日別アーカイブ: 2024年6月29日

採取、静岡市にて

6月29日 土曜日 曇り   大雨で新幹線が止まっていた。  でもまぁ、それもまた旅。  ところで。  その男は普段、植木屋なのだと。その日々の中で歌を紡いでいるのだという。名前はノダフルタ。中村貴子ちゃんがNHKでやっていたミュージック・スクエアを聴いて育った。  前から知ってはいたけれど。素晴らしい才能だった。  彼が持っていたのはハードオフで2000円で売っていたモーリスのW20というギター。それは生まれて初めてオレが親に福岡は天神にあった岩田屋で買ってもらったギターと同じもの。こんなところで再会するなんてね。46年ぶりに。  彼のバンドはその才気ゆえ、佐久間正英さんにプロデュースされたのだが、リリースを待たずして、佐久間さんが亡くなってしまった。宙に浮いたままらしい。音源がどこにあるのかもわからない。  気がついたら、オレはもうそれを調べ始めていた。なんなら、その仕事、オレが引き継がせてもらえないだろうか。仕事っていう言い方は嫌だな。ミッション、だ。  その音源が見つからなかったとしても、彼の歌は採取して、世界に届ける価値がある。なぜなら、これは令和の静岡のレッキとしたブルースだから。  新装したUHUで録音するのもよかろう。  町にはその町、固有の音楽が存在していてほしい。これはUHUが生んだ音楽。なんとかできないものか考えてみたい。それもまたオレの役目のひとつだと思うから。  そうそう。ミュージック・スクエアで彼が聴いた「ノーウェアマン」をふたりで演奏した。終演後だったからオーディエンスは5人くらいしかいなかったけどね。もちろんギターはW20で。感慨深かったさ。  彼の歌には虚構がないんだ。そして静かな狂気をたたえている。それがたまらなく好き。圧倒的なポピュラリティーなんてクソくらえなんだよ。あの歌を必要としている人は少なからずいる。G.Yokoの歌と同じようにね。 ついしん  ノダくん。ギターは買わなくていい。あれで、いいのではなく、あれが、いい。まさか、あのギターがあんなにいい音するとはオレも思わなかったよ。 

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