月別アーカイブ: 1月 2012

Daniel Lanois、情熱の人

1月18日 水曜日 曇り   ダニエル・ラノア、情熱の人。生きてて良かった。  自分が正しいと思ってきた音楽の道を、すべて身をもって証明してくれた。何も間違ってなかった。僕にとっては、そんな希有なライヴだった。痺れた。しばらく音楽は必要ないし、余韻に浸っていたい。今日、ベッドに入ったら、いろんな風景が頭蓋の内側のスクリーンに浮かんでくるだろう。たとえ、映し出されたものがトラウマの映画だったとしても、僕はそれに浸っていたい。 —————————————————————————–  20数年前から彼が創りだす音楽が好きだった。ヴォーカルが入っていない作品は未だに3日くらいエンドレスで家の中で流れていたりする。だから、誰も誘わなかった。一人で味わいたかったから。ところがどっこい、会場はミュージシャンだらけ。まるでどこかのfesのバックヤードみたいだった。みんな、自分でチケットを買ってやってきた連中だから、誰が来てた、なんてそんな野暮なことは書かないけど。  ステージにヴォーカル用のモニターは「ほぼ」なかった。それは一般的にこの国で「コロガシ」と呼ばれているが、僕はそれが死ぬほど嫌いだ。あんなものステージからなくなりゃいいのに。いつもそう思う。だから、遠くにセッティングする。本当は表の音が聞こえてたら必要ないのだ。あんなもの。コロガシからドラムの音が返ってくるなんて、あり得ない。ドラマーの息吹が分からなくなる。僕は東京ドームでさえ、ヴォーカル以外何も返さなかった。だから、必然的に生音を聞くために、ステージの中央にメンバー全員が集まることになる。見た目が格好悪かろうが何だろうが、それじゃなきゃ、自分の音楽が成り立たない。  今日のトリオはまさにそれを体現していて、ステージの中央にひしめくようにメンバーが立っていた。そして、遠くにひとつだけコロガシがあった。最高だ。でも、多分、ダニエル・ラノアはコロガシではなく、表と全体の音を聞いている。この嗜好を分かってもらえなくて、僕はどれだけ苦労したことか。間違いなく、今日のステージ上の音は小さい。全員が全員の生音を聞いている。だから、ダイナミクスをすべて有効に使う演奏ができる。スポンテニアスな演奏も可能になる。反応が速いのだ。  ダニエル・ラノアのアンプは古くて小さいフェンダーのツイードで、ピックを使わずに、指だけでダイナミクスを表現した(指で優しく弾いた方が低音が出る。ドラムでもベースでも同じ。ここ大事)。おまけにディレイは、僕とおおはた雄一君が最近使っている変態ディレイ、マレッコのものだった。ビグスビー付きのレスポールを指で弾き、せわしなくフロントとリアを切り替え(再びここ大事。彼はセンターは決して使わなかった。フロントは多分トーンを絞ってある)マレッコとブースターを経由して、小さなフェンダー・ツイードで鳴らす。最高だよ。  何よりも嬉しかったのは、ライヴを観るまで分からなかったことだけれど、彼が「情熱の人」だったってこと。音楽への溢れる情熱。「響きへの情熱」。それがほとばしっていた。彼の自伝には怒りにまかせて叩きつけた血まみれのピアノが写っている。ディランとのレコーディングで彼が暴れたのも有名な話。でも、それは暴力ではなく、溢れる情熱だと思う。コントロール不能な。勝手な想像だけどね。だからこそ、ペダル・スティールを弾くときも、メソッドから完全に逸脱した、弦を擦る情熱が溢れてくるのだと思う。  彼やブライアン・ブレイドの演奏は誰も真似ができない域に達している。メソッドは自分。誰が何と云おうとも自分。それらの集合体がグルーヴと響きを創り、僕をノックアウトする。最高だ。 ———————————————————————————  本当は誰とも会話したくなかったのだけれど、帰りしな相馬に電話した。「いや、音楽、最高だよ。こんなに静かに熱くオレを鼓舞してくれるものが、まだこの世にあるなんて、思わなかったよ」。応えて被災地いわく、「あんた今頃何云ってんの?それ、あんたの仕事でしょうが」。そうだね。オレの仕事は最高だね。こういう励まし方って、ぜったいアリだね。

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17years

1月17日 火曜日 晴れ あれから17年、か。 「満月の夕」はもはや僕や中川敬のものではありません。聞いたことないけれど、きっと彼もそう思っているでしょう。作者にとっての最大の名誉とは、誰かによって、連綿と歌い継がれ、歌詞も変わり、作者不肖となって、歌だけが生き残る。そのようなことです。 今日もあちこちのメディアでいろんなバージョンが流れていた、と聞きました。 僕はあの時の神戸市長田区の風景を一生忘れることができません。未だにその曲を歌うたびに、フラッシュバックしてくるのです。10年が経過して、筑紫哲也さんの番組で「僕らの世代は教科書でしか観たことがない風景だったのです」と話しましたが、ほんとうにそのような光景だったのです。 まさか、災害の規模として、あの光景を更に上回るようなことが起きるとは想像できませんでした。でも、僕もだけれど、「経験」から学んだことがあるはずなのです。その経験をどう生かすか。それが僕らに求められていると思っています。神戸市長田区、福島県相馬市原釜。胸にある二つの原風景に美しい橋を架けることは不可能ではない。僕はそう思っています。

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原稿の海

1月16日 月曜日 晴れ 朝から晩まで、自分が書いた原稿の海を泳ぎながら、溺れております。アーメン。 追伸 昨年11月11日に東京ドームで行われた、「美空ひばりメモリアルコンサート」の、BS朝日でのON AIR日時が決まりました。今回は、ノーカット完全版での放映だそうです。 2月12日 12:00~16:55 BS朝日にて  

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days like this

1月15日 日曜日 晴れ

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満身の怒りと未来へのヴィジョン

1月14日 土曜日 晴れ   週末、時間のある人は是非、広瀬隆さんの満身の怒りと未来へのビジョンを観て頂きたく。そして自分の頭で考えて頂きたく。右だとか左だとか、脱だとか反だとか、そんなことではなく。何にせよ、全身をかけて闘ってきた彼の意見はひとつの確実な視座であることだけは間違いなく。 http://www.wa-dan.com/hirose/ 

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モノ想う日々

1月13日 金曜日 晴れ 昨年末からカンゾーを痛めつけながら、今年の目標を諸氏と設定しているうちに、今年のテーマは「togetherしようぜ」に決まってしまった。発音としては「トゥゲダー」が正しいらしい。プロジェクトのアホ化(生きていくのに笑いは重要だ)も含めて、無尽蔵にアイデアが湧いてきて、自分でも困っている状態。 ところで、住民にヨウ素を配布したり、4号機は実のところ爆発したのではないか、なんて情報を国会議員が無責任にblogに書いたり、18歳以下の福島県民は医療費を安くするとかしないとか、いったい福島県民を何だと思ってるんだと怒り心頭。彼らはね、生身のニンゲンなんだよ。欲しがっているのは「正しい情報」。ただ、それだけなんだよ。携帯の緊急地震速報って、甚だ心臓に悪い。僕が住んでる場所を心配してるんじゃない。頼むから福島にでっかいのが来ないでくれって、無力なニンゲンは祈るしかない。 ニンゲンなんだから、誰だってブレる。ブレて、彷徨って当たり前。もちろん正確な情報は流すけれど、先だって、そうまかえる新聞の編集方針を「ブレてるお母さんが創る、ブレてる人のための、ブレてる新聞」ってことにした。誤解しないでね。腐りきったこの国で、確たることなんて、何ひとつない。そんな日々の中で、ブレながらも前に進んで未来を創っていこうとする意志。もはやマスコミもまったく信用ならない状況の中では、その意志こそが「honest」の意味だと思うんだよ、俺は。 あまり追求されないけど、銀行もヒドい。電気料金の値上げと原発再開を条件に東電に対する追加融資が1兆円規模で実施される方向で動いてる。本当にヒドい。俺はもう銀行に金を預けたくない。この国は個人資産でかろうじて保たれている大借金国家だ。そして人々が預けた虎の子の金が、このような事に使われる。潰れかけた中小企業に銀行は絶対に金を貸さない。恥を知れ、と思う。 大切なことは、ひとりひとりの心が何処を向いているか、ただ、それだけだ。自分が生きていることが、社会とどのように関わっているのか、それを知ることだ。僕は不可能なんてないことを、伝え続けたい。そんな人間が増えていけば、絶対に不可能はない。  

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days of 2011

1月11日 水曜日 晴れ とあるものを出版するために、昨年撮影した写真を全部、観ました。それでも世界は美しかったよ。 おまけ。バカだ。バカ過ぎる。深夜に一人で大笑い。素晴らしい。

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MY LIFE IS MY MESSAGE – SOLO TOUR 2012

1月10日 火曜日 晴れ  てな訳で私、3/12の渋谷duo公演にて、バンドで2012年のプロジェクトの狼煙を上げたあと、独りで全国を廻ります。北海道から沖縄まで自分の足で行き、自分の目で観たもの、これまでの経験、そして何も始まっていず、終わってもいないことを、新しい曲を育てながら「伝える」ツアーにしたいと思っています。繰り返しますが、これは通常のソロ・ツアーではありません。「MY LIFE IS MY MESSAGE」のソロ・ツアーです。私、本気です。覚悟を決めて参ります。とりあえず、3~4月分、こちらにアップしておきます。来てね。 http://no-regrets.jp/heatwave/news/120110/ 3月20日(祝·火) 豊橋・HOUSE of CRAZY [web] 開場/開演=18時30分/19時 チケット料金=3,500円(税込/ドリンク代別途500円) チケット販売=1月10日(火)より、電話予約、メール予約(crazy921@crocus.ocn.ne.jp)にて受付 問=HOUSE of CRAZY tel_0532-55-9000 [web] *メール予約の場合、件名に「3/20山口洋」と入れてください 3月22日(木) 奈良・蔵武D  [web] 開場/開演=18時30分/19時30分 チケット料金=3,500円(税込/飲食代別途) チケット販売=1月10日(火)より、電話予約、メール予約(info@creerks.com)にて受付 問=蔵武D tel_0742-24-9081 [web] *電話の場合は19時〜23時(月曜以外)にお願いします。 3月24日(土) 高知・ULTRA ROCK BAR J’s (高知市はりまや町1-7-15ニューベルギー館3F) 開場/開演=18時30分/19時 チケット料金=3,500円(税込/ドリンク代別) チケット販売=1月10日(火)より、ULTRA ROCK … 続きを読む

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振り返ること

1月9日 月曜日 晴れ   この10ヶ月の間に自分が感じたこと。その変遷について。まとめる作業を始めました。意味があると思ったからです。何の組織にも属さないおっさんが、どう考え、悩み、行動し、何を実現し、何がなされていないのか。新しい音楽を未来に向けて生み出すためにも、意味があることだと思えます。  テレビで児玉教授が以下のような発言をされました。ホリスティック・ビュー(全体的な視野)、そしてコンパッション(思いやり)。ダライ・ラマが示した今を生きる人間に必要なことはすべてここに含まれています。  「国民の思いがすごい勢いで変わってきていると僕は思うんですよ。だから、地域住民の希望というか、それを決して無力感にさせてはいけないと思います。国の政策として原発を造ってきた。絶対安全神話に酔っているうちに、大変な事態を起こした。それで、ものすごく大きい国土が、今までの日本の経済や科学の産物によって汚染されてきたときに、日本の経済や日本の科学に、その責任を負ってきた人たちがどういう考えをするか。それから日本の国民が、何万人という人が、自分の住んでいた家を奪われてさまよっているというときに、国民自体が本当にそれを仲間として助けようと思うかどうか。一緒に悩んでいこうと思うかどうか、っていうことが、この国のこれからのあり方をすごく変えるんじゃないでしょうか」  福島に住む僕らの仲間に云わせると、3/12は3/11より忘れられない日なのだと。原発の爆発が、地震と津波以上にすべてを変えてしまったから。決して、その日を狙って僕らはライヴを開催する訳ではないのだけれど、少なからず因縁は感じているし、だからこそ、未来を描かなければと思っています。活動は全国に拡がりつつあります。これからは意思決定機関を福島県相馬市に移行しようと思っています。関東、あるいは全国に居住する僕らの仲間は、彼らのヴィジョンの実現のため、後方から全力でそれを支える。それが今年の目標のひとつです。どうぞ、よろしく。 —————————————————- “MY LIFE IS MY MESSAGE” vol.5 あの震災から一年。 “MY LIFE IS MY MESSAGE”は続きます。 3月12日 (月) 東京・duo MUSIC EXCHANGE [web] 出演=HEATWAVE 開場/開演=18時30分/19時30分 チケット料金=5,000円 (税込/ドリンク代別途500円) チケット販売=1月21日(土)より、チケットぴあ、ローソンチケット、SOGO TOKYO WEB SITE、e+にて発売 問=SOGO TOKYO tel_03-3405-9999

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MY LIFE IS MY MESSAGE 2012

1月8日 日曜日 晴れ 「喉元過ぎれば、熱さ忘れる」。それは人間の性なのかもしれないけれど、この国が、無関心と、既得権益を守ることしか頭にない一部の人間たちによって、ミカンの皮を剥くように分断されていくのを、黙って見過ごしてるだけなら、尊敬するジョー・ストラマーにあわせる顔がありません。いや、まじで。 書こうと思えば、いくらでも書けます。例えば、僕がこの国のどこかに放射能物質をまき散らしたとする。即座に捕まって、裁かれますよね?それが法治国家ってもんじゃないすか?でも、あれだけの国土を汚染し、人々に困難と危険をもたらしておきながら、誰ひとり、何の責任にも問われない。イカれてませんか?充分にこの事実だけでも。どうして、福島のお母さんたちが、ただでさえ大変なのに「かえる新聞」を発行しなきゃならないのか?そんなもの、政府や自治体が正しい情報を流してくれさえすれば、マスコミが事実を報道してくれれば、国民が愛をもってくれさえすれば、まったく必要のないものです。 僕は関東に生息していますが、大丈夫だなんて、これぽっちも思っていません。例の燃料プールが地震でやられれば、とんでもないことになると思っています。危機を煽るのではなく、想定外の事にも、心に現実的な準備をしておくこと。それが、あの震災が教えてくれた教訓だと思うのですが。 自分の暮らしを美しくすること、家族を大切にすること。素晴らしいことです。でも、お金も家も財産も、墓場には持っていけません。自然の圧倒的な力の前では人間はあまりに無力です。ただし、僕らには愛があります。それがいちばんかけがえのないものだと、このおっさんに照れずに云わせるだけのことを、一連の活動が教えてくれました。 MY LIFE IS MY MESSAGE vol.5。今年は3/12にバンドで狼煙を上げます。是非、来てください。違和感も、諦めも、希望も、何もかも。未来に向かう大きな炎にして、今年を始めましょう。もし、あなたが何をしていいのか分からないのなら、僕らに力を貸してください。その力は責任持って、僕らが福島県相馬市に届けます。 http://no-regrets.jp/heatwave/news/120108/index.html それから僕は数ヶ月かけて、独りで全国を廻ります。これは通常のソロ・ツアーではなく「MY LIFE IS MY MESAGE」プロジェクトのソロ・ツアーです。北海道から沖縄まで。福島で起きていることを「かえる新聞」やスライド、そして新しい曲と共に伝えるためのツアーです。今年は上半期だけで、まだお伝え出来ない、先の先までアイデアは溜まっています。詳細は決まり次第お伝えします。一緒に未来を創りましょう。どうぞ、よろしく。 山口洋(48)

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