハビリも大変そうだけれど、カールさん、あなたは僕と演奏することになっている(根拠はないけど、多分そうなる。昔からずっとそう思ってきたから)んだから、元気で居てくださいね。World Partyのファンだった人は、是非、「ARKEOLOGY」を買って彼を支えてください。よろしくね。知らない人は、この大名曲をどうぞ。 ———————————————- 最後に群れない文筆家。丸山健二さんのツイートを。痺れます。 「絆や触れ合いや助け合いという言葉が幽する甘ったるい響きに酔い痴れ、その陶酔感をバネにして生き延びるための活力を得たとしても、それはあくまで一時的な錯覚にすぎず、本当の強さにはつながらない。最後にものを言うのは、各人がそれぞれに悲しみと挫折感のどん底でつかみ上げた居直りである」。 ほんとうにそう思います。どん底は悪いことだけじゃないよ。 ——————————————— 明日、1200キロ移動して、九州ツアーです。福岡、熊本、長崎。みんなに会えるのを楽しみにしています。あまりの日々に、おかんの命日を忘れてしまいました。おかん、ごめん。墓参りに行くから許してね。

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