Recording day#097、The Mastering

11月1日 土曜日 晴れ

ソニーのスタジオで巨匠によるマスタリングの日。

ほぼ孤独な作業の日々だったゆえ、誰かが自分たちの音楽に施してくれる作業を見守るのは最後のギフトのようなものだった。彼は伝統あるソニーの録音部のトラディションを引き継ぐ最後の人物。これまでの35年あまりの月日が目の前の音楽とともに、流れては消えていく。

彼の技術は円熟の域に達していて、たとえばエンジニアリングでオレが3時間かかるようなことを2分くらいで解決してしまう。とあるポイントを際立たせるために、その帯域を持ち上げるのではなく、違う帯域に少しだけ手を加えることで、倍音成分との兼ね合いで、結果求めているポイントが際立つ、とかね。専門的な話で申し訳ないけど。笑。

その押し引き加減が、匠。使っているスピーカーシステムのセッティングのフラットさと言ったら。って、わかんないか。笑。世界にこんなにフラットな特性のスピーカーがあるんだって。それまた驚愕。ラージもスモールも。聞くの忘れたけど、間違いなく自分の耳で完璧に調整されている。

オレが使ってるシステムは必ずどこかがでっぱってたり、引っ込んでたりする。だから、複数のシステムで「だいたいこんな感じかな」と想像しながら作っていくしかないんだけど。これだと如実にわかる。

彼からこんな提案があった。今日から世間は3連休。プレス工場も休みになる。専門的な話になるけど、マスターはDDPというフォーマットで作られる。必然的にDDPを工場に納品するのも連休以降になるから、今日完成させたものを持って帰って、自分の環境でチェックして、修正点があれば、連休明けに再度マスタリングをしてはどうか、と。

ありがたい進言だった。

さっそく土砂降りの中、帰りの車の中で聴いてみる。素晴らしく良くなっている(当然)し、ちょっとやりすぎたかな、と思うこともある。なんにせよ、あと3日、いろんな状況で向き合ってみようと思う。

てなわけで、もはや「完成した詐欺」みたいになってきたけど、最終的なフロウはオレの頭の中にしかないわけで、2025年のロックンロールアルバムを完成させるまで、もうしばしおつきあいください。2枚組を1枚にしたけど、ちょっとだけ長いかも、とまだ悩んでます。削るか。削らないか。

とりあえず、待たせに待たせてるデザイナーとレーベルの長とマネージメントにだけは未完の作品を送りました。

土砂降りの中帰ってきたら、弘前からりんごが届いていた。めっちゃ嬉しかった。開けたら、岩木山の空気が部屋じゅうに拡がっていった。できれば、こんな風に人を励ます音楽を創りたい。

 

 

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Recording day#097、The Mastering への3件のコメント

  1. 服部 より:

    とても楽しみっす。

  2. おやす より:

    ほんと!楽しみにしてます。2枚組でもよかったけど(笑)日々を照らしてくれるラケンロールを待ってます。ロックバンドの本筋であるLiveやアルバム制作が厳しい時代がくるとは…思ってもいませんでした。もはや存在するだけでも厳しい時代なんですね。難しい時代ですが諦めず洋さんを見習って抗って少しでも明るく頑張っていこうと思います!!!(^-^)

  3. 萩原晋也 より:

    最近、自分の頭の中を言葉にしてみたら
    大したこと思ってるわけじゃないなと思うことがあります。
    自分にとって革新的なことをしていると思って
    言葉にしてみたら結構、普通なことだったり。
    人間の脳って複雑に考えすぎるのかな?と。
    このブログとは関係ない気もしますが
    関係がある気もするので
    自分の頭の中にある思いを言葉にしてみました。

    言ってしまえば
    感情の揺れで行動を制限したくないといったこと。
    自分の可能性を出し切るために
    感情の揺れに惑わされないこと。

    山口さんの言葉は本来言葉にしないような
    ことを敢えて言語化している気がします。
    故に響く、故に確信をつく。

    そんな気がします。

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