日別アーカイブ: 2024年10月1日

体験

10月1日 火曜日 雨 NYより連絡あり。 「ヒロシのヴィジョンを実現するのに必要な二人が来日しているので、体験すべし」。 彼らがサポートしている看板アーティストを見るのが目的ではなく、そのコンサートに行くのは失礼だとは思いつつ、逆に彼らがメインではないときに体験できるものを知っておきたかった。 まぁ、どのみちバレるだろうから、お伝えするなら、スティーヴ・ガッドとエディー・ゴメス。チャーリー・ワッツとビル・ワイマンという組み合わせが叶わない今、地球上でおそらく一番素晴らしいであろうリズムセクション。 その会場のことを書くのはやめておく。察してください。 観客もまばらなその会場に果たして二人は現れた。 まずね。音が小さい。ほぼ生音ゆえ、PAよりも楽器そのものからの音が伝わってくる。ゆえ、こちらで立体感を補うことができるから極上この上なし。ブラシがスネアをわずかに擦る音まですべて聞こえる。 往年のハードタッチな演奏はほぼなく、ブラシによるソフトな演奏が中心だったのだが、シンプル極まりなく、極上の小さな音で、ここまでグルーヴを表現できるのだってことに感嘆。一切の特殊効果なし。あるのは演奏のみ。そして、観客が少なかろうが一切の手抜きなし。 楽器ってこれだけの表現の可能性があるんだって。なによりも優しいんだよね、音が。グルーヴが。 僕もね、45年かけて相当なレベルには来たと思っていたけれど、いやはや、奥深さの次元が違う。彼らが大リーグだとするなら、オレのは高校野球。 目の前の霞んだ視界がぱーーーーーーーーーーーっと拓けたよ。ちょっと前なら、音楽やめたくなったと思う。でも、今はそう思わない。彼らが生きてらっしゃる間に、自分のヴィジョンをどうしても表現したいので、力を貸してくださいって。今は言う。 音楽フェスとか、そんなことじゃなくて。虚構じゃなくて、本物の音楽をものすごいレベルで人生をかけて表現し続けてきた人たち。神々しいんだけど、そのひかりが優しいんだよね。ほんとうに感動したよ。 同時にオレがこうあるべきだと思ってきたものは間違ってなかったんだって。 で、ピアニストの塩谷哲さんも参加してたんだけど、敬意と愛に溢れるすんばらしい演奏でした。その態度に教えられること、たくさんありました。響き合うとはどういうことか。ものすごい精度と深さをたたえながら。「今日だけは憧れるのをやめます」って。最高! ほーーーーーーーー。 電車で来たの失敗だったな。横浜から歩いて帰りたい。誰にも会いたくないし、誰とも喋りたくない。ただ、夜空を見ながら歩いて帰りたかった。 もうこの先はないのかなって。んなことないね。音楽の神様はちゃんと次のヴィジョンを示してくれる。ただ、時間はあまりない。彼らはもう80歳だし。急がなきゃ。 伝えたいこと。ヴィジョンがあるなら、諦めちゃダメだ。世界最高峰に行くために自分を研鑽する。それは素晴らしいことだと思う。

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