普遍と不変と不偏を探しに、bowlにて

3月6日 木曜日 晴れ

僕は南の人間なので、そこで育った者たちの多くはウインター・スポーツはブルジョアのものだと思いこんでいたのです。

かくいう僕も雪山に初めて足を踏み入れたのは40も半ばになってからだったし、斜面を人が滑っているのをみて、びっくりしたのを昨日のことのように覚えてます。

滅多に使わない言葉に「せんせい」ってのがあって、いわゆる「せんせい」と云われる人たちがお互いを「せんせい、せんせい」と呼びあっているのを見ると、豆鉄砲を乱射したくなるのです。アホか、お前たちはって。

ただし、地球上でたった一人だけ僕が「せんせい」と呼ぶのは、何もできなかった僕にスキーを教えてくれた「せんせい」。彼がドアを開けてくれたのです。だから、そこから先は頑なに誰の指導も受けません。たとえ、なんじゃーあいつは基礎もクソもないぜ、と笑われようとも、僕は僕でありたいのです。無駄に頑なです。だって、音楽はそうやってきたんだもん。だから、せんせいはとてもプレシャスな存在です。彼から教わったという無駄なプライドを背負って、今日はbowlに行きます。初めて行ったときは100%恐怖しかなかった、あのbowlに。

今日もね、ほんとうにキツかったです。金と時間を使って何をやってるんだって、ちょっと思ったけど。でも、完全に自然のままの山に入らせてもらって、メゲずに自分にチャレンジし続けていると、恐怖が歓びに変わっていくのです。つーか、恐怖とは自分の無知が作り出したものだってことがよーく分かるのです。得難い経験なのです。こんな歓び、あまり感じたことがないのです。いつも単独行動だけれど、ちっとも寂しくなんかないです。都会に居る方がよっぽど寂しい。

もうすぐ新しいチャレンジを始めます。50になって、また始めんのって、まったく何も出来ない感じが素晴らしいのです。少しづつ、少しづつ、恐怖がなくなっていくのって、愉しくないすか?それとも、オレはバカ?

ここの木にはぜんぶ目があるんです。ほんとだよ。森に入るとたくさんの目が僕を見つめてる。

ここの木にはぜんぶ目があるんです。ほんとだよ。森に入るとたくさんの目が僕を見つめてる。

バスを乗り継いで、リフトを乗り継いで、この雪上車に乗って、最後はギアをかついで自力でハイク・アップ。

バスを乗り継いで、リフトを乗り継いで、この雪上車に乗って、最後はギアをかついで自力でハイク・アップ。

先にあるのがbowl。

先にあるのがbowl。

ギアをしょって尾根を歩きます。空気が薄くて、寒くて、まじしんどいです。

ギアをしょって尾根を登ります。空気が薄くて、寒くて、まじしんどいです。

おなじみの「死んでもしらんぞ」マークを超えていきます。まったくの自己責任です。

おなじみの「死んでもしらんぞ」マークを超えていきます。まったくの自己責任です。

尾根の轍の細さはなかなかナイスです。両斜面とも斜度は40度を超えてます。

尾根の轍の細さはなかなかナイスです。両斜面とも斜度は40度を超えてます。

この頃はちゃんと40何度に見えるけど、最初はほぼ直角に見えました。それが恐怖ってやつです。

この頃はちゃんと40何度に見えるけど、最初はほぼ直角に見えました。それが恐怖ってやつです。

4000メートルでこれだけキツいのに、エベレストを無酸素で登るのって信じられなーい。

4000メートルでこれだけキツいのに、エベレストを無酸素で登るのって信じられなーい。

PEAK ! 3777メートル。私がタバコを止めたのはこの頂きです。

PEAK ! 3777メートル。私がタバコを止めたのはこの頂きです。

束の間のご褒美。

束の間のご褒美。

うっとり。

うっとり。

隊員、50歳。まだがんばれます。多分。

隊員、50歳。まだがんばれます。多分。

さぁ、息を整えて、降りるぜー。

さぁ、息を整えて、降りるぜー。

初めて来たときは恐怖が殆どだったんすよ。

初めて来たときは恐怖が殆どだったんすよ。

今日は歓びに満ちてました。何だろ、この幸せな感じ。

今日は歓びに満ちてました。何だろ、この幸せな感じ。

去るときに、心から礼を云いました。ありがとう。

去るときに、心から礼を云いました。ありがとう。

 

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普遍と不変と不偏を探しに、bowlにて への2件のコメント

  1. 桃子 より:

    私も豆鉄砲乱射派です!
    私の師はヘブンズ・ドアの中の人になってしまったけれど、人間としての美しさを教えて頂きました。
    洋さん、最高!何だか分からないけど最高です!ブログ読んでヒュ〜って言いました。
    人間最後のひと息まで成長するんですから、突き進んで下さい!50歳最高!カッコ良し!

  2. Froggy II より:

    日本の妖怪に「百目」っているけど、その樹に一目惚れです!
    で、ripeな素敵バカはこちらの山にいらっしゃる?

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