クソガキ最終章

8月21日 月曜日 晴れ 

 クソガキと過ごす最後の日。

 奴はついに家から一歩も出なかった。体調不良と本人は言ってるけど、そんなに不良じゃないのは見ればわかる。ただ、無理はさせられない。今日も1日ベッドでゲーム三昧。嗚呼。

 オレもランニングしながら、買い物に出掛けながら考えた。このままでいいのか?いいわけがない。

 晩飯のときに、やんわりと、シンプルにたいせつなことを話した。多くの情報量はこの際不要、だと。シンプルにわかりやすく。
 
 スポンジのように奴にはなにかが響いて、態度が変わった。3日経ったら忘却の彼方だったとしても、それでいいと思う。

 本気と書いて「マジ」。10歳の魂にマジで向き合った。思っていたより10000倍は難しかった。ほんとうのところ、教えるなんて不遜きわまりなく、学んでいるのはオレの方だった。

 今日、故郷まで送り届ける。愛される男になれよ。オレが言いたいのはそれだけだ。

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クソガキ最終章 への6件のコメント

  1. にゃあにゃあ。 より:

    4日間ほんとにおつかれさまでした!!!
    ヒロシさんが伝えた言葉は、3日経ったら忘れるようでも、これから先、「なぜ!?」と茫然と立ち尽くすしかないような時、何を優先すべきかギリギリの決断を迫られるような時、何度も何度も記憶の彼方から取り出して見返す方位磁石のように、こころの深いところに手渡せたのでしょうね。
    言葉で伝えるのが、実はいちばん勇気がいるし、いちばん難しい。
    ヒロシさんがしてあげたいことは他にもたくさんあったのでしょうけれど、他の大人が避けてやらない、きっといちばんすべきことをしてあげられたのだと思います。
    その言葉が彼の血肉になって、もう方位磁石のように見返さなくてもよくなった頃、また会えると良いですね!

  2. ys より:

    クソガキ様のエピソードとても興味深く読ませていただきました。
    野暮かもしれませんが最後にどのような言葉をかけられてどのように彼の態度が変わったのか、もう少し具体的に知りたいです。
    なんなら4日間のドキュメンタリーがあればぜひ
    見たいです。

  3. fujiiku より:

    クソガキ様への言葉はそのまま定年間近で色々迷う事のある私にも染み込みます。
    洋さんのように真剣に向き合ってくれる人が側にいる事のありがたさをクソガキ様もいつか感じてくれるだろうと思います。

  4. チルッコファイター より:

    クソガキちゃん無事に帰還したようですね!…ヒロシさんの本気(マジ)は、どんな波動・色彩・温度だったんすかねー!10歳の夏に無駄に落とした時間も機会もありーの、ですが、阿蘇の風とヒロシさんの言葉(それ以外も)に触れられたのは、いい経験だったんだと思います!間違いなく。

  5. ミツバ より:

    10歳の魂にマジで向き合った山口さんに、勇気をいただきました!!!

    ちなみに(彼は違うかもしれませんが)「ゲーム中毒」という脳の病気があり、一度罹ると完治することはないそうです。日本全国で悩む親子が増えているとかいないとか。。

  6. はーこ より:

    最後までゲームに向かってしまいましたか。。
    一人で不安だったのかも知れませんが、いろんな経験ができるチャンスだったのに。
    後に阿蘇での時間をもっと楽しめば良かったと思える時が来るのではないでしょうか。

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