お詫び

5月6日 日曜日 晴れ

隔月発行で4/10に予定されていた「かえる新聞」の発行遅延に関するお詫びです。

僕は全国を廻り、いろんな場所で、みなさんからお金をプロジェクトに託されます。僕から寄付をお願いしたことは一度もなく、それぞれが自主的に様々な方法で集められたお金を、僕らの活動を信じて託してくれます。ありがたいことです。「今まで赤十字に募金してきたけれど、それよりも見える形で」と多くの方が語ります。それは嬉しさと同時に、身が引き締まることでもあり、そして重くもあります。全面的にそれらのお金で制作されているのが「そうま・かえる新聞」です。

あっと云う間に部数は2万部になりました。全国で自主的に配ってくれている人たちもいます。心より感謝しています。

ところで、この新聞。福島県相馬市在住の娘を持つお母さんと、関東在住のデザイナーである女性によって作られ、僕の友人である書籍編集者が監修する。そのような形で制作してきました。任命したのは、僕とプロジェクトの相馬本部長です。彼女らの名誉のために伝えておくと、もちろん報酬は0円です。全員が仕事を持っています。そして、何よりもまず、一般市民が「放射能新聞」を作らなければならないという状況がイカれていることを理解して頂けると嬉しいです。

始めた当初から、編集部の中に「軋轢」や「逡巡」が生まれることは予想していました。一般市民が目の前の無茶苦茶な現実を目の当たりにし、それを人々に伝える上で「責任」が生じる。どう考えても無理があります。二人の女性のうち、一人はお母さん、一人は未婚。そして違う場所に住んでいる。その立場の違いもあります。でも、任命した僕らはそこに意味があると考えました。目の前のとんでもない状況を何とかするために、共に悩み、僕らも含め成長していくことで、読者も考えてくれるのではないか、と。

人間は誰しも、心のなかに「言い訳」を用意して生きています。それが普通です。それを責めることは本来できません。ただし、悪化していく一方のこの状況の中で、「言い訳」を柱にして生きていると、やがて自己矛盾が生じて、自分たちがやっていることが正しいのか間違っているのか、それさえ見失うことになります。僕ら年上の大人たちは、基本的には口を出さずに進行を見守ってきました。けれど、彼女たちがどん詰まりに立ち至って、全員で何度も話し合いの場を設けました。そこに存在していたのはこの国、そして相馬が抱える複雑な問題の縮図そのものでした。誰ひとりとして報酬を受け取っている訳ではないので、「やーめた」と云うことは簡単でした。けれど、いろんな逡巡はあったにせよ、結果的に誰ひとりそこから逃げなかったことだけは、未来へと繋がる希望だと思っています。

編集方針が定まらないまま中途半端なものを発行するくらいなら、一度立ち止まって、ほんとうに伝えなければならないことを深く考えよう。そのような理由で発行が遅れています。そのアナウンスがなされなかったことを、心よりお詫びします。僕らミュージシャンはライヴが決まったら、例え親が死のうとも、そのライヴを飛ばすことは出来ません。そして調子がいい時に、いいライヴが出来るのは当たり前のことで、心や身体の調子が悪いときに、どのようなライヴが出来るのか。それこそがプロフェッショナルの意味だと、そうやって信頼を勝ち得ていくのだと、身をもって知っています。彼女たちは若く、まだその厳しさを知りません。まして、新聞のプロでもありません。ですから、発行遅延に関しても、彼女たちに甘さがあったことを認めざるを得ません。でも、彼女たちが今出来うる最大の努力をしていることだけは、理解して頂けたらと思います。僕ら大人たちも、それを全力でサポートします。ときに、厳しい叱咤もしますが。誤解のなきよう。僕らはただ無駄にトシを重ねているだけで、関わっているすべてのスタッフはみなフラットな存在です。上下関係はありません。

僕らは考えました。僕らは何か偉そうなことを云える立場にない。けれど、「命」を大切にすることを何よりも優先し、支えてくれている全国のみなさんに愛と感謝を込めて、目の前の「事実」を「事実」として伝える。それをどう捉えるかは受け取ってくれた人に委ねる。そして、発行には責任を持って、隔月で自ら指定した日を守り、みなさんと連帯して、信頼を勝ち取っていく。そのような新聞を目指しています。

重ねてたくさんのサポートに感謝します。もうすぐ発行日を公式にアナウンスできると思います。これからも、どうぞよろしくお願いします。

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お詫び への1件のコメント

  1. Kosei より:

    家族が死んだようなときにわざわざライブ強行しなくていいよ。

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