月別アーカイブ: 2月 2013

失われる一日

2月15日 金曜日 雨 飛行機を3回トランジットして、日本に居ます。何だか「帰った」と云う気持ちになれないのはどうしてなのか分かりません。ほんとうに日本に住まなければならないのか? そう決めつけてるのは自分なんじゃないの?とか。世界市民で居たいだけなんだけど、オレはどうしたらいいんだろう? くだらないことだけれど。参考になれば。 僕はこのひとつき。携帯とテレビのない生活を送りました。「世界ケータイ」とか云うけれど、ありゃ嘘です。確かに繋がるけど。2年前、3.11以降、まぁ仕方ないんだけど、アメリカから日本に何度も電話したのです。その電話代はですね、ここには書けません。だから、今回飛行機モードにして使わなかった。 あくまでも、僕の実感だけど。「まったく」必要ないです。必要だと思ってるのなら、そりゃ強迫観念です。だって、ほんとうに必要ないんだもん。テレビに至っては、携帯以上に必要ないです。あれがないと、歌を書くとき、自分の脳味噌にアクセスするのがとても楽。テレビはサッカーが観れれば、それでいい。以上。 —————————————————————— 朝5時にお世話になった家を出る。オーナーの置き手紙が嬉しかった。 一日に3回飛行機に乗るってのはかなりの苦行。二つ目の空港デンバーで(この空港は日本の感覚じゃあり得ないくらいデカい)、乗り換え時間30分未満。間に合うわけないじゃん、と思いつつ、そのスケジュールを勧めたのは他ならぬ航空会社なんだし。で、俺は健脚には自信があって、高地トレーニングもしてきたし、イベントとして受け入れた。さぁ、ギターを抱えて走る。もちろん間に合いましたとも。でもね。多分ギターを抱えて、キロあたり5分切る感じで3キロは走ってる。これ、無理だよ、鍛えてない人は。 ただ、思ったのです。僕が空港を走ってる間に、航空会社が僕の荷物を前の飛行機から下ろして、新しい飛行機に積み替えるなんて、絶対に無理。彼らの仕事っぷりは飛行機から見えてるけど、無理。だったら、こんなスケジュール勧めるんじゃないよ。エクストラの料金までチャージした上に、お互い無駄な労力使うじゃん。まぁ、それを見越して、ギターだけは「預けない!!!!!!!」と突っぱねたけど。 三つ目の空港、シアトル。そこから僕の隣に乗ったのは若い軍人。沖縄に赴任するのだと。身体廻りは僕の倍くらいある。いや、マジで。でもね、彼は「いまどき、こんなに心の優しい奴居るか?」ってくらい優しい。僕はね、沖縄のこと、思うことたくさんあるよ。でもね、だからと云って、彼は憎くも何ともないよ。田舎の両親のために、一生懸命自分の任務を果たそうとしているだけなんだよ。何だか、やりきれない。 世界の警察を自負するアメリカがまた何かをやらかした時、まっさきに犠牲になるのは最前線に居る彼のような男。 書かなかったけれど、滞在中に、ウインタースポーツの大イベントが隣の山であった。日本の少年、平野くんやショーン・ホワイトの滑りも、僕は生で観た。なんで書かなかったかと云うと、メイン・スポンサーのひとつが「NAVY」だったから。その事実に、僕は咀嚼が必要だったから。会場にはブースがあって、田舎の少年たちは親孝行だと思って「入隊」するのです。 つまりね。沖縄に赴任している軍人たちもオスプレイも確かに「アメリカ」なんだけど、彼らより、僕らはその巨大な組織を理解しなきゃってことです。 もうひとつ。海外に居て信じ難いのは。 東京にオリンピックを招致するって。誰が汚染されたところに行きますか?世界から日本がどう認識されてるのか、検証した方がいい。これで分かってもらえないなら、チェルノブイリの事故の後、ウクライナ復興のために「ウクライナでオリンピックだ」って、あなた行きますか? 北朝鮮の核実験がひどいって、そりゃヒドいけど、福島の方がよっぽどヒドいだろって、僕はアメリカで頭を抱えた。人のこと、云えるのかね、日本人。 嗚呼。 そして成田に僕の荷物はひとつも届かなかった。「シアトルにあるらしい」とな。さすが、だ。どうでもいいけど、身体と時間と金を使って、一心同体になってきたスキーとブーツだけは戻ってきてほしい。金じゃないんだよ。こういうこと、日本じゃまずあり得ない。どっちも、どっちです。ほんとうに。

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全力中年、最後の一滴

2月12日 火曜日 晴れ 帰る前の日くらい、ゆっくりすればいいのにと、いろんな人が云う。嫌じゃ。全力じゃないと、嫌じゃ。最後の一滴まで熱中しないと。 Bowlに行く前に、少し年上のともだちからメールが来た。いわく、彼の親父さんは53歳で亡くなったので、自分も後悔のないように生きたい、と。云ってること、よーく分かるよ。男子にとって、父親の死んだ年齢ってのはひとつの関門なんすよ。僕の場合、今年です。だから、随分変わりました。今日できることを、明日やらなくなった。今日は今日で、全力じゃなきゃ嫌なんすよ。「明日、あなたは死にます」と云われたなら、「了解です」と云える人間で居たいんすよ。 家を出る前に、現在マイナス25度だと知って、こりゃ大変なことになるわい、と。Bowlはスキーをしょって、尾根を歩いて登らねばならない。びゅんびゅん風が吹いてくる。体感気温は,,,,,,,,,,。 結論から云うと、行きましたよ、行きましたとも。でも、こんなにしんどい、と思ったの、初めてかも。42.195キロ走るのより、はるかにしんどい。過去に登った3回と、これだけ違うかってくらい、しんどい。たぶん、酸素が薄かったんだと思います。無茶苦茶に寒かったけど、ピーカンではあったのです。それでこのしんどさ、だもんなぁ。寒さって体力奪われるんだなぁ。山は凄いなぁ、恐ろしいなぁ。ニンゲンの命なんて、ひとたまりもないなぁ。 でもね、行ってよかったのです。自分本位に考えれば、最後の一滴まで使ったってことですが、そんなことよりも、自然は凄い。自分が想像しているものより、ずっと凄い。それが分かっただけでも、嬉しい。何だか、疲労で言語中枢がヘン。スマン。   てな訳で、帰ります。帰ったら、3年振りにロードに出ます。 “山口洋が新曲を携え、3年ぶりにroadへ” 山口洋  on the road, again vol.7 “DON’T LOOK BACK” 4月11日(木) 京都・拾得 http://www2.odn.ne.jp/jittoku/ 開場/開演=17時30分/19時 チケット料金=3,500円(税込/ドリンク代別途600円) チケット販売=2月15日(金)より、電話予約、メール予約(jittoku@hotmail.co.jp)にて受付 問=拾得 (TEL_075-841-1691) 4月13日(土) 岡山・あたらし屋 http://www.atarasiya.com 開場/開演=18時/19時 チケット料金=前売¥3,500/当日¥4,000 (税込/ドリンク代別途500円) チケット販売=2月15日(金)より、電話予約、メール予約(moichi1966@gmail.com)にて受付 問= あたらし屋(TEL_086-223-0455) 4月14日(日) 大阪・knave http://www.knave.co.jp/ 開場/開演=17時/17時30分 チケット料金=3,500円(税込/ドリンク代別途500円) チケット販売=2月15日(金)より、電話予約、メール予約(info@knave.co.jp)、 チケットぴあ、ローソンチケットにて発売 問=knave (TEL_06-6535-069) … 続きを読む

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Life is beautiful

2月11日 月曜日 雪 雪が降っています。 明日、もう一度Bowlに行ったら、明後日朝イチの飛行機で帰ります。ここはしょっちゅう欠航するので、飛べばいいけど。明日はパウダーのBowlかなぁ。でも、多分、おそろしく寒い。 この山にお世話になるのは、今年最後か、と。毎日、甲子園球児みたいに「今日もよろしくお願いします」と挨拶していたので、今日は僕を育ててくれた崖や斜面に感謝を伝えにいきました。 滞在中、していたことと云えば。朝5時か6時という、ミュージシャンにはあり得ない時間に起床し、ストレッチをして、簡単な朝飯を食べて、バスに乗って山に向かう。夕方にはヘトヘトになって帰ってきて、シャワーを浴びて、晩飯を作る。その後、作曲して、ビールを飲んで12時には寝る。 その繰り返し。でも、まったく飽きなかった。簡単に云えば、大切にしなければならないことが、あぶり出しのようにくっきりと浮かび上がってきました。同じくらい、どうでもいいことも分かりました。5曲書きました。これから、ライヴでブラッシュ・アップしていきます。 誰かが家に居るというのも、僕にとっては新鮮な経験でした。ネコのライアン君とは毎晩一緒に寝てたし。誰よりもこいつと一番仲良くなったかも。オーナーは何処の馬の骨か分からない東洋人を、干渉することなく、放っておいてくれました。見事な手腕でした。絶妙な距離感だった。これがアイリッシュだとこうはいかない。 じゃ、時間があれば、また明日。  

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すべての歌には続きがある

2月10日 日曜日 晴れ すべての歌には続きがある。 「そこに辿り着こうと焦ってはいけない。”そこ”などどこにもないのだから。本当にあるのは”ここ”だけ。今という時に留まり、体験を慈しめ。一瞬一瞬の不思議に集中せよ。それは美しい風景の中を旅するようなもの。日没ばかりを求めていては夜明けを見逃す」。ブラック・ウルフの言葉。 この言葉の意味が良くわかる。

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勇敢であること

2月9日 土曜日 雪 昨夜から、たくさんの雪が降った。giftだった。 崖に行った。ここはエクストリームやダブル・ブラックと呼ばれていて、この山の中でも難易度がもっとも高い部類に入る。吹雪いて前が殆ど見えなくなったりもするので、崖の上で、僕は斜面の状態を目で確かめていた。岩がどこにあるとか、どこが凍っているか、とか。その上でだいたいのルートを決めなければ、僕の技術では危険なのだ。上手い人は何も考えず、その時浮かんだインスピレーションに導かれて突入していく。 後ろから変わった滑り方をする大きな男がやってきた。どんなメソッドも当てはまらないような、細くて長いやじろべえが、雪に斜めに突き刺さっているような滑りだった。彼は僕に挨拶をして、ためらいもせずに崖に突っ込んでいった。脇を通りすぎるとき、我が目を疑ったのだが、彼には左足がなかった。義足もつけていなかった。大きな身体を支えているのは一本のスキーだけ。決断したなら、身体ごとのめり込んでいくようなオーラがあった。 目が見えない人も、身体がまったく動かない人もスキーをする。素晴らしいと思う。もちろん、隣にはサポートする人たちがいる。でも、彼は独りでここにやってきた。そして、僕より勇敢で、LIFEをまったく諦めていなかった。彼が足一本で滑ったから、僕は心を動かされたのではない。彼が自身の可能性を信じている姿にモーレツに感動したのだ。Fear is a man’s best friend。アゲイン。ありがとう。 「根本的な才能とは、自分には何かが出来ると信じることだ」。by ジョン・レノン、アゲイン。

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don’t look back

2月8日 金曜日 暴風 猛烈な風が吹き抜けていくのを観ていた。いや、観るしかなかった。 地表に積もった雪が煙のように舞い上がり、削られ、吹き飛ばされ、氷だけが残された。天晴としか云いようがなかった。映画みたいだった。僕はあまりに無力で、そして異邦人だった。それが、清々しいほどに気持ちよかった。「awesome !」。独り言が英語だったのは恥ずかしかったけれど。 僕はそこで「ミツバチの声」を聞いた。もちろん、こんなに寒いところにミツバチなんて居るわけがない。でも、その声には音階がついていた。慌てて家に帰って、それを音楽にして書き記した。ミツバチは「don’t look back」と歌っていた。ほんとだよ。 僕がどうしてここに来たのか、何度か書こうとして止めた。もう、いいだろう。書かなくても。ただ、あのまま日本に居たら、頭をヤラれていたとは思う。僕は不自由だけど自由の身だ。常識は信じないし、他人は絶望的に遠い。 僕は伝えたいことがある。価値のない人間なんて居ない。畑の中で船のように生きなければいけなかったとしても、君には価値がある。だから、走らされるのではなく、君の意志で走ってほしい。ザトペックのようにね。

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5cmのPOWDER JUNKIES

2月7日 水曜日 晴れ 「HW SESSIONS」のこと。あんまり説明せんでもいいよね。知ってると思うけど、僕らはジャムの中で音楽を作るとですたい。あれから二年経って、僕の中にフツフツとこみ上げてくるものがあるとですたい。昔はね、デモテープなんて作ってましたけど、そんなもん要らん。だって、素晴らしいバンドが居てくれるんやから。バンドと演奏することによって、頭の中の完成形から、どんどん違う方向に行くほど、僕は嬉しいとですたい。なので、いつだって僕は真ん中に立って、ギター弾いて、歌うだけ。「あそこをこうして欲しい」なんてことはまったく云いません。 100回スタジオに入るより、1回ライヴをやった方が進化のスピードが速いとです。なので、月に一回くらい、その日来ることができるメンバーが集まって、ジャムってるものを皆さんの仕事帰りに、ご飯を食べながら愉しんでもらおう、と。軌道に乗ったら、常にライヴはマルチトラックで録音しておいて、それをベースに作品を作る、なんてこともあるかもです。あくまでも僕個人の考えですが、スタジオじゃクリエイティヴな気持ちになれんのです。僕らの音楽の肝は「ドラムとベースと歌」なのです。それさえ一発で録れてたら、後はどうにでもなるとです。 だいたい。最近この世に流通している音楽はmp3なのですよ。僕にとっては堪え難い音です。何のために、音楽のフロウを殺さないように細心の注意を払ってミキシングしてんだか。jpegだってmp3だって、確かに簡便。でも、あの音は散々間引かれた音だってことをお忘れなく。jpegは表現能力に於いてフイルムにぜんぜん及ばないのですよ。すっごい高いスタジオ代を払って録音して、最終的にたくさんの人がmp3で聞いてるってこの状況。ならば、こちらも考えなければ。何つったってバンドは「人力」すからね。コンピュータには絶対に演奏できないっすからね。悔しかったらやってみろ。そこで、生き残るしかないじゃないすか。音楽は魂の震えなのですよ。自分がぐっと来てなきゃ、ただの音ですたい、星くん。僕らはみんなの魂を震わせたいのですよ。それを突き詰めるために、「HW SESSIONS」企画しました。たぶん、ほころびたりもするけど、それも愉しんでください。蛇足だけど、僕が居ないトリオのHWってのが実現したら、俺が観たい!!!!! あ、書き忘れた。「地方でもそれやってくれ」とたくさんのリクエストが寄せられてますが。ごめん、無理。あんまり書きたくないけど、むっちゃお金がかかるからです。アルバム作ったら、ツアーするからね。待っといてくれ。その代わりといっちゃなんですが、新しい曲を演奏しに、僕一人であっちこっちに行きますからね。近いうちに発表するんで、お楽しみに。 —————————————————————- 昨日の夜、たった5cmくらい積もったとです。そしたら朝からみんなのテンションが違うとです。我、先にと、わずかなパウダーめがけて突進。アホだなぁ、俺もだけど。 てな訳で、ガリガリの氷の上に降った5cmの雪を一日愉しんでました。平和だ。 追伸 ここに一人で居てもぜんぜん寂しくないのだが、日本語喋りてーっ。味噌汁飲みてーっつ。あー、すっきりした。  

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緊急決定!「HW SESSIONS」

2月6日 水曜日 雪 『NEW ALBUMの制作に向けて、ライヴの機会を増やします。 題して「HW SESSIONS」。その時集まれるメンバーが揃い、セッションや実験を 繰り返す中で、新しい音楽の地平を切り拓きたいと思っています。 仕事帰りに気楽に遊びに来てください。』山口洋 HW SESSIONS #1 3月6日 (水) 横浜・THUMBS UP http://stovesyokohama.com/ 開場/開演=18時30分/19時30分 チケット料金=4,200円(税込/飲食代別) チケット販売=2/8(金)15時より電話予約、2/9(土)よりTHUMBS UP Web、THUMBS UP店頭にて発売 問=THUMBS UP (TEL_045-314-8705)

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ミジンコの宇宙

2月5日 火曜日 晴れ 昨日の「氷の世界」の後遺症はなかなかのもので、あちこち身体が痛んでおります。「膝の筋は今度やったら切れるぞ! 」という達人のお言葉にしたがって、今日は休みました。何にせよ、自然のコンディションに抗ってもニンゲンに勝ち目はないわけで、抗わなければ分からないこともあるけれど、それを身にしみて理解したなら、来る日に備えて身体を休め、自分の身体の状態に合った場所を選んでスキルを磨きたいと思います。 はてさて。坂田明さんが出演されたネットラジオの番組を聞きながら、朝飯を食いました。彼は音楽を語ったのではなく、おもに「ミジンコ」について語っていたのです。「ミジンコの宇宙」。これがね、素晴らしかった。いわく「コップの中にミジンコを入れて、太陽にかざすと宇宙が見える」。あまりに素晴らしかったので、もう一度聞いてみます。僕が人に伝えるには咀嚼が必要です。 近日中に、今後のバンドや僕の活動についてお伝えできると思います。今しばらくお待ちください。    

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氷の世界

2月4日 月曜日 晴れ ハードでタフな一日でした。 雪と云うよりは、氷の世界。頂上付近は風でわずかな雪も吹き飛ばされ、地表や岩がむき出しになった上に、誰かが作った轍がいびつなまま完全に凍結。気をつけていないと、突然足を持っていかれます。キツい斜面では、どうにかして刃を入れなければ、はじき飛ばされます。こんな状況、経験したことないのです。とにかくコケる理由が分からない。理不尽極まりない。(←これニンゲンの都合) 以前であれば、歯が立たない自分に苛立っていたと思います。でも、そんなところが変わったのかなぁ。どうにかしよう、理由は何だと、考えます。まぁ、どうにもならないこともたくさんあったけれど、この身体の痛みも含めて、まだまだ奥は深いのだ、と教えられた一日でした。でも、正直云うと、雪降って欲しい。

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