ふたつの国と福島に架ける心の橋

12月12日 月曜日 晴れ

ジョン・レノンの「walls & bridges」ってアルバムが好きだ。何よりもそのタイトルが素晴らしい。心の持ち方次第で、人と人は「walls」にも「bridges」にもなることができる。このプロジェクトを通じて、僕はなにごとも肯定から入ることを学んだ。どんなに好きになれない人だって、どこかにきっと好きになる部分がある。「bridge」を架けることを忘れたら、もうその人とは永遠に分かり合うことができない。

とはいえ、あまりに過酷なスケジュールだった。何とか自分をアゲなきゃ。そんな時にふと思い出した。僕はおしゃれタウンにあるゴキゲンなテイラーのともだちに、アイルランドはドニゴール・ツイードで真っ赤なジャケットを作ってもらってたことを。今日はアイルランドと日本と福島に橋を架ける日なのだ。どうにか時間を見つけて、取りにいこう。うふっ。はーと。いいなぁ、世界でひとつだけのこのジャケット。テイラーがどれだけ想いを込めてくれたか、羽織ってみると良く分かる。一生大事にしよう。アリガトネ。

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僕が英語が下手なのもあるけれど、リアム・オ・メンリィーは随分と長い間知ってるけれど、あんまり話をしない。でも、そのぶんだけ、音楽で会話をする。生まれた国は違うけれど、世代は同じ、聞いてきた音楽も殆ど同じ、ネイティヴ・アメリカンにヴィジョン・クエストを受けたのも同じ、絵を描くのが好きなのも同じ、そして、何よりも相馬に行ったことが同じ。もう、何も話さなくていいよ。

例によって、曲順もコードも、あってないようなもので。知らない曲を演奏されても、もう僕は驚かない。知らない展開になったとしても、それが嬉しい。そんなfearはもう僕にはない。リアムとなら、大丈夫だ。怖れを捨てて、今この瞬間に音楽の橋を架けよう。

出会ってから随分と時間が経過して、リアムは老眼鏡をかけるようになり、僕は遠近両用の眼鏡をかける。でも、どうしてだろう。何だか、瑞々しいんだよね。ある種のニンゲンには年を重ねるたびに若くなる何かがあるのかもね。

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My life is my message。これってvolは何になるんだっけ?そんなことはもうどうでもいいや。アイルランド大使館が橋を架けてくれ、彼の国の子供たちの絵は、福島に音楽と共に届けられた。そして、相馬の福祉施設「えんどう豆」の人たちが心をこめて作ってくれた200個のお礼のバッジ。それをアイルランド大使とリアムに手渡して、再び福島から東京を経由して、アイルランドに橋を架けるのが僕の大切な役目。開演前に流れた巨匠松本氏による、たくさんの相馬、いわき、大河原の写真。僕はそのBGMにキース・ジャレットのピアノを選んだ。観てたら、何だか、また泣けてきた。いろんなことを思い出して。僕は客席も同時に観てたんだけど、人々にはそれぞれ何かが伝わっていたと思う。それがまた、嬉しかった。アイルランドと東京と福島と宮城が、人々の心によって、繋がったことが。

正直、このプロジェクトを遂行するのは並大抵じゃなかったけれど、本当にやって良かった。人間はまだ捨てたもんじゃない。そして、えんどう豆から半ば強引に持ってきたグッズは全て、売り切れた。ブラボー。こんなに嬉しいことってないよ。
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これにて、SOMA WEEK、今年のMy life is my message。すべてのイベントが終了しました。でも、これは始まりです。来年も再来年もずっと続けていきます。大使にもそうお願いしました。とにもかくにも。リアム、大使館のひとびと、イベンター諸氏、相馬の愛すべきバカタレども、足を運んでくれたみなさん。本当にありがとう。願わくば、ここで起きていることを、誰かに伝えてください。来年はいい年にしようね。たくさんの愛。

僕の鞄は「えんどう豆」だらけになってしまった。

僕の鞄は「えんどう豆」だらけになってしまった。

正真正銘、ドニゴールツイードです。

正真正銘、ドニゴールツイードです。

でも作ってくれたのは日本のテイラー、襟にはこんな刺繍も入ってます。

でも作ってくれたのは日本のテイラー、襟にはこんな刺繍も入ってます。

本日のステージ。

本日のステージ。

お客さん、満員でした。どうもありがとう。

お客さん、満員でした。どうもありがとう。

俺っちのギター。酷使に耐えてくれます。明後日からは九州だぜ。

俺っちのギター。酷使に耐えてくれます。明後日からは九州だぜ。

リアムのバウラン。25年使ってるそうです。

リアムのバウラン。25年使ってるそうです。

花が飾られました。憎い演出。

花が飾られました。憎い演出。

開演前にはスライドが。

開演前にはスライドが。

世界の松本さんに自腹で写真を撮らせるヒドいプロジェクトです。感謝MAX。

世界の松本さんに自腹で写真を撮らせるヒドいプロジェクトです。感謝MAX。

じーんとしたなぁ。

じーんとしたなぁ。

リアムは楽屋でずっと絵を描いてます。僕も喋りません。

リアムは楽屋でずっと絵を描いてます。僕も喋りません。

何と、日本のヴァカヴォンド。山下清画伯です。

何と、日本のヴァカヴォンド。山下清画伯です。

メディスンマン。ブラック・エルクです。

メディスンマン。ブラック・エルクです。

リアムはハリス、僕はドニゴール。ツイード・ブラザースです。

リアムはハリス、僕はドニゴール。ツイード・ブラザースです。

えんどう豆からのお礼のバッジ200個。大切な僕の役目です。

えんどう豆からのお礼のバッジ200個。大切な僕の役目です。

ヒロシ on stage。クロエ社のツイッターから写真をお借りしました。

ヒロシ on stage。以下、クロエ社のツイッターから写真をお借りしました。

リアムとヒロシ。

リアムとヒロシ。

バッジを手渡し中。

バッジを大使とリアムに手渡し中。

はぐはぐ。

海を超える中年はぐはぐ。相撲みたいだけど。

 

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ふたつの国と福島に架ける心の橋 への6件のコメント

  1. けいこ より:

    MY LIFE IS MY MESSAGE 最初の年。本当にお疲れ様でした。
    今年、私はたくさんの素敵な方たちに出会うことができました。
    そのキッカケをくださった山口さんに心からの感謝と尊敬をおくります。
    本当にありがとうございます。

  2. きょうこ より:

    赤のドニゴールツィード、とても素敵でとても良くお似合いでしたよ!

    MY LIFE IS MY MASSAGE!来年はどんな年になるのでしょうか。私は体験したことを、言葉に出来るようにしたいと思います。

  3. ゆか より:

    いつかの冬、ここでおかぴーを聴いたのを思い出しました!
    ジョン・レノンについては詳しくないのですが、先日見た映画のなかに登場して、「walls & bridges」という言葉は今に響くなーと、ずっと心に残っていました。アルバムジャケットはジョンが子供のころに描いた絵だったそうですね。

  4. 前田優子 より:

    山口さん、ずっと、お会いしてお礼が言いたい、と思っていました。
    今回のプロジェクトでどこかでお会いできるかなと思っていましたが、
    わたしはいわきの自分の現場のことでいっぱいいっぱいでした(笑)。
    小名浜1小でのコンサートの後、リアムが3年生のこどもたちに特別にホイッスルワークショップをしてくれました。15分だけ、という話だったのですがリアムも子供たちも夢中になっちゃって結局30分…でもすごくいい時間になりました。来年まで一生懸命練習して音楽祭で披露したい、と言ってくれています。実現したらすごいな、と思い楽しみにしています。
    いつか、お会いできる日を楽しみにしています。
    どうか体にだけは気をつけてください。 ありがとうございます。

  5. toshie より:

    アイルランド大使のご挨拶に始まり、それは、協力への感謝のお話でした。
    続くプレゼンテーションでのワークショップの様子を伝えるたくさんの写真。写真に向けた特別な気持ちがこもっているようで、ステージ上のピアノをどなたかが弾いているのかと確認してしまいました。(後から自分の気持ちとも向き合っていたのだと気付くのですが。)
    福島の子供達を思って描いてくださいと言われて、描く絵が、自分のことを紹介する自画像という発想。その心は、一緒に居るよだし、あなたを知りたいですよね。
    相手を近くに感じて響き合うを観て聴いて感じる夜でした。有難うございました。
    I really appreciate all your help more than I can say.

    • toshie より:

      追記: 今日、当日いただいた「そうまかえる新聞」おたまじゃくし号をゆっくりと読みました。これから伝えてくださることをちゃんと受けとめていきたいと思います。

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