8月17日 木曜日 曇り
ずっと本を読んでいる。乾いたスポンジに水が浸透するみたいに。持ってきた本はぜんぶ読んでしまったので、麓の小さな本屋に行ってみた。
売れ筋はもちろん雑誌なんだろうけど、店主が本好きなのが伝わってくる。好きだな。こういう店。夏目漱石の「こころ」の文庫本が330円で売っていた。
最初に読んだのは小学生のとき。「精神的向上心のない者は馬鹿だ」ってセリフがぶっ刺さったのをはっきりと覚えている。以来、何度読んだか不明だけれど、イージーライダーと同じくらいは反芻してる。
あっという間に読み終えて。
これまでとまったく違う読後感に驚く。筆致の新鮮さに毎度驚いていたのだけれど、プライベートなことを突き詰めるとパブリックな事象に到達する「プライパブリック(by 長谷川博一さん)」感とプロットの確かさに。
わたすより、遥かに若い時分に描かれているわけで。ボケボケしてる場合ではないと、すごく刺激をもらった次第。
名著やいい音楽のエヴァーグリーンさ。同じ言語を用いて、ここまで深いことを描けるのか、と。創作の深遠さに励まされる。
彼がいつ、どのように着眼して、着手して、昇華させたのか。いつ「書けた!」と思って世界に放ったのか。
後半の「先生」による手紙の独白は一気加勢に書いたとしか思えないフロウがある。乗りに乗って、人間のどうしようもない(誰にも共通する)矮小さと懺悔を描いていたのだとすると、いったいなにに触発されたのかなぁ、とか。
洋さん。流石いかなる状況や現場でも何かを感じで、心と身体の肥やしにしていく姿勢にホント励まされます。
コロナに感染し隔離中ですが今後やる事が見えてきました!自分のペースで頑張ります!
山口洋さんと夏目漱石。違和感を感じながらも何となく納得してしまった。