Recording day#051

8月27日 水曜日 晴れ

この時代のレコーディングって、スタジオでバンドの音を録り終えたなら、あとはほぼ孤独な闘いなので、意地と情熱だけが自分を支えます。そこにしがみついてるとも言えるかな。笑。

でも、なんだろう、このブ厚い氷を必ず砕いて、南極点に到達してやる、みたいな砕氷船フィーリングが常にありまして、我々を苦しめるサブスクからも逆説的なエネルギーを得ています。その力の源は若い頃にジョー・ストラマーが僕に与えてくれたものです。

もはや音楽がほぼ無料化して、聴き放題になっていく流れに逆いようがないんだけれど、僕らは音楽のほんとうの意味を知っているわけで、他とは違う、オーディエンスが渇望してくれるような「価値」を見いだせれば、道は拓けるとアホみたいに信じているのです。

そんな意味ではド平日に開催された先日の2daysはスタッフまで含めた僕らにとっても、むっちゃエネルギーを与えてくれました。感謝しています。ギミックのないライヴパフォーマンスは死なないという意地です。音楽の価値を取り戻したいのです。そんなに安っぽいもんじゃない。特殊効果もなにも要らない。最小人数の人力だけでどこまで到達できるか。スカスカな音楽で、どこまで想像してもらえるか。すべての説明を排除して、全力で挑む価値のあることだと思っています。

なによりも、自分自身が創っているものに励まされなければ、と思います。

この数ヶ月、某国のラジオではなく、深堀りしたいCDがアルバム単位で24時間鳴り続けています。このひと月ほどは細野晴臣さん。小樽で、今更ながら細野さんの凄さを教えられ、これまでも無論聴いていましたが、もっと細胞レベルで理解したくなったんです。鈴木惣一郎さんの話が面白すぎたってのもあります。あと、やっぱり長谷川さんですね。彼の遺作をテキストに24時間聴いています。だからね、旅って大事なんです。バイクで旅しなきゃ、ここまで思わなかった。

細野さんの音楽理解能力、半端ないです。とくにリズムの解釈。70年代にここまで到達していたのか、と。驚愕します。結局、僕らの音楽は「熱」を帯びてしまうので、作業が終わったあとに流れる細野さんの深いリズムと「脱力感」がたまりません。あー、一生辿り着けない、と思うので、その分自分のできることに全振りするのです。笑。僕はYMOにあまり影響を受けていません。そのあたりが同世代のミュージシャンと違うところなのですが、ここからYMOに至る彼の変遷はすでに70年代の彼のソロの中に萌芽しているのを感じます。

それって、福盛進也くんがECMを経て、日本に帰ってきて、今アジア圏の音楽を発信しようとしているのと似たスピリットだな、と思うのです。そういう独立心に富んだ人が僕は好きです。野茂さんに通じる道です。

かくいう僕もやりたいことが山のようにあるんです。ジャンルを超えた音の小さいコンボで地方に音楽を届けたいし、HWのアルバムは出したいし、民謡を身体の中に入れて単身NYに渡りたいし、エトセトラ。

死んでる暇はありません。ただ、レコーディング中はまるで稼ぎがないので、それが問題。笑。でも、お金が人を幸福にするわけではないのは十分に知っているので、どんな時でも必要ならば使います。借りないけど。笑。

ま、なんとかなるか!Life goes on !

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Recording day#051 への4件のコメント

  1. りゅういち(61) より:

    洋しゃん、渋谷2days、ありがとうございました。凄く励まされました。音楽の力、本当に素晴らしいと痛感します。チームHWの熱いスピリットに生きる喜び、勇気をいただきました。アルバムのリリース、バンドでの地方ツアー、決して容易な道ではないこと、十分に承知しています。それでも期待して待ちます。日々、汗を流し仕事を頑張り、つまずきそうになりながらも、HWが運んできてくれるプレシャスを受け取りに行きます。これからもよろしくお願いします。

  2. 平山秀朋 より:

    拝啓 山口洋様

    いつも佳話を共有していただき有難うございます(叔父さんとの長い和解、印象的です。ご冥福をお祈りいたします)。細野さんの音楽に対する解釈、大変興味深いです。YMOにはあまり影響を受けていないとのことですが、彼らが影響を受けた音楽には山口さんも少なからず影響を受けていて、それで「萌芽」を感じるのではないかと思いました。「友達の友達は皆友達だ!」みたいに。そういう「共通言語」になり得るというのが音楽の素敵なところの一つです。鈴木さんとはルー・リードで盛り上がってましたよね!

    平山

  3. のり より:

    それでインスタに細野さんのアルバムが紹介されてたんですね。
    なんで細野さんなんだろうと思ってました。
    僕もYMOは全然興味がなく聴いてないんだけど、カミさんがそっち方面が好きなんできっと細野さんのアルバムも持っているかもしれません。
    ちょっと聞いて持っていればん僕も聴いてみます。
    サブスクに抗う。
    ヒロシさんみたいにブログでサブスクについて語る人がもっといれば世の中の音楽好きに伝わると思うんだけど、残念なことにこんなふうに語ってくれるのはヒロシさんくらいしかいないのではないかと思います。
    甥っ子なんかはCDなんて手にした事ないんじゃないかな?
    音楽は聴いてるみたいだけど、当然サブスクみたいに話してました。
    そんな中叔父さんは新しいCDを手にするのを楽しみにしてます(笑)

  4. 裸のランチ より:

    8/21のライブは夢が叶いました。20代は妻と(半ば強引に)、30代・40代は独りで(妻は育児に尽力)、50代でようやく大学生になった娘と。
    まだ10代の娘には贅沢すぎる布陣、大好きな佐野さんも居て、とても幸せな時間を過ごさせてもらいました。一週間経ってもジワジワ噛みしめています。
    歌も進化しているようでした。
    残りの仕事人生、真摯に見習いたいです。

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