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2022.3.18 Release
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2019.5. Release日本のあちこちにYOUR SONGSを届けにいく 2018 山口洋
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HWNR-012 ¥2,500(税込)『OFFICIAL BOOTLEG #003』 HEATWAVE
2015.5 Release
HWNR-010 ¥2,500(税込)DON'T LOOK BACK.
山口 洋 全詩集 1987-2013 B6サイズ 272P 特製栞付き ¥2,800THE ROCK'N ROLL DIARY, 2011 3.11〜 陽はまた昇る B6サイズ 176P ¥3,000SPEECHLESS Yamaguchi Hiroshi / Hosomi Sakana
2011.2.9 Release
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日別アーカイブ: 2014年11月10日
HEATWAVE / 夕陽へのファンファーレ #003
11月10日 月曜日 雨 今回の録音の方法について、「途方もない航海」と書きましたが、経験のない人はまったくちんぷんかんぷんだと思うので、触れておきます。 以前から、資質として、僕はレコーディングスタジオがあまり好きではなかったのです。まず、開放的な音楽を作りたいのに窓がない。都会では防音のため仕方ないのですが。僕が好きな場所には窓があります。阿蘇なんて、窓しかありません。雷が鳴ったら、防ぎようがない。でも、それが音楽だと僕は思うのです。 2000年になったばかりのころ。サウンドトラック「ヒヲウ戦記」で大胆な実験をしました。廃校になった小学校跡の牛小屋にすべての機材を持ち込んで録音するという方法です。曲数が半端なかったので、早起きして、食事をつくり、散歩して曲を作る。昼前からその曲を録音して、夜は飲む、みたいな。晴れた日に、雨の曲ができるはずもなく、甚だ第一次産業的な、自然に思いきり左右される録音は困難でしたが、実りあるものでした。何よりも、あれから10年以上経過しても、まったく独自のサウンドは古くならないのです。 ならば、この時代、無駄に多大な予算をかけることなく、情熱を込めていい作品を作るにはどうしたらいいのか?独自のやり方を模索すべきです。僕らもPRO TOOLSを使います。でも、同じ使い方をしたら、世間と同じ音にしかならないのです。 きっかけは魚さんの発言でした。僕自身のパフォーマンスがスタジオに居るときより、ライヴの方がいい、と。僕もバンドのパフォーマンスはライヴの方がいいと思っていました。二人で作ったアルバム「SPEECHLESS」は殆どが千葉のANGAで録音されたものをベースに作られています。それをバンドに昇華させるのは不可能ではないかもしれない。 「HW SESSIONS」という企画ライヴを立ち上げ、バンドでの実験を繰り返しました。そのリハーサルも、ライヴの瞬間も、マルチトラックで記録されていました。とはいえ、ただ記録したものと、中盤から我々がこころから信頼しているレコーディング・エンジニア、森岡徹也が記録してくれたものは、びっくりするくらい音が違っていました。太さも、艶も、音の伸びも。最初から気づいとけよーーー。 合計15時間分くらいのファイルがありました。それを仔細に渡って「すべて」聞きました。結構、苦痛を伴う作業だったので、それは外国の標高3000メートルの宿で一ヶ月かけて、やりました。毎晩毎晩、修行のようにファイルを聞き、どれをどう使えば一枚のアルバムになる可能性があるのか、考えました。云うまでもなく、殆どがNG。ただし、魚が云った通りに、チャーリー・ワッツに負けないくらいの池畑さんのフィルがあったり(そのフィルだけでテイクをOKにしたこともあります。ロックンロールですから)、とんでもないミラクルが記録されていたりもするわけです。ただし、そのテイクに限って音が良くない、とかね。トホホ。 今回のアルバムはシンプルなものにしようと思っていたので、ストリングスやホーンセクションなど、ゴージャスなダビングをするつもりはありませんでした。もちろん、何も足さない状態で歌まで含めてOKなものも数えるほどありましたが、ほとんどのテイクには大幅な何がしかの作業が必要でした。僕はそのことを「オペ」と呼んでいました。「今日のオペは痺れるぜ」みたいな。笑。 標高3000メートルに居る間に、帰ってからのレコーディングの作業工程を決め、帰国して、チャボさんと全国を廻り、ツアーを終えて、3週間ぶっ倒れた後、いよいよ自分の仕事場で作業にかかりました。7月だったかなぁ。かなり悲壮な覚悟をもって。 コンピュータ時代になって唯一よかったことは、トータルリコールが簡単に可能になったことです。アナログだと、こうはいかない。ある曲が煮詰まったとき、とりあえず放置して、次に行くってことはアナログの作業では難しいのです。 そうやって、全体像とピークを想像しながら、砂の城を作るみたいに、基礎から音楽の家を作っていきました。ときどき大きな波に全部破壊されたりして。 まず無駄なものを取り払い、サイズや演奏を編集し、骨だけにして、本当に必要だと思うものだけ足していきます。そのとき、僕はレコーディング・エンジニアで、プロデューサーで、シンガーで、ギタリストやパーカッショニストで、何よりもソングライターなのです。そしてバジェットの管理もやります。ソファーにふんぞり返って、エンジニアに指示だけ出していたら、もはやバンドは存続できません。つまり、長い間に身につけたスキルによって、バンドはどうにか生きながらえているってことです。 これだけの職務を背負うと、客観性を簡単に失って疲弊します。いつ終わるとも知れない痺れる作業です。自分を鼓舞するのは自分だけなのです。なので、ほんとうに小学校の教室みたいに「標語」がたくさん貼られていきます。もはや、自分のためにエゴで作っているのではないのです。僕に出来ることはこれしかないのだし。 ここで、昨日の記述に戻ります。 ——– “真理”は、自己の思考が完全に終焉したときに、向こうからやってくるものである。 明けても暮れても。僕は毎日、海や夕陽と会話をしていました。ある意味、自分と話していたのですが。それは大切な時間でした。「走る」と云う行為が素晴らしいのは、発想が作為ではなくなるところです。考えないことによって、自分の深層にたどり着くことができます。毎日、飽きずに眺め続けた「夕陽」を、とあるもののメタファーにして、僕はバンドで誰かを鼓舞するのではなく、穏やかな、明日の力になるようなファンファーレを鳴らそうと思ったのです。 ———- (続く)。 ついしん 明後日、大阪でみんなにアルバムを手にしてもらうことになっているのに、まだ僕すらそのアルバムを観ていないというスーパー綱渡り(大汗)、明日リハーサルをするスタジオに届けられるそうです。ほんとうにできたてホヤホヤにも程があるってか。みんなデカイ声で云うぞーーー。買ってくれーーーーーーっ。