日別アーカイブ: 2011年5月26日

連帯の意味

5月26日 木曜日 曇り ものすごい二日酔い。同じく狂った夜を共に過ごし、我が家のソファーで眠りこけるシンガー某に、「ごめんね、俺、行かなきゃいけないんだ」と伝言を残し、車をぶっ飛ばす。自分の運転に酔いそうだったが、どうにかたどり着いて、クロエのミスター、プロジェクトのプロデューサーと涙目で炎のミーティング。 今日はクロエのことを書こうか、と。 僕は生まれてから今日に至るまで、ありとあらゆる会社や学校、つまり組織と云うものに順応できませんでした。ある意味では完全な社会不適格者。だから、できるだけ誰の力も借りず、独立して生きる道を選びました。魚さんともよく話すことだけれど、僕らに音楽がなかったら、と想像すると、本当に恐ろしい。そんな旅路の中で、見えてくる風景を僕らは音楽にして、生きてきました。幸いなことに、莫大な数ではないけれど、その音楽を必要としてくれる人たちが居る。ファンに支えられて、今までやってきました。レコード会社を離脱し、音楽事務所を離脱し、それでも情熱は増すばかりで、音楽は深遠なものだったのです。 クロエからのオファーを聞いたとき、僕自身も頭にでっかい?マークが浮かびました。何もこんなにややこしくて、気難しくて、頑固な人間を選ばなくても、他に候補は一杯居る訳で。組織とのトラブルを散々経験してきた身としては、身構えもしました。 —————————————————————– 震災後、僕らは友人たちと全力で青森でコンサートを開いた。それは本当に美しい光景だった。人々が欲を捨てて、全力で音楽に取り組む。その時の合言葉は「音楽はライフラインだ」でした。そして、来てくれた人々の想いの総合体は60個のラジカセになった。人は信じるに足りる生き物だ。そう思わせてくれたと同時に、限界も感じました。何せ、災害のとてつもない規模に加え、原発事故は人類にとって未知の領域に入ってしまった。とんでもなく長い厳しい闘いになる。一人で出来ることなんてタカが知れている。その時に、クロエは僕らの合言葉に反応してくれたのです。こうやって、クロエのバックを持ってもいない僕はクロエと出会いました。まず提示されたのは彼らの理念。 1. まず知ること、そして自分のこととして考えること 2. 自分で参加して汗をかくこと 3. 他者に伝えること 4. 継続すること それは僕が考えていたことと、ほぼ同じでした。そして、様々な社会奉仕活動を通じて、僕、及びHEATWAVEにオファーを出したように、彼らは仕事を誰かに丸投げにしたり、何処かの大きな団体に寄付したりするのではなく、支援先を選定し、本当に意味のあることに、自らの汗をかいて届けようとしている。その態度に僕は心打たれたのです。 むろん企業なのだから、詳細は書かないまでも、いろんな困難が互いに待ち受けていることは分かっています。でも、音楽とファッション。芯の部分で通底するものの可能性に僕らは賭けています。 具体的な話をひとつだけ。 僕らは「がんばれ」と云う言葉を「がんばっている」人に、あるいは「がんばれないような」状況の中に居る人に向かって云うことはできなかった。そんな話の中で、それぞれの「life」の美しい場面を集めてみようと思いました。アイデアを出したのは映像チームの渡辺太朗です。特設サイトにはたくさんの写真が寄せられました。途中でサーバーを増強したほどです。それらは等しく愛おしい。ひとつひとつの場面に想いを馳せ、時には笑い、時に心を動かされました。中でも、僕の胸を打ったのは「家族」の写真です。僕には家族が一人も居ません。でも、羨望とか、そんなものを遥かに超えて、それらの風景は抱きしめたいくらい愛おしく、美しかった。そんな光景が破壊されていく今の状況は堪え難いのです。「my life is my message」。それぞれのlifeがメッセージであること。次々と増えていく写真を見て、それらをライヴで使用するだけでなく、写真集にすることを思いつきました。そして、6/14のライヴに足を運んでくれた人たちにその写真集を手渡したい。世の中がこれだけの美しい場面に溢れていることを伝えたい。何よりも、これらの美しい風景が、破壊されてしまったこと、あるいは破壊されようとしていることを、伝えたい。でも、それを作るのには結構なお金がかかる。その制作にまつわる一切の費用を広告を出すことによって、サポートしてくれるのがクロエなのです。僕らの関係性。この例えで理解してもらえますよね?バンドだけでは、到底不可能なのです。 いくつかのアイテムもスタッフが魂を込めて用意しています。それらの売り上げは全額、被災地が今必要としているものに役立てられます。ただし、ライヴのチケットを買うだけで、懐は精一杯だ。そんな人も居るでしょう。だから、その写真集を見て、何かが伝わったなら、1円でも構いません。会場の何処か(決まったらきちんとアナウンスします)に置いてある箱の中に入れてください。もちろん0円でも何の問題もありません。僕らが何かを強制することはありません。 ひとつだけお願いがあります。みなさんの貴重なlifeの写真。それを本にして配布することを許可してください。詳しいアナウンスはスタッフから正式に行いますが、今月いっぱいで、一旦募集を締め切らせてください。このプロジェクトはvol.2として、再開するつもりでいます。極力すべての写真を掲載するつもりでいますが、紙面の都合上、やむを得ず編集することもあります。 伝えたいことはたくさんあります。ひとまず、今日はここまで。 読んでくれて、ありがとう。

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