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ANGA 25th Anniversary
『山口洋(HEATWAVE) Special 2days』5/22(日) 千葉 LIVE HOUSE ANGA -
山口洋(HEATWAVE) solo live “over the distance”-ERA 20th ANNIVERSARY-6/10日(金) 下北沢ERA
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山口洋 presents G.Yoko 1st mini tour "バードハウスへようこそ"6/16日(木) 福岡 ROOMS6/19日(日) 京都 磔磔
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山口洋 solo tour “Still Life with my GTR 2022”6/17(金) 福岡 ROOMS
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山口洋 presents G.Yoko 1st mini tour "バードハウスへようこそ" 追加公演6/22(水) 横浜 THUMBS UP
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HEATWAVE OFFICIAL BOOTLEG SERIES #008 / 2021122640 Years in a BLINK HEATWAVE
“Unknown Pleasures” HEATWAVE
2022.3.18 Release
詳細/購入はコチラ »
2020.6 Release
詳細/購入はコチラ »Blink HEATWAVE
2019.11 ReleaseOfficial Bootleg #007 “THE FIRST TRINITY” 181222 HEATWAVE
2019.5. Release日本のあちこちにYOUR SONGSを届けにいく 2018 山口洋
2019.3.25 Release『OFFICIAL BOOTLEG SERIES #006 19940524』 HEATWAVE
2018.12.19 Release『OFFICIAL BOOTLEG SERIES #005 171222』 HEATWAVE
2018.5.19 Release『Your Songs』 HEATWAVE
2017.12.26 Release『Carpe Diem』 HEATWAVE
2017.5.17 Release『OFFICIAL BOOTLEG #004 151226』 HEATWAVE
2016.12 Release
HWNR-012 ¥2,500(税込)『OFFICIAL BOOTLEG #003』 HEATWAVE
2015.5 Release
HWNR-010 ¥2,500(税込)DON'T LOOK BACK.
山口 洋 全詩集 1987-2013 B6サイズ 272P 特製栞付き ¥2,800THE ROCK'N ROLL DIARY, 2011 3.11〜 陽はまた昇る B6サイズ 176P ¥3,000SPEECHLESS Yamaguchi Hiroshi / Hosomi Sakana
2011.2.9 Release
NO REGRETS XBCD-6003
¥3.000 (TAX IN)
特設ページ »
日別アーカイブ: 2022年1月17日
伝えておきたいこと
1月17日 月曜日 晴れ 毎年、この日がくるたびに。 あの歌が流れていましたよ、とか。いろいろ。 もちろん、想うことは山のようにあります。でも、この日だけではなく、決して忘れることのない風景なので、この日こそ静かにしておきたいという気持ちもあります。 とはいえ、あまりにいろんなことを尋ねられるし、間違って伝わってることもあるし、僕からみたあの日のことをきっちり伝えておきたくて、連載していたwebメディアに数年前、渾身の力で描きました。 webなら後世まで残ると信じていた僕が甘かった。 そのメディアは某メジャー会社が運営していたのですが、方針転換により廃止、削除の憂き目に。 さっき、散歩しながら思ったのです。自分のblogに載せておけばいいじゃん。笑。 僕が生きている限り、この記事は削除しないので、いつでもここを参照してください。著作権は僕にあります。リンク、転載も自由にどうぞ。体験の公共財だと思っていただければ。 この記事がアップされたとき、クレームもありました。知っている(見聞きした)事実と異なる、と。あんたはアホか。これは僕が経験した、僕の記憶なんであって、それが100%正しいなんて言っていない。ただ、180%の誠実さをもって描いた。それがわからんのか!言いたいのはそれだけです。 忘れていいことと、そうでないこと。 それは毎日のことだと思っています。 forgive me, I’m sorry, thank you, I love you. —————————————————— 満月の夕 (前編) こんな存在の歌になるなんて、思ってもいなかった。 リリースしたら、歌はもう自分のものではなくなる。ふ化したあと、大海へと漕ぎだす鮭の稚魚のように。成長して戻ってくる歌なんて、ほんのわずか。人々のこころという未知の大海を泳いでいく歌たちが、どんな旅をしているのか、僕は知らない。どれだけ歌を書いても、それだけは分からない。 「満月の夕」は僕にとって、そんな稚魚のひとつだった。違うことがあるとするなら、独りで書いたのではないということだけ。リリース後しばらくして、いろんな人たちがカヴァーしてくれるようになってからも、この歌をクローズアップされることが苦手だった。忘れることができない、あの焼け野原の風景に向きあうことは、正直しんどかった。それゆえ特別な理由がない限り、この歌について語らなかったし、歌うこともなかった。 けれど、この歌は作者の手に負えない存在になっていった。ある種の公共財のように。人々によって歌い継がれ、南米で、北米で、イラクで、沖縄で、日本や世界のあちこちで歌われていると聞いた。苦難に陥っている人々を励ましていると聞いた。 こうなると、稚魚の思いもよらぬ成長によって、こちらが教えられるという不思議な現象が起きはじめる。あまりにも多くの人のこころを経由しているから、こちらは太刀打ちできず、取り扱いに困ったりもする。 たとえば、とある場所で、とあるヴァージョンが流れていたので、「それ友人と書いたんです」と云ったら誰も信じてくれない。たとえば、この歌を映画で使ってくれた監督にパーティーで会ったので、お礼を云いに行ったら、初対面なのに首を締められ「お前か!あれはな!いい歌だ!大事にしろ!」と云われたりもする。 作家として最高の栄誉があるとするなら、たとえば100年後にこの歌が歌われていることだ。傷ついた誰かのこころに寄り添っていることだ。だから、誰が書いたか、なんてことは本質的にはどうでもいいのだけれど、一度だけ、パブリックな場所で、きちんといきさつを記しておきたい。というより、僕自身がこの歌に向きあっておきたい。歌い継いでくれた人々に感謝を込めて。 あれから22年の時が流れた。事実とは少し違うことがあるかもしれない。でも、僕はドリーマー。過去だって創造することがある。それは捏造ではない。お許し願えれば、と思う。 前置きが長くなった。話を始める。 1994年冬。バブルの終焉とともに、バンドブームは「バンド焼け野原」と姿を変えていた。そのブームもまたバブルそのもので、個性と実力のないバンドはほとんどが淘汰されていった。そして、焦土の中、いくつかの骨のあるバンドが生き残っていた。そのひとつが中川敬が在籍していた関西のソウル・フラワー・ユニオン。彼はじゅうぶんに興味をそそる希有な存在で、焦土の中にギラギラと背筋を伸ばして立っていた。 僕はその頃、半分は日本に居なかった。この国が息苦しくて、世界のあちこちを旅していた。中川はそれに批判的だった。「もっと現実と足下、見た方がええで」。いい組み合わせかも、と僕は思った。 真剣に向き合ったなら、化学反応が起きるか、良くない爆発が起きるかどっちかだろう。僕もじゅうぶんに面倒くさかったし、いちばん面倒くさそうな男と組んでみることにした。互いに若かったし、刺激にも飢えていた。 関西にある中川の家に僕は出向いた。土産代わりにラフなメロディーを抱えて。それはいつか友部正人さんに投げかけたくてキープしていたものだった。中川は三線、僕はギターという形で共作が始まる。くだんのメロディーを中川に投げかけると、「あかん!手癖や」。そして彼は隣の部屋に消え、数分でメロディーを作り変えて戻ってくる。それを受けて僕も作り変える。やりとりは数回に及んだと思う。 やがて、僕らはメロディーをループして演奏し始めた。こういうとき、三線とギターという組み合わせは都合がいい。中川がメロディーを、僕はコードを弾く。そうやってAメロとイントロとブリッジ部分が出来あがった。時間にしてわずか20分くらいのことだったと思う。濃密だった。2人の個性が凝縮されたメロディーとコードができた。そして、このAメロにはサビが不可欠だと意見が一致した。 … 続きを読む