なにもなかった頃

5月11日 木曜日 晴れ 

 ランニングの最中にも連絡がくる。溜めておくと、あとが面倒なので、立ち止まって返信する。なんだか本末転倒も甚だしいと思って、昔ってどうだったんだっけ?と思い返してみる。

 アップルの時計を薦められたけど、これ以上デジタルものにまみれるのは嫌だったので却下。マグマ大使を見てた頃、時計でマグマ大使と会話するなんて絵空事だったのに、ちゃんと具現化してるのはちょっと恐ろしいよね。って、みんな知らねーか。笑。

 メールもSNSもLINEもなかったころはファックスだったな。明日行くスタジオの地図、原稿のやりとり、ぜーんぶファックス。オレのファックスはいつも安物だったから、オートカッターがついてなくて、家に帰ると巻物みたいにファックス用紙が吐き出されてた。外国とのやりとりもぜんぶファックス。気分は手紙の延長で、決して悪くなかったな。

 相手を尊重してたし、受け取るまでのタイムラグもあったし、考える隙間があった。

 おなじようにスタジオでも、テープを巻き戻す時間があったんよね。その間にフレーズを整理したりしてた。でも、今はそれがない。

 311のときはまだLINEがなかった。わずか10年ちょっと前の話だよ。オレはアメリカにいて、湘南のともだちが仕事先の東京からなんとか家に帰れるように、あちこちに電話をしてフントーした。その電話代、16万円!まだそんな時代だったんだね。

 今や、顔を見ながら電話ができる。それが役立つこともたくさんあると思うけど。

 テクノロジーの恩恵によって我らだって、大きな組織に所属しなくても好きに生きていける。でも、一番の問題は作曲に割く時間がなくなったこと。曲を書くにはふかーい井戸をのぞきこんで、降りていって、戻ってくるような集中した時間が必要。

 1日でいうと、早朝。あるいは、作家じゃないけど、強制的に自分を隔離するしかない。この夏は山に籠城しようと思ってる。敢えてネットは引いてない。たぶん、それでいいんだよ。

 閑話休題。

 今年のOFFICIAL BOOTLEG。明日からの四国行きを前に、プレス工場に無事送ることができました。みんなの意見を汲んで作った作品なんで、楽しみにしていてくださいまし。今月末には案内できるかな。

 明日は三年ぶりの四国!まずはうどん県。みんなに会えるのを楽しみにしているぞよ!

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なにもなかった頃 への2件のコメント

  1. ミツバ より:

    人には人のスピード、機械には機械のスピード、それぞれ違って良いのだと思います。
    そして、人が人を思う時に生まれる「愛」を置き去りにしなければ。

    山口さんから生まれる音と言葉、楽しみにしております!

  2. fujiiku より:

    うどん県行のインスタ楽しかったです。最近Twitter見るのに疲れ気味ですがインスタは楽しいですね。良いライブになること願ってます。
    「月に吠える」聴いています。千葉のライブ以降「遊園地にて」が頭から離れません。私のリクエスト3曲に絞ったうち残り2曲も「月に吠える」からでした。
    いいアルバムですね。ポリドール時代のアルバムもソニー時代のようにBOXなどでまとめてくれると嬉しいです。ライブ頑張ってください。

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