日別アーカイブ: 2024年2月12日

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2月12日 月曜日 晴れ 静かだからここに暮らしてるんです。夜は風の音と、雨の音しか聞こえません。 ロック的なものなんて、ここにはなにもありません。うちで行き止まりだから、車が通ることもなかった。 家を見に来たとき、リビングの窓の真ん中にでっかい富士山があって、それだけでここに住むことを決めたんです。 ところが、コになって。 東京からこのエリアにやってくる人が増え、不動産価格は急上昇。リスが棲んでた裏山を切り崩し、宅地を無理やり造成し、近隣だけでなんと今7軒の家が建築中。コになってからはちょっと耐え難かった。 ただでさえ、行き止まりなのに重機、ダンプ、ワゴン、軽トラック。家の前に数珠繋ぎに駐車され、僕は仕事に行けない、とか。ステレオで打ち鳴らされる騒音、また騒音。埃、エトセトラ。 行き止まりだけど、人だけは通れる小径。それはおじいさんおばあさんがスーパーに行く近道で、小学生の通学路でもあるんです。危険極まりなかった。ある時、おばあさんが止むなく踵を返すのを見て、僕はキレた。 それぞれ違う業者が入っているので、何度も言いました。止むを得ない場合を除いて、駐車場に停めろ、と。でも、家を建てる行程で違う業者に仕事が受け渡されると、ほぼ伝達されておらず、彼らはいつだって道を堰き止める。 ついにはこちらも目が肥えてきて、建設を司る業者の質もわかるようになる。上質なところは、周囲と調和して仕事を進める。でも、そうじゃないところは自分の利益しか考えていない。 こちらもちょいと調べます。いちばん酷かった業者は「ヤンキーの立志伝」的な宣伝がされていて、本まで出版されていて、こりゃ言っても無駄だと。アーメン。 こういうプロセスは価格に見事に転化されています。安いってそういうことなんです。 思うことはたくさんあって。 逆説的に学ぶしかない。自分だったら、こうはしないって意味でね。にしても払う代償が多すぎるんだけど。 志、だけなのにね。 きちんとやるには金がかかる。調和するには時間がかかる。すべては価格に転化される。時流がどうであれ、そこを理解してもらえるように生きるか、生きないか。それが問題なのです。           山口洋初のエッセイ「Seize The Day 今を生きるための音楽」 ボックスセットとしてカモネギ書店で予約受付中!  

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