月別アーカイブ: 5月 2012

ミュージシャンは素敵な商売

5月8日 火曜日 晴れ 昨日、かな。どこかから流れてきたツイート。 「感謝する理由がみつからなければ、落ち度はあなた自身にある。」ネイティヴ・アメリカン・ミンカス族。 僕が誰かに伝えたかった言葉をこれだけ明確に言語化されると、感嘆するしかなかった。素晴らしい。 今日はリ・クオこと西川陸男がミュージシャンを繋いできた「ホーボー・コネクション」の最終日。リクオには悪いけれど、日頃のミュージシャン以外の仕事から完全に解放されて、僕はミュージシャンであることを存分に楽しみました。集まっている人々がそれぞれにワン・アンド・オンリーのミュージシャンなので、自分を主張したり、過度に気を遣ったりすることなく、フツーにそこに立って、廻りの音に溶け込んで演奏しているだけでいいのです。素敵な商売だなぁ。一年前にはフツーだったことが、もはやフツーではありません。僕にとっては。それゆえ、減衰していく音が愛おしく思えるのです。リクオ、俺をミュージシャンに戻してくれてありがとう。一緒に演奏してくれたみなさん。たくさんの愛をありがとう。ある種の人たちはもはやエゴを超越したところに素敵なエゴがあるんだよなぁ。それって、自我のほんとうの意味だと思うなぁ。自我って、ほんとうは「思いやり」なんじゃないかって思うよ。こういう人たちと演奏してると。 実のところ、僕はものすごいエゴに振り回されてゲロゲロになっていたのです。でも、何とかそこを抜けると、大人たちがほんとうのエゴについて教えてくれる。三宅せんぱいの「いっしょに生きよう」って歌。志願して、ギター弾かせてもらってたんだけど、何度聞いてもぐっと来るんだよなぁ。それって、いろんな事を経験して、心の底からそう思ってなければ、歌えないし、伝わらないんだよなぁ。 ついしん みなさんが寄せてくれている気持ちが、南相馬市の自立研修所「えんどう豆」のウォーターサーバーになりました。嬉しいなぁ。ほんとうにありがとう。感謝のメールを転載します。 —————————————- えんどう豆のSです。 皆さん、お元気ですか? アラバキ、ご苦労さんでした! さて、「MY LIFE IS MY MESSAGE 」のプロジェクトから支援を頂き、ウオーターサーバーの運用を開始しました。 今までは、支援物資のペットボトルのお水を飲んでいたのですが、連休前になくなりました。 えんどう豆の水道は、井戸水で、施設が再開する前には、検査しましたが、飯舘村から流れてくる川の水が次第に汚染され、放射線濃度が3倍になったと報道され、今後、ますます高くなると思われ、心配が募っていました。 また、市内の井戸の水が使用禁止になっている所もあり、利用者に飲ませるのはどうかと悩んでいた所に、支援を受けることになりました。 水を買うことはなかったのですが、生きる基本となるモノですので、本当に感謝しています。皆さん、ほんとうにありがとう! うまい水で、お湯も出るので、好評です。

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お詫び

5月6日 日曜日 晴れ 隔月発行で4/10に予定されていた「かえる新聞」の発行遅延に関するお詫びです。 僕は全国を廻り、いろんな場所で、みなさんからお金をプロジェクトに託されます。僕から寄付をお願いしたことは一度もなく、それぞれが自主的に様々な方法で集められたお金を、僕らの活動を信じて託してくれます。ありがたいことです。「今まで赤十字に募金してきたけれど、それよりも見える形で」と多くの方が語ります。それは嬉しさと同時に、身が引き締まることでもあり、そして重くもあります。全面的にそれらのお金で制作されているのが「そうま・かえる新聞」です。 あっと云う間に部数は2万部になりました。全国で自主的に配ってくれている人たちもいます。心より感謝しています。 ところで、この新聞。福島県相馬市在住の娘を持つお母さんと、関東在住のデザイナーである女性によって作られ、僕の友人である書籍編集者が監修する。そのような形で制作してきました。任命したのは、僕とプロジェクトの相馬本部長です。彼女らの名誉のために伝えておくと、もちろん報酬は0円です。全員が仕事を持っています。そして、何よりもまず、一般市民が「放射能新聞」を作らなければならないという状況がイカれていることを理解して頂けると嬉しいです。 始めた当初から、編集部の中に「軋轢」や「逡巡」が生まれることは予想していました。一般市民が目の前の無茶苦茶な現実を目の当たりにし、それを人々に伝える上で「責任」が生じる。どう考えても無理があります。二人の女性のうち、一人はお母さん、一人は未婚。そして違う場所に住んでいる。その立場の違いもあります。でも、任命した僕らはそこに意味があると考えました。目の前のとんでもない状況を何とかするために、共に悩み、僕らも含め成長していくことで、読者も考えてくれるのではないか、と。 人間は誰しも、心のなかに「言い訳」を用意して生きています。それが普通です。それを責めることは本来できません。ただし、悪化していく一方のこの状況の中で、「言い訳」を柱にして生きていると、やがて自己矛盾が生じて、自分たちがやっていることが正しいのか間違っているのか、それさえ見失うことになります。僕ら年上の大人たちは、基本的には口を出さずに進行を見守ってきました。けれど、彼女たちがどん詰まりに立ち至って、全員で何度も話し合いの場を設けました。そこに存在していたのはこの国、そして相馬が抱える複雑な問題の縮図そのものでした。誰ひとりとして報酬を受け取っている訳ではないので、「やーめた」と云うことは簡単でした。けれど、いろんな逡巡はあったにせよ、結果的に誰ひとりそこから逃げなかったことだけは、未来へと繋がる希望だと思っています。 編集方針が定まらないまま中途半端なものを発行するくらいなら、一度立ち止まって、ほんとうに伝えなければならないことを深く考えよう。そのような理由で発行が遅れています。そのアナウンスがなされなかったことを、心よりお詫びします。僕らミュージシャンはライヴが決まったら、例え親が死のうとも、そのライヴを飛ばすことは出来ません。そして調子がいい時に、いいライヴが出来るのは当たり前のことで、心や身体の調子が悪いときに、どのようなライヴが出来るのか。それこそがプロフェッショナルの意味だと、そうやって信頼を勝ち得ていくのだと、身をもって知っています。彼女たちは若く、まだその厳しさを知りません。まして、新聞のプロでもありません。ですから、発行遅延に関しても、彼女たちに甘さがあったことを認めざるを得ません。でも、彼女たちが今出来うる最大の努力をしていることだけは、理解して頂けたらと思います。僕ら大人たちも、それを全力でサポートします。ときに、厳しい叱咤もしますが。誤解のなきよう。僕らはただ無駄にトシを重ねているだけで、関わっているすべてのスタッフはみなフラットな存在です。上下関係はありません。 僕らは考えました。僕らは何か偉そうなことを云える立場にない。けれど、「命」を大切にすることを何よりも優先し、支えてくれている全国のみなさんに愛と感謝を込めて、目の前の「事実」を「事実」として伝える。それをどう捉えるかは受け取ってくれた人に委ねる。そして、発行には責任を持って、隔月で自ら指定した日を守り、みなさんと連帯して、信頼を勝ち取っていく。そのような新聞を目指しています。 重ねてたくさんのサポートに感謝します。もうすぐ発行日を公式にアナウンスできると思います。これからも、どうぞよろしくお願いします。

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湧きあがってくる力、吉祥寺にて

5月4日 金曜日 雨 行程には無理があったけど、ARABAKIの帰りに相馬に寄ってきたのは正解だった。何というか、身体に血流に、おおげさに云えば魂に、相馬魂みたいなものを注入されてしまったというか。良い事も、そうでない事も。ちょっと前の自分なら、その現実に簡単に折れていたと思うのだけれど、その凄まじさが逆に僕を燃えさせてくれてると云うか。 ある種の人間は心から信用するに足りるもので、相変わらず自分は未熟で、エゴとか言い訳とか、エトセトラ。いろんなものを雨にも関わらず、ライヴ前だというのに「どりゃーーーーーーーーっ」と海沿いを走って、ポジティヴなエネルギーに変換してライヴに臨む。 ARABAKIのおかげで掴みかけている、自分を無にする方法のようなもの。そこから音楽を始めてみる。うん。多分これでいいのかな。客席から男どもの怒号が飛んでくるのも、ひじょーに気持ちいい。 シリアスな話も随分したけれど、それぞれに何かを持ち帰ってくれたなら、それでいい。来てくれて、ありがとう。さぁ、今度は九州だ。 —————————— 今日も募金箱には¥54,808入っていました。ありがとう。確実にプロジェクトに届けます。 Messages for Soma City 040504 Tさん 34歳 東京都杉並区 今私にできる事は「忘れない事」だと思っています。 Sさん 37歳 横浜市 何よりも大切な子供たちのために力を尽くしていきましょう!! Nさん 46歳 東京都 自分が何をしたらいいのか毎日気持ちが揺れています。でも今日一つ決意を新たにしたこと。決して相馬をあきらめません。 Mさん 40歳 東京都 ガンバリマッショウ! キボウヲモッテ!! Oさん 43歳 東京都江東区 本気でつないでくれた縁を大切にしたい。だから一歩前へふみだしたい。 Kさん 40歳 東京都中野区 原発稼働ゼロの前後、無心を導く素晴らしい演奏に感動しました。明日からも相馬のこと、この社会のこと、未来のこと、反問して行きます。 Hさん 41歳 東京都葛飾区 命がけで伝えていただいた事を忘れずにいます。 Mさん 40歳 埼玉県 私達に何ができるのかなっていつも考えながらいます。いつも共にありたいと思う。 Iさん 19歳 東京都 このクソみたいな状況を何とか乗り越えていきましょう。俺も無力ですが頑張ります。 Aさん 33歳 東京都 MY LIFE IS MY MESSAGEに出会って故郷と同じように相馬を、福島を想うようになりました。相馬を、福島を、日本を、未来を、これまで以上に素晴らしい場所にしましょう。一緒に。 Nさん 42歳 東京都 「チルチンびと」という雑誌にいます。声高らかに脱原発を叫びます。 Hさん 36歳 千葉県 朝焼けの東北道を走りました。美しい空の色の一方で、ガイガーカウンターの数字がどんどん上がっていくのを見て、失われたものの大きさに心をかき乱されました。日々、葛藤あるかと思います。どうぞその苦しさ、心にしまわずにはきだして下さい。受けとめさせてください。 … 続きを読む

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相馬市、南相馬市再訪

4月30日~5月1日 月曜日 曇り 約4ヶ月ぶりに相馬市、南相馬市を訪れました。今回は渡辺圭一も一緒です。 正直に云って、これほど「希望」と云う文字を記すことが難しく感じたのは初めてです。誰かの歌じゃないけど、「気絶するほど悩ましい」。でも、言葉を慎重に選びながら、書いてみます。ひとつだけお願いしたいのは、この文章は僕という個人の視点から書かれたと云うことです。もしも、あなたが自分の目で観たのなら、違う印象を持つかもしれない。だから、これは僕の経験であり、感想であり、事実ではあるけれど、誰かにとってはそうではないかもしれない。考える上でのきっかけになってくれると嬉しいです。 彼の地の友人たちの表情は一段と厳しさを増していました。電話でしょっちゅう話していても、実際に会うともたらされる情報量が違います。想像してみて欲しいのです。彼らは一年間に渡って、やんわりとした、でも深刻な、いつ来るとも不明な、低くたれ込めた暗雲のようなプレッシャーにさらされています。この文章で分かってもらえないのなら、もう少し書くと、いつ地震や津波、あるいは突発的な事象によって原発に何かが起きるかもしれない。政府が彼らを守ってくれないことは、彼らも知っています。決して冷温停止なんてしていないことも。だから、そうなったら、一目散に逃げるしかない。車の燃料は常に満タン、そして高速道路もJRもない。風向きを調べて、ただただ少しでも遠くに逃げる。身を守る唯一の方法はそれだけ。逃げることができるおおまかに云って3本の道は殆どが一車線。おそらくとんでもない渋滞を引き起こすでしょう。心からぐっすりと眠ることができない一年間。嗚呼。 こんな状態で、まともな精神を保つことが難しいのは誰でも分かると思います。ある人は東京のホテルに宿泊したとき、ようやく安眠できた、と。ある人はホテルに住所を記帳するとき「南相馬」と書くことを一瞬ためらった、と。そしてある人はもはや考えることを放棄した。またある人はみんなが居るから大丈夫だろうと。 そこに住んでいない我々は、「じゃぁ、その街を捨てて、どこかに移住すればいいじゃん」と考える。でも、その街で生まれ、育ってきた人にとって「土地は人格の一部である」という発言は理解するに余りあるものです。責任の取れない発言を安易にすることは許されない。ある人にとっては、何処かに移住することは人格を破壊されるに等しいこともある。だから、我々はほんとうの意味で相手の立場になって考え、命を何よりも大切にすることに最大の重きをおいて、どんなに未来を見いだすことが難しくても、問いかけを続け、できるだけ速やかに道筋を作るしかない。心の中で「何とか子供だけは避難させたい」。そう思っているのなら、その道筋を具体的に作ることでしかない。いや、書くのは簡単です。でも、僕が知っているだけでも、それを遂行するために山積している問題は気が遠くなるほどのことです。何故なら、人は一人一人違うものだからです。みなさんだって、家族で一致団結ってことがどれだけ難しいか知っていると思うのです。それぞれの家族にそれぞれの事情があるのです。だから、それはヴィジョンを伴った国策でしかあり得ない。僕はそう思います。それを待ってられないのだから、市民レベルでも取り組むしかない。でも、今、国がやろうとしていることはその逆です。それについては後述します。仮にそれが達成されたとしても、街から子供が居なくなるってことは、未来を失うってことです。僕が書いているのは相馬の話であって、この街より線量が高いところはいくつもあるのです。 彼らの表情が険しくなっていたのは「未来を見いだすことの困難さ」を身をもって理解しているからだと思うのです。この街が復興できない最大の理由は放射能です。このクソ忌々しい存在が街と人々をズタズタに切り裂いていくのです。実際、僕らの小さなプロジェクトも切り裂かれます。負けませんけどね。言い訳で生きていたら、それを自分の柱にしていたら、簡単に壊れます。当たり前です。大切なのは、物事の本質を見抜いて逆風にめげず、ほんとうの自分を生き抜くことです。こんな状況でも、ピンチはチャンスであると僕は考えます。 放射能とはほんとうに末恐ろしい存在です。それなのに、再稼働させようとする輩が居る。この国に住む人は国際的に日本が見放されていることに気づいていないように思えます。どれだけ国際的信頼を失っているのか。あの事故は起きたときから国際的な問題だったのです。嘘で嘘を塗り固めて、責任ある対応がまったくできない国の製品が国際的に売れるはずがない。簡単に云えば、福島だけでなく、この国そのものに未来がないのだと僕は自覚しています。 彼の地の友人たちは僕らと同じ国に住んでいます。もはや見捨てられたと感じている人も居ます。それは、あまりにも悲しい。ほんとうに悲しい。政治家、官僚、電力会社、銀行、マスコミ、エトセトラ。彼らに責任があるのは云うまでもないことです。でも、ちょっと待ってください。あれは自分の姿であると思いませんか。僕はそう思います。自分の無関心、無責任、言い訳が生んでしまったもうひとつの自分の姿です。自分の膿です。だから、それを糾弾する「だけ」では何も変わらないと僕は思うのです。 僕らの小さなプロジェクトに問題が起きる。そこには相馬で起きていることの縮図です。そして福島で起きていることはこの国の縮図。世界で起きていることはあなたや僕の心の縮図だと考えます。あなたや僕が生きていること、仕事をしていることが世界とどのように繋がっているのか、具体的にイメージして、行動すること。それをこれからも続けます。 ———————————————————————————————– 今まで原発から20キロ圏内には入ることが出来ませんでした。が、国はそこに人を戻そうとしています。確固たる具体案(除染も含む)もないままに。僕は地元の友人にそこに連れて行ってもらいました。南相馬市小高区。原発から15キロのほどのところまで行きました。そこは一年前から時間が止まったままでした。町中は思ったほど線量は高くありませんでしたが、山あいに行くと、線量は上がります。(今回は相馬市在住の未婚の女性も同乗していたので、案内者の判断で、そこには行きませんでした)。僕はそこに人を戻そうとすることの意味が理解できません。 ———————————————————————————————— Messages for Soma City (120428 at ARABAKI) Hさん 32歳 山形県山形市 東北人として、一生応援していきたい、と思っています。3.11には振り回され、国にもいろいろな思いがわきおこりますが、、一緒にがんばりましょう。 Gさん 24歳 山形県寒河江市 同じ東北民として見守らせて下さい。福島のママドール大好きです。ハワイアンセンター大好きです。 Mさん 44歳 宮城県仙台市 今日ここに来れてよかったです。相馬には何度かいったことがあります。だれもが安心してくらせますように。 Yさん 44歳 東京都杉並区 一日も早く普通のしあわせな日々が戻ってきますように…私にできることをしたいと思います。 Sさん 20歳 宮城県仙台市 私は相馬市出身で今仙台の大学に通っています。私の夢は病院の医療事務になることです。できれば地元に帰ってきたいです。今回のステージもすごくステキでした。ありがとうございました。 Sさん 30代 山形県山形市 相馬には、よく釣りでお世話になっておりました。また、何気なく釣りに行けるように私も陰ながら復興を祈っております。 Oさん 48歳 石川県 創刊準備号をいただけて、次を読みたかったので、今日うれしかったです。これからも楽しみに待ってますね! Sさん 36歳 栃木県栃木市 みんなで力を合わせてればふるさとは必ずよみがえる!! Kさん 27歳 栃木県 相馬や福島を忘れていない人がいるということを、忘れないで下さい。 ——————————————– このblogを書き上げたところに、心のアニキからメールが。そこに記されていた言葉があまりに当たり前なんだけれど、ぐっと来たので、引用します。 … 続きを読む

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