5月26日 日曜日 晴れ
まだ録音されてもいない僕らの新しいアルバム。大切にしたいことは「同時代性」。リスナーと同じ時代に生きてるってことです。
僕の場合で云えば、うーんと、例えば、中学生のときにラジオから流れてきたRolling Stonesの「Black & Blue」。高校生の人生を変えてくれたClashの「London Calling」。そして、20歳のときに聴いてたLou Reedの「New Sensations」かな。
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1984年。僕は20歳、大学2年。世の中はバブルに移行する前。妙に浮かれた空気が漂っていた。音楽はMTVとともに「聴いて想像する」ものから「観る」エンターテイメントに変化しつつあった。デザイナーズ・ブランドが席巻し、野郎共の髪型は刈り上げられ、もみあげは短く、女性の眉毛は無駄に太かった。例によって、僕はその流れに相容れなかった。
ルーの曲は高校時代のオレを撃ち抜いた。たった5分の曲に5つの短編小説が詰まっていたりもする。授業中は彼の歌詞を訳することに費やした。登場する人物は基本的にクズかアウトローかゲイかジャンキー。何よりもロックンロール・ミュージックはイアン・ギランみたいに叫ばなくてもいいってところが好きだった。そして映画や小説のような可能性を秘めている。それは「腰で考える」表現だったのだ。ひやっほー。
彼の曲はシンプルだった。ラジオから流れてくる日本の音楽は「A-B-C-サビ-転調-ドサビ」みたいな曲ばっかりだった。彼のようにシンプル極まりないコードの繰り返しでいい曲を書きたかった。僕はそれをサークル・ソング」と呼んでいるのだけれど、「明日のために靴を磨こう」って曲はまさにそれで、4小節の簡単なリフを5分繰り返すだけ。書けたときはほんとうに嬉しかった。
話を「New Sensations」に戻すね。
僕は画学生だったが、夜警のバイトもしてた。バンドをやるのは金がかかる。仕事が終わるのは朝の7時。朝陽とともに人々は出勤してくる。何だろうなぁ、世間に馴染めないこの感じ。違和感、不安、期待、焦燥、その他もろもろ。
僕は黄色いビートルに乗っていて、カセットデッキにはいつもこのアルバムのテープが入っていた。どうして、その道を通っていたのか覚えていないけれど、ある日の福岡のけやき通りの朝の風景と、この曲と自分の気持ちが奇蹟的にリンクしたことを、今でもはっきり覚えている。まるで光によって、空に道が拓かれたような。いや、まじで。啓示ってのは大げさだけど、「お前はお前の道を行け」と、確かにメッセージだけは受け取った。それは片田舎に住んでいた僕にとってはとてつもない「励まし」で、それが冒頭に書いた「同時代性」の意味。彼が同じ時代に生きて、このアルバムを出してくれなきゃ、僕は今ここに居なかっただろう。NYに渡ろう、そう決めたのだ。
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DとG。使ってるコードはたった2つだぜ。
あれからほぼ30年。まったく古くないのだよ、僕の中では。今でもビンビンに有効。それが凄い。聞いてたら、クルマに乗りたくなる。
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どれだけ音楽を作っても、そこに答はありやしないんだけれど、「応え」は込めたいといつも思ってます。次の水曜日にはHW SESSIONS、三回目を迎えます。まだチケットあるのかな? 同じ時代に生きてる僕らの新しい音楽、是非体験しに来てちょーだい。
NEEL YOUNGがいて、LOU REEDがいて、ヒロシさんがいて
付かず離れず聞いて来た。うねる渦の中で応えてくれる。
the needle and the damerge doneは、土曜の夜に
cony island babyは、日曜の夜に
HEATWAVEは、everynights…
ただ今を生きようじゃないか…
いろんな意味で狂ってたバブル期。個性とかオリジナルとか何とか言いながらも、結局は画一化されてった気がするのです。一見華やかに見えたけれど、私には祭りの後の虚脱感や言いようのない不安感が残る日々でした。でも、そんな陰のようなものを感じてるときだからこそ、光に敏感だったと思う。自分にとって大切なものに気づく、そういう感度が高かったんじゃないかな。それにしても「明日のために靴を磨こう」にそんな背景があったとは。また違った風景で聞こえてきますね☆
この曲、かっこいいですね~。初めてきちんと聴きました。
黄色いビートルの風景が目に浮かびます。幸せな瞬間でしたね。
きょうはわたしもいい音楽に遭遇して、すごく幸せな気分。
感謝して眠りまーす。
7時8分、家に帰る。ですね~。
このアルバム知らなかったな!チェックしまーす。
TDKのカセットテープのA面とB面にミートザビートルズとS&Gの旧友を聴きながら婆ちゃんと眠った小学生の頃、そんな事を思い出しながら、昔レコードからテープに録った音を聞いています。事件がおきてるって感じるんです!その音は。
「New Sensations」、僕も大好きなアルバムです。このA面最後のアルバムタイトル曲、もう何万回聴いたことか…。これからも聴き続けるであろう大事な曲です。あるば僕はルー・リードに関して退廃的…みたいなイメージは全然持ってません。Doin’ The Things…は洋さんのライブ前のSEでもよくかかってますよね。あれを聴いていて、イントロがけっこうアイリッシュっぽいのに初めて気が付きました。
山口さんと同い年の姉が何故か「トランスフォーマー」を持っていました。そのレコードは今自分の手元に。
自分が17歳になってやっとレコードが聞ける環境になり姉の佐野元春のレコードやこのアルバムなど聞いてましたが今だ輝きを失わない作品です。
その中の名曲の1つ、satelite of loveのカバーを数年後新宿ロフトで聞きました。
初めて自分が見たヒートウェーブのライブ。確か素朴な山口さんのMCがあって
情熱の演奏が刺さりました。
18でベルベットアンダーグラウンドを初めて聞いたのですがルーがメンバーだったのは洋楽に詳しくなかった当時知るべくも無かったです。
ルーにもベルベットも僕の好きなアーティストです。