山と海の狭間で

7月5日 金曜日 曇り

ずいぶん前のこと。ともだちがアメリカで「Between Thought and Expression」というLou Reedの詩集を手に入れてきてくれた。後に同タイトルのコンピレーション盤が出たが、僕はそのタイトルにずっと心を持っていかれたままだった。その詩集には「親愛なるヒロシへ」とルーの直筆のサインが入っていたが、ともだちには悪いけど、そんなことはどうでも良くて、とにもかくにも心に引っかかったのは、そのタイトルだった。「思考と表現の狭間で」。どれだけ時間が経過したのか不明だけれど、それから数年して、ある瞬間にそのタイトルの持つ意味を「身体」で理解したのをはっきりと覚えている。

そのようなことは今でもある。

昨日、1200キロの道程を12時間で走りきって、ヘトヘトになってクルマをガレージに入れた。ドアを開けたとき、瞬時に海の匂いを感じた。そして激しい疲労の中で、僕は1200キロの意味を「身体」で理解した。

当たり前のことだけれど、僕は山から海に移動してきた。その両方の視座を持つために、自力での1200キロの意味があるのだ、と。

家に入って、インターFMでやっているディランの番組を聴くために、ラジオをつけたら、マーサ&ヴァンデラスの「HEATWAVE」が流れてきた。うーん、なるほど。すごいね。

一晩、死んだように寝て、僕は海沿いを走り、そのあと、住んでいる街の人々の表情を眺めた。昨夜、「身体で理解した」あの瞬間に、僕は少しだけ前とは違う人間になったのだと思う。まるで違うものが人々の顔の中から見えてくる。それがいいことなのか、どうなのか。それは記さないけどね。

「一人一人の心の習慣が変わらない限り、日本という船は方向転換できない」という発言が送られてきた。僕も激しく同意するよ。その舵のありかを知るために、僕は山と海の狭間を漂い続けるのだと思う。

ずっと視界はこんな感じだったから、ほんとうに疲れたよ。

ずっと視界はこんな感じだったから、ほんとうに疲れたよ。

テレビは嫌いだけど、ラジオは素晴らしい!!!!! ディランのラジオって夢みたいだぜ。

テレビは嫌いだけど、ラジオは素晴らしい!!!!! ディランのラジオって夢みたいだぜ。

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山と海の狭間で への6件のコメント

  1. 愛ぴょん より:

    ヒロシさん、おかえりなさい。
    ご無事で何よりです。
    またメッセージを受信されたら、教えてくださいね☆

  2. うっちゃん より:

    ヒロシさんは、感覚を得たのですね。
    私は疲れているせいか、音楽の旋律の向こうに、違う旋律が聞こえたり
    現実の映像の向こうに、全く違う映像の煌めきを見ることがあります。
    こう言うことは周囲にはいえませんが…(医者行けと言われるとね…笑)

  3. kumiko より:

    おかえりなさいませ。
    1200キロの道中お疲れ様でした。

    洋さんが受け取ったメッセージに大きく頷く私。
    人間は自然の中で生かされている事をもっと自覚するべきだと思います。文明から離れた生活が人間としての在り方を見つめられるのかもしれない。必要でないものを一つづつ削っていけば、自分に何が必要なのか見えてくるはずだと…。その削る作業の方向が難しかったりするわけで…。心の修行が私も足らんとです。だからかな…洋さんの音楽に出会えたのは。

  4. Froggy II より:

    「真面目」と「真剣」は微妙にニュアンスが違うと感じているんですが…真剣な人っていうのは、いつも<知ること>を<理解すること>に変化させずにはいられない性質だと思うんです。だから、ものすごく忙しい。(いい意味で・笑)理解するには身体で動いて体験するしかなくて、そこに大小の大きさは関係なく、どんな体験もすべて重要なんですよね

  5. Froggy II より:

    PS:1200キロの運転、おつかれsummer ! (←ベタですみません)

  6. 天野 秀次 より:

    道行く素朴な人たちを眺める いとおしくもあり胸がなぜかキュンとしたり。乗り合いバスの乗客たちの表情は華やがない 不安と覚悟を行ったり来たり そんなふうに感じるのさ。

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