11月17日 水曜日 曇り
リハーサルから帰ってきました。
昔はリハーサルが大嫌いだったけれど、コになってからはとくに、こうやって尊敬する人と音を奏でることができること。たくさんのスタッフがひとつの目的に向かって自分の職能を発揮してくれていること。すべてがプレシャスなことだと思えます。ギフト、そのものです。
えっと、あの。MY LIFE IS MY MESSAGE 2021 のこと、伝えます。延期になっていた、明後日開催される配信ライヴのことです。
2011年3月11日。震災が起きて、津波が発生。そして原発が爆発。
僕らが関東で使っていた電気のせいで、福島の人たちは家に帰ることができなくなりました。それがどうしても、どうしても、我慢できなかった。たかが電気のせいで、どうして人々は故郷を奪われなければならないのか。そんな電気なら、僕は要らない。今でも本気でそう思っています。
ものすごく簡略化してますが、それがこのプロジェクトの始まりです。何かがおかしいと思うのなら、人としてできることを全力でやろう。明日があるのはあたり前じゃないと気がついたなら。
できることをやってきたとは思います。それが良かったかどうかはともかくとして。ほんとうに筆舌に尽くしがたいくらい、いろんな経験をしました。そしてなにかを達成できた、なんて1ミリも思っていません。
あれから10年経って。やれることもだんだん少なくなってきて。正直、辞めどきだとは思いました。震災後、たくさんあったプロジェクトもほとんどが解散状態。僕ももう役目は終わったのかもと思いました。できることは、もうないのかも、と。
でも。
時を2014年に戻します。CHABOさんの援護のもとに、MY LIFE IS MY MESSAGE TOURを敢行中の愛知県豊橋市でのことでした。「お・も・て・な・し」の合言葉のもとに、東京にオリンピックが招致されることが決定。はらわたが煮えくりかえったのを細胞が覚えています。なぜなら時の首相が「原発はアンダーコントロールだ」と世界に向けて言い放った上でオリンピックを誘致したからです。こんな大嘘がまかり通っていいのか?未来を背負う子供たちになんと伝えたらいいのか、、、。
そして昨年。コロナの世になり。人々の苦しみの上に、そのオリンピックは今年、無理やり開催されました。
忘却は癒えるためのたいせつなプロセスだと思います。でも、忘れていいこととそうではないことがある。そう思いませんか?明日があるのは当たり前じゃなかったんだ。そう思いませんでしたか?そんな人たちがポジティヴに想いを馳せる場所として、MY LIFE IS MY MESSAGEを続けようと思いました。
最後の1匹になったとしても、おかしいことはおかしいと。
今、僕らにできることは。信じてきた音楽を全力で未来にむけて鳴らすことだと思っています。
喉元すぎればなんちゃらという言葉があるように、あのときは理不尽だと思っていたことも、過ぎ去ってしまえば(まぁしょうがないか。)と思ってしまう、そんな自分がいます。世の中を見ていても、そのような人は少なくないし、むしろ大半であるようにさえ思えます。しかしそれを僕は、よくなんじゃないか?と思っているのも事実です。なぜ人は、こうも忘れてしまうのだろうかと。~あえて中略~ 配信ライブのステージのおふたりを観て、メッセージを感じたいですし、それを明日への糧とさせてもらえたらと、期待しています。
コロナもすっかり影を潜め、人の命をないがしろに強行されたオリンピックはすでに記憶の彼方へ、街には人々が戻り、有観客ライブの楽しみもできて。
不安や怒りや抑圧された感覚も、薄らいできた時ですね。
夏の感染ピークの頃、東京で在宅医療に奔走する医師が、自宅で酸素吸入すら受けられずに死に瀕している患者の家から一歩外に出ると、まったく何事もない平穏な日常が広がっていて、その落差に目が眩む、コロナの怖さは見えないことだと書いていました。
10年経って震災が遠のいても、コロナがたとえ終息するとしても、その「見えない分断」は、人と人との間に、横たわり続けると思います。
でもそれは震災やコロナや政治家のせいというよりも、人間が「個人」として存在する以上、そして誰しも一人で完結しては生きていけない以上、たえず問われるわれわれの「生き方」に起因するものなのだと思います。
「MY LIFE IS MY MESSAGE」というタイトルの意味は、そういうことですよね?
いろんな給付金やGO TO再開もチラつかされて、来月にはライブハウスも行けるかもだけど、
少し静かに平穏になった今だからこそ、
この10年間とこの2年間を振り返って、
そして第6波のいかんに関わらず、これから長く続く社会の虚構の崩壊に備えて、
自宅でじっくりと、この配信ライブを見つめたいと思います。
「それぞれの10年があって、満足に外にもでかけられない今があって、どうやって未来を創っていけばいいのか?音楽を通じて、希望の風景がやんわりと浮かんでくれますように。敬愛するCHABOさんの胸を借りて、今年も思いきり音楽を鳴らします。」
わずか3ヶ月前の、ブログのメッセージですね。
延期されたけど、普遍的なメッセージを受け取るには、いちばんふさわしいタイミングの開催になったのかもしれませんね。
今だからこその、ヒロシさんとチャボさんの渾身のメッセージ、しっかり受け取ります。