日別アーカイブ: 2012年8月14日

宇宙と響きあうこと

8月14日 火曜日 雨のち曇り 若い頃、ネイティヴな人々について書かれた本を読みあさって、ひどく影響を受けた。簡単に書くなら、人間は一番ではなく、MOTHER EARTHに生かされている。世はバブルの末期で、人々は痙攣したように浮かれていた。 もはや、じっとしていられなかった。何度も砂漠に足を運んで、彼らにとって「割礼」のような儀式であるヴィジョン・クエストを自己流で試みた。 自分の存在を媒介として、ほんものの宇宙と、自分が内包する宇宙との間にエネルギーが通り抜ける場所を探す。砂漠のド真ん中で。きっと、誰にだってその場所はある。僕も人には教えないけれど、地球上に3カ所ある。その場所で、3日間。水だけを飲んで過ごす。 山脈の向こうに太陽が沈んでゆく。自分の影は70メートルくらいはある。それが「しゅっ」と消えていったなら、あたりは闇に包まれる。やがて、星がひとつふたつと輝きだし、信じられないくらいの満天の星空になる。この世のものとは思えないくらい美しいけれど、体験したことのない恐怖が襲ってくる。今までの自分の行いに懺悔するしかなくなる。たいていは耐えきれずにここで逃げ出す。僕も3度は逃げた。おそらく周囲何10キロ四方、人っ子ひとり居ない。ガラガラヘビは居るけど。まるで宇宙に置き去りにされたように。 闇と満天の星空の中で、外の宇宙と内なる宇宙は繋がっていることを知る。自分の成長を止めていたのは「恐怖」だってことを知る。そしてその恐怖のあまり、人は幻影を見る。それはヴィジョンと言い換えてもいい。12歳のネイティヴな少年は3日間、その恐怖に耐えなければならない。そして、村に帰り、そのヴィジョンをチーフ(メディスンマン)に話したとき、彼には初めて名前が与えられる。 初めての朝がやってきたとき。僕はしずくと涙に濡れていた。世界はみずみずしく輝いていて、近くに心臓の音を、遠くに砲弾の音を聞いた。自分が生かされているのは偶然なのではなく、奇蹟なんだってことを知った。僕は既に少年ではなかったけれど、それは貴重な体験で、宇宙に一人ってことは、つまり独りじゃないってことを教えられた。 随分、奇異で回りくどい道だったと思う。今までも、そして多分これからも。でも、強烈な意志には宇宙が呼応してくれることを知っている。自分も宇宙を内包しているからだ。ほんとだよ。繋がっていて、響き合っているから。そして、とつぜん与えられる運命は、それがどんなものであれ、自分自身だ。 あの出来事があってから、深く考えた。どうやれば未来を創ることが出来るんだろう、と。結局、立ち至った場所は、「今、この瞬間を全力で生きる」ってことだった。尊敬する人がこう云ってた。「今、ないものは未来にもない」。いや、「現在ないものは永久にない」だったっけ。つまり「未来にあるものは今、ここにある」てことだ。僕にはその言葉の意味が身にしみて分かる。  

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