日別アーカイブ: 2025年6月19日

Recording day #036、遠い山なみの光

6月19日 木曜日 晴れ フィジカル・トレーナー(元高校球児)と月一回、海辺で早朝野球をしています。5時台に背中にグローブを背負ってでかけていきます。今年になって再開したんだけど、50年前の元野球部、最初はボロボロで、こんなんじゃいかんと体幹を鍛え直し、筋トレに励んだなら、ようやくブレなく投球できるようになってきました。砂地の場所なんで、体幹がしっかりしていないと投げられないのです。こういう指針というか、違う「point of view」があるのはありがたい。すべて音楽にフィードできるから。 彼に弾丸富士山登山を誘われたんだけど、今年はスケジュール、無理だなぁ。来年なら行けそう。聞くと、午前1時にこちらを出て、麓まで車で移動、入山規制がかかっている時期なので、5合目までバスで登り、1時間ほど身体を高地に慣らした後、登って降りてくる。日本人たるもの、一回は登ってみるのも悪くないかも。 ところで。レコーディングです。休みなく、ずっと向き合っています。さすがに休みが欲しいと思うけれど、集中できることを幸福だと思って取り組んでおります。こんなの、時給に換算とかしちゃいけません。間違いなく労働基準法に違反してると思われ。 自分を動かしているものは。見たことのない頂に行って、ピープルにその風景をお裾分けして、みんなをハッピーにすること。トレーナーが言ってました。富士山頂からインスタライヴをやって、彼のところにやってくる年配の人たちを楽しませてるそうです。 経験上、ほんとうに素晴らしいものが出来上がる速度って異様に速いんす。作曲も録音も。どうやって創ったのか覚えてないことが多い。ほんとうに導かれたように、あっという間に出来てしまう。 でも、稀に粘って粘って、粘りまくって、到達するものもあるんす。 昨日がそうでした。なんでうまくいかなかったかというと。 この曲を録音した時、スケジュールがハードすぎて、喉がもうボロボロで歌えなかったのです。ガイドで軽くさえ歌えない状態だったので、クリックなども一切使わない僕らの録音では、それでもメンバーは歌を想像しながら演奏してくれたわけなんだけど。 いざ、歌ってみると、歌の世界に対してオケが強すぎたんすね。それは仕方がない。 そこを調整すべくかかった日数、2日間。なんとかしようと、持ち替えた楽器の数、無数。粘って、粘って、にゃんとか、奇跡的に折衷点を見つけたわけです。 いいリズムに素晴らしい歌がのっかってさえいれば。数時間で終わることが2日かかります。しかも、気に入らないなら録り直す可能性もある。ははは。 なので、ほんとうに日々のコンディションをコントロールするのもプロの仕事です。 ジョン・レノンが名曲「ストロベリーフィールズ」をどうやって完成させたのか。そのプロセスを克明に記録した音源を持っていて。かのジョンですら、これだけの試行錯誤を繰り返したのか、と思うんすね。 ぐっと掴んで、ぱっと投げる。それがいい音楽の条件だけど、一方で粘って粘って、粘りまくって、素晴らしいものができることもある。 マウンドに復活した大谷選手。さすがにオレも見ました。あの彼ですら、実戦から離れていると大汗をかいて、自分をコントロールするのに苦労している。一方、打席に入ると、別人のように自信に満ちている表情になる。それだけで、たくさんのことを教えられます。実戦感覚としかいいようのないもの。どんな仕事にも存在します。 ああいう姿をビール飲みながら愉しむことはオレはできないっす。 高校野球を見てると、次の展開がどうなるのか、直前の投手と打者の表情を見ていると85%予測できます。結果が出る前に勝負は終わっていることが多い。彼ら高校生だから、まだ経験の少なさゆえ、とってもわかりやすいのです。そこから学ぶこともたくさんあります。 何度も何度もステージでトライ&エラーを繰り返して。ようやく辿り着く領域。 カズオ・イシグロの言葉を借りるなら、「遠い山なみの光」って感じかな。笑。

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